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「ヒゲの隊長に聞いてみよう!」 ~平和安全法制QA~

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(小林):カフェスタをご覧のみなさま、こんばんは。今日も多くの方々に視聴いただき、本当にありがとうございます。今日は、Twitterを活用した一問一答形式で、「ヒゲの隊長に聞いてみよう!~平和安全法制QA~」をお送りしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

今回の平和安全法制の法案ですけれども、国会において活発な議論がされているところですが、この法案については私も地元で国政報告会の時などに、色々なご質問をいただきます。難しかったり、具体的によく分からないという声もいただきますので、今日は、ヒゲの隊長こと、佐藤正久国防部会長にぜひ分かりやすく解説をしていただいて、平和安全法制をみなさんと一緒に考える機会にさせていただきたいと考えています。

それでは今回、平和安全法制について質問に回答してもらう佐藤正久国防部会長をご紹介する前に、実は「教えて!ヒゲの隊長」という動画がありますので、まずはみなさんにこちらをご覧いただきたいと思います。

(「教えて!ヒゲの隊長」ショートアニメ放送)

(小林):それでは改めまして、ショートアニメに声で出演、そして本放送の回答者である、佐藤正久国防部会長です。どうぞよろしくお願いいたします。

(佐藤):よろしくお願いします。いま見ていただきましたけども、みなさんご覧になっていかがでした?

私は初めて声優に挑戦したんですけども、ちょっと顔が怖くないですか?もっと優しく描いてくれればなぁ、と思ったんですけども。知り合いからは、「棒読みだ」とか「福島弁でなまってる」などと言われまして、もうやめた方がいいのかなぁとも思いますけども、少しでも、一人でも多くの方々に、今回の平和安全法制の必要性を理解していただくことが我々政治家の務めだと思って、今回声優に挑戦させていただきました。一人でも多くの方々に拡散をしていただければ、非常に嬉しく思います。どうぞよろしくお願いします。

(小林):早速、「拡散協力します」というコメントをいただきましたが、是非多くの方に見ていただきたいと思います。拡散をよろしくお願いいたします。今日はQ&Aということで、寄せられたご質問にお答えをしていきたいと思いますが、実は1問目はなんとそのアニメ動画についての質問です。「女の子が徴兵制の質問をしたのに、答えずに終わったのはナゼですか?」という質問です。

(佐藤):「徴兵制は絶対にありません」と答えたんですよ。そう答えた所でアニメでは電車が駅に着いたんです。それでアカリちゃんが「シーユー」と言ったわけですね。やはり、この徴兵制については非常に大事なポイントなので、第2弾では徴兵制に関することも含めて、アニメ動画を考えていきたいと思っています。いま準備中ですので、近日中に公開出来ればと思っています。どうぞよろしくお願いします。

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(小林):近いうちに公開されるということですので、是非お楽しみにしていただき、またそれも拡散をしていただきたいと思います。

それで、徴兵制ということですが、かなり話題にもなっているわけですが、先日、民主党からも徴兵制に言及するようなパンフレットを作成して一部配布をしたという報道がありました。佐藤部会長、そのパンフレットを見せていただけますか。このパンフレットですが、どのように思われましたか?

(佐藤):「いつかは徴兵制?募る不安」とありますが、これは「あおる不安」ですよ。内容を見ても、「えぇっ」と思いますし、しかもこの絵を見てください。これは昔の旧軍のイメージですよね。しかもお母さんがのぼりを持って、いまから出征する時のイメージです。ちょっと違った意図を感じませんか。これは現代と全く違いますよね。しかも、お母さんを使って、不安をあおっているようにしか見えません。

徴兵制ですが、実際に、今の日本であると思われますか?いま、安倍総理も国会で何回も答弁しておりますが、憲法の13条あるいは18条の観点から、「徴兵制はありません」、と答えています。さらに、いまは現代戦ですから、穴を掘ってそこで小銃を構えて撃ち合うという、そういう戦いではないんです。

素人が戦車とか、あるいは戦闘機、護衛艦というものを操作できると思われますか?それは無理ですよ。自衛隊の主力は確かに若者です。この前まで高校生だった、あるいは大学生だった若者です。彼らが一人前になるには、やはり10年はかかると言われています。その間も厳しい訓練を通じて、やっと一人前になるんです。団体行動、上下関係、色々な中でやはり自分の意思をだんだん強くしていくわけですよ。志願制ではなく徴兵制で来た若者が、そういう強い意志がなければ、立派な自衛官になることは非常に難しいと私は思います。

