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次の危機が近づきつつある-2 なぜ株価は上がり続けたか

少し長めのシリーズになると思うが一回一回の読み切り感も出していきたいと思うのでおつきあい願いたい。 (間にまた少し軽い記事もはさみながらとは思うが)

株価はここ数年間ひたすら上昇を続けてきた。比較的経済が好調だったアメリカ株。それに続いてアベノミクス詐欺の日本株。QE導入で欧州株も急上昇し極めつけは今年に入ってからの中国株の上昇である。

先日の記事で示したようにPER(先日出したグラフはシラーPERという少し特殊なものだが)は歴史的な割高レベルにまで達している。

株価はすでにバブルの領域に完全に達していると考えているものの、過去数年の株高に関してはすべてがバブルに基づくものであったとは僕は思っていない。経済成長は世界中で毎年期待を下回り続けている。アメリカは毎年来年こそは3%成長といいながら2%前半がせいぜいだし、日本もアベノミクスで経済が大復活といわれたが結局マイナス成長をはさみながら鈍い成長しか遂げていない。中国やブラジルをはじめとする新興国も期待を上回る成長は遂げてはいない。

ではなぜ株価は上がり続けたのか?それこそ金融緩和によるバブルだという人もいるだろうが一つグラフを見てもらいたい。


画像を見る

といっても先日の記事でも使用したのだが…。これはアメリカの労働分配率を表すブラフである。企業の生み出した付加価値の何割が労働者に割り当てられたかを示すチャートだがご覧のように歴史的低水準にある。

これが何を意味するかというと企業の取り分が増えているということだ。ということは当然同じGDPの弱い成長でも企業の取り分が増えることで企業は利益を伸ばしその結果として株価が上昇してきたということになるわけである。

そのほかの理由は何だろうか。

まず予想を下回る経済成長は中央銀行による金融緩和が長期化するとの思惑を呼ぶ。実際にアメリカをはじめ各国の中央銀行はこれでもかというくらいに緩和を継続(拡大)してきた。このことが株価を押し上げた。これはまあいわゆるバブル論に近いだろう。

ほかにもインフレが非常に低位で安定していたことも実際には株価の押し上げ理由だろう。インフレの安定は中央銀行に成長重視の緩和政策をとらせやすくする。もちろん、インフレの不安定さは企業や株価にとってマイナスだから低インフレ安定が株に対するリスクプレミアムを押し下げたことは想像に難くない。

インフレの安定はおそらく世界市場が一体化しより競争的になってきていることのたまものであると個人的には考えるのでそれ自体が株価を押し上げることはそれほど問題ではないと考えられるだろう。

あれれ…。株価って経済の鏡で経済成長に連動するのでは?と思われる人もいるだろうが実際はそんなことはない。過去数年の期待以下の成長を想定以上の株高を見れば明らかだし、上述のように考えればだいたい納得がいくだろう。そう考えると一部はバブルで一部はある程度合理的な理由で株が上がってきたことがわかるのではないだろうか?

だが、去年の秋以降、日銀、中国、ECB(欧州中央銀行)と相次いで金融緩和を拡大し、FRB(アメリカの中央銀行)も労働市場がかなりタイト化しているにもかかわらず利上げに踏み切っていない。そして経済成長は依然弱く株価だけが上昇している状態だが、最近になって中国株の急落、各国市場でのボラテリティの高まりなど怪しげな兆候が出てきている。割高を指摘する声も多く米市場では機関投資家の慎重姿勢はリーマンショック以来の高水準となっているのだ。昨年秋以降の各国における政策が株価をバブル水準に引き上げてしまったことは想像に難くない。

すでにグローバルに大幅な経済成長鈍化が懸念されはじめていて今後は株価は低迷する可能性が高そうだがそのあたりの話はまた次回以降にしたいと思う。

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