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- 2015年07月29日 17:40
日本の名誉と信頼を回復するための提言
1/3平成27年7月28日
自由民主党
自由民主党
1.総論
かねて事実関係に基づかない報道等により、戦時中の慰安婦問題、南京事件等について、日本の名誉と信頼が大きく損なわれてきた。特に、慰安婦問題については、平成26年8月、朝日新聞は記事の初出から32年を経て、慰安婦に対する強制連行があったとするいわゆる「吉田証言」を虚偽であるとし、吉田証言をもとにした自社の過去の記事が誤りであったことを認め謝罪するとともに、12月には木村伊量社長が辞任するに至った。一連の誤報については、憲法において表現の自由、報道の自由等が保障されているとはいうものの、32年間という長期にわたり吉田証言を十分な検証もせず記事を捏造し続け、日本国民のみならず、国際社会に誤った認識を植え付けた責任は取り返しがつかない程大きく、日本の名誉が著しく毀損した。
我々自由民主党は、国家の名誉回復を図るため平成26年10月に自民党内に「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会(以下「特命委員会」という。)」を発足させた。特命委員会では、特に慰安婦問題に焦点を当てることとし、13回開催された委員会の中で専門家や政府関係者等からのヒアリングを行い、日本の名誉と信頼を回復する方策について議論してきた。
慰安婦問題については、戦時中に慰安所が設置され、女性を民間業者が募集し働かせたことは事実であり、根本的に女性の人権と尊厳を著しく傷つけたという点に議論の余地はない。
しかし、昨今、諸外国において、慰安婦問題をめぐり、「性奴隷」といったセンセーショナルな表現を含む碑や像が設置され、客観的な事実関係に基づかない一方的な主張による報道や、諸外国の中央及び地方の議会における決議(注1)が行われ、直近では天皇陛下や安倍総理を被告とした訴訟が米国で提起されていることなどは、著しく日本の名誉を毀損し、国益を損なうものとして看過できない。
このような状況は、在外邦人の子供達へのいじめなど人権侵害にも発展しており、将来の子供達のためにも早急に日本人及び日本の名誉と信頼を回復する必要がある。そのためには、慰安婦問題に関する客観的事実に基づく日本の主張や取組に対し、国際社会の正しい理解を得ることが重要であり、そのために、特命委員会として次の3点を柱とする提言を行う。
(1) 日本が戦後一貫した平和国家であり、人権を重視する国家であるという実績を示し、世界の平和と発展に貢献してきた国であることを強調する。
(2) 慰安婦問題をめぐる事実誤認やいわれなき批判等に対し、客観的な事実に基づく反論を行い誤りを正すとともに、慰安婦問題に対する今日までの取組を丁寧に説明する。
(3) 今後も、道義国家・文化国家として信頼される国をめざしていくことを確認し、未来志向につなげるものとする。
2.日本の平和国家としての歩み
日本は、過去の一時期の例外を除き、戦前から一貫して人権を重んじ、平和を尊ぶ国として歩んできた。大正時代には、戦争のためにシベリアに送られ、祖国に帰ることのできなくなったポーランド人孤児たちを救出し、日本に受け入れ、健康の回復を待って無事に帰国させた。また、国際連盟においては、人種差別撤廃提案を行った。昭和初期には、リトアニアの杉原千畝在カウナス領事代理により発給されたいわゆる「命のビザ」により、約6、000人のユダヤ系難民が日本など国外に脱出し、危機から免れた。戦後、日本は、国連を始めとする国際的な場等を通じ、国際的な人権規範の発展・促進など、世界の人権状況の改善に貢献している。
例えば、拉致問題を含む北朝鮮の人権状況の改善を北朝鮮に強く求めるため、国連人権理事会に毎年、北朝鮮人権状況決議を提出し、また、紛争や暴力に起因する人権・人道面での取り組むべき課題が山積するアフリカにおいて、紛争・災害対策等のために支援を行うなどの取組を継続している。また、21世紀の国際協調の理念として「人間の安全保障」を掲げ、その推進のために様々な努力を行ってきた。
このほかにも、法の支配の実現を目指し、開発途上国の法整備支援などにも積極的に取り組んでいるほか、国際社会の平和と安定のためにより積極的な役割を果たしていくことが必要との考えの下、カンボジア和平と平和の定着(注2)、フィリピン・ミンダナオの平和構築(注3)、スリランカの国民和解(注4)等の国連を中心とした国際平和のための努力に対し、本格的な人的・物的協力を行ってきた。
様々な分野における日本の技術協力、人道支援等による国際社会への貢献も注目に値する。また、保健、教育、貧困撲滅、環境、防災等の分野においても、従来から積極的に貢献を行ってきており、特に、保健分野では、世界エイズ・結核・マラリア対策基金にこれまでに約21.6億ドルを拠出する等の取組を行ってきている。
最近では、特に、安倍総理の強いリーダーシップの下、「女性の輝く社会」の構築は世界に大きな活力をもたらすとの考えにのっとり、国際社会との協力や途上国に対する支援を強化している。安倍総理自身、21世紀を女性に対する人権侵害のない世界にしなければならないとの決意を繰り返し明らかにし、そのメッセージは国際的にも高く評価されている。
アジア各国に対しても、日本は、発展や安定のために多大な協力を行ってきた。長年にわたる中国に対する政府開発援助の供与、アジア通貨危機における韓国への対応等はその好例である。
(注1)例えば、平成19年7月30日の米国下院決議には、「日本国政府による強制的な軍の売春である『慰安婦』制度は、その残忍さと規模において、かつて例のないものと考えられており、20世紀最大の人身取引事案の一つにおいて、結果として切断、死亡、最終的には自殺に至らしめる輪姦、強制的中絶、屈辱的行為、性的暴力を含むものであった」(前文第2段)といった事実に基づかない記述が見られる。その他の国の決議については「年表」の別添1~4を、米国内の碑・像の碑文については別添5を参照。
(注2)平成4年・5年の国連PKOに対する要員・部隊の派遣等
(注3)平成18年以降の経済開発プロジェクトの着実な実施等
(注4)平成19年「スリランカ復興開発に関する東京会議」開催等