そういう上においても、この徴兵制というのはなかなか現代には馴染まない。主要先進国においても、徴兵制を採っている国はもうありませんし、実際に徴兵制を行おうと思えば、防衛予算もすごくかかってしまうんです。いま防衛予算は4兆7千億円から、今年度は5兆円にいきましたけども、その4割5分が隊員のお給料と、そして食事代なんです。徴兵制でそういうものを増やせば、更に防衛予算が増える。いま、財政再建をやるという中で、いかに防衛費を捻出しようか、どう社会保障費をしっかり確保しようかという時に、徴兵制でまたその分もかかるというのは、現実的ではないと私は思います。

(小林):このように、現実的には運用できないということと、そもそも憲法で、それはできないと書いてあるわけですからね。

(佐藤):しかも、野党の方々が徴兵制と言う理由が、一つは「限定的とは言え、集団的自衛権を認めてしまえば、自衛隊員がどんどんやめていく。やめてしまったら募集しないといけない。でも入ってこない。だから徴兵制だ」という、極めて単純化した、乱暴な理論なんです。集団的自衛権が認められたとしても、日本を守るための集団的自衛権なんです。自衛のための集団的自衛権を、今回、限定的に容認しようという限りにおいては、自衛隊員がやめるということは想定していませんし、そういうことはないと思います。

もう一つの理由は「今回、限定的とは言え集団的自衛権を認める上において、憲法の解釈を変更した。だから徴兵制についても、今はやらないと言っていても、いずれ解釈を変更して認めてしまう」という、突拍子もないような論理で不安をあおっているだけなんです。政党として国民にそのように訴えるというのは、私はこういうやり方はどうなのかなと思います。元自衛官として、子どもを持つ親の一人としても、こういうやり方については怒りを覚えますし、非常に気分が悪いですね。

(小林):個人的には、すごくショックでしたね。同じ場で議論をする方々がこういうあおり方をされるのか、と残念でした。今日ご覧のみなさま、そして後で動画を見ていただくみなさまにも、この2つの観点で徴兵制はないんだと、運用の観点と、そして憲法の観点からもないんだ、ということを是非ご理解いただいて、そういう話題になった時には、こういうことであり得ないんだ、というふうにお話をいただきたいと思います。

続いての質問に回答をお願いしたいと思います。「正直難しいことはわかりませんが、法改正は必要なのでしょうか?他の国の災害地や紛争地の支援も重要かもしれませんが、一番望んでいるのは、自衛隊が紛争に巻き込まれないことで、金銭面での支援や安全な場所での活動をお願いしたいです。」という質問です。

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(佐藤):私も元自衛官ですし、危険な任務というものについては色々な思いもありました。いま私は政治家として活動しています。政治にとって一番大事なことは、自衛隊員が自衛のための戦争をしなくてもよい国際環境をつくるための平和外交努力、これを徹底的にやることが一番です。

でもその一方で、やはり国家・国民を守るために、あるいは本当に世界で困っている人を助けるために、自衛隊は備えをしないといけない。いざという時のために、抑止力・対処力の観点から備えが必要なんです。備えとは何だ、というと、やはり自衛隊がしっかり動けるための法的な基盤と同時に、予算・人員・装備という態勢をしっかり整えるということも、政治の責任だと思います。

だから政治としては、まさに自衛隊に危険なところに行って欲しいとは誰も思っていません。だけど、自衛隊がそういう危険なところに行って、任務をしてもらうということについて我々は感謝をすべきだし、彼らに対して尊敬を持つべきだと、私は思います。彼らにも当然ご家族もいらっしゃいます。でも、誰かがその任務を行わないといけない。

政治としては、自衛隊のそういうリスクをやはり少しでも抑える、小さくする努力をする。同時に、それでもやはりリスクは残るわけですから、国家・国民のためにリスクを背負う、国家・国民のリスクを下げるために、自衛隊にはリスクを背負ってもらう場合もあるんです。だから、政治はそういうことをしっかり踏まえた上で、政治の責任として、自衛隊のリスクを少なくすると同時に、やはり何かあった時の名誉と、あるいは処遇という部分をしっかり担保する。これも政治の責任だと私は思います。

(小林):実際に今回法改正が必要なのかという問いに対してですが、要は日本として法律がないと自衛隊も動けないわけですよね。実際に動けなくて苦労している点もあるわけですよね?

(佐藤):そうです。自衛隊というのは、法律がなければ1ミリも動けないんです。文民統制の中で自衛隊は動きますから。まさに国会、立法府で法律を通して、その範囲内で自衛隊は動く。これがシビリアンコントロールの原点です。そういう中において、じゃあその法律が今の日本を取り巻く環境にマッチしているかというと、これは自民党も民主党さんも維新の党さんも、多くの政党が、やはり日本を取り巻く環境は厳しくなったね、と言っているんです。

であれば、そういう中で国家・国民のリスクを下げるために自衛隊に動いてもらうためには、その分の法律が必要なんです。厳しいと言っておきながら、法律を出さないということは、私は政党として無責任だと思います。対案を出さずに政府与党案に対して批判だけしている。これはやはりおかしい。国民の代表として国会、立法府にいると、周辺環境が厳しくなったと思います。であれば、やはり自衛隊がしっかり動けて、そして国家・国民のリスクを下げるための法律を整備するのが、政党としての責務だと思います。

この前のカフェスタでも言いましたけれども、北朝鮮の弾道ミサイルの対処についてもそうです。、あるいは国際貢献で自衛隊の武器使用が国際基準からかなり乖離をしているものを、国際標準に少しでも近づける。そして自衛隊がしっかり動きやすくする。こういうことも、政治の責任だと私は思います。

(小林):よく、「自衛隊のリスクは上がるんですか?下がるんですか?」という質問をされますけれども、これによって下がることもあるわけですよね?

(佐藤):これは極めて乱暴な議論なんです。現場からすれば、リスクが上がるか下がるかというのは、自衛隊がどういう任務をどこでやるかで変わるんです。そこの議論を置いておいて、じゃあこの法律を整備したらリスクは上がる、下がる、というのは極めて乱暴な議論で、そういう議論をしていると現場の自衛官は「国会で何をやってるの?」と思う人がいる、あるいは一般国民でもそう思いますよ。

大事なことは、自衛隊が国家、国民のために、あるいは困っている人のためにどこでどういう活動をやるか、これによって全く変わってくるんです。ただ、平時からグレーゾーン、重要影響事態、あるいは有事まで、切れ目なく日米が連携して守り合う態勢をとるということで、抑止力は高まります。結果として抑止力が高まれば、自衛隊のリスクは下がる。全体としても下がるという側面もあろうかと思います。ただ、個別ケースにおいては、自衛隊がどういう任務をどこでやるかによって、リスクというのは変わりますから、そこは個別具体的なケースで議論をしないと、一概には言えないと私は思います。

(小林):ありがとうございます。では、続いての質問に移りたいと思います。「個別的自衛権と自衛隊だけで日本全土を隈無く守ることが出来るのでしょうか?」という質問です。

(佐藤):個別的自衛権と自衛隊だけで日本を全部守れるか、という話ですよね。まず、自衛隊だけで日本を全部守れるか。これは無理です。自衛官は全部で24万人です。24万人で全国を守る、これは無理です。ケースにもよりますけども、一般的にはなかなか厳しい。東日本大震災の時も、自衛隊が10万人出ました。でもその時も、警察や消防や海上保安庁や自治体や、色々な方々の協力を得て、みんなで守ったわけです。国というのは、みんなで守るという気概がなければ守れません。

やはり自分の国ですから。自分の愛する家族を守る。それはやはりみんなで手分けして守らないと、「自衛隊だけでお願いします」というのは無理なんです。例えばこの東京周辺一つとっても、警視庁ってありますよね。警視庁とは、東京都の警察ですよね。小林さん、定員ってどれくらいいると思いますか?

(小林):警視庁の警察官が何人いらっしゃるのか。考えたこともないですね。

(佐藤):約4万5千人いるんです。では、東京とその周辺の静岡、神奈川、そして千葉、埼玉、茨城、山梨県の1都6県、これを陸上自衛隊の第1師団と言うんですが、どのくらいいると思いますか?7千人弱です。1都6県で7千人弱ですよ。東京都だけで警視庁は4万5千人ですから。東京の治安の維持だけでも、いま4万5千人の警察官の方が一所懸命やっている。それでもなかなか大変でしょう。

そういうふうに全部を守るためには、戦争を起こさせないための外交努力と同時に、いざという時はやはり日米同盟を含め、多くの国が連帯をしてそういう脅威に対応する。同時に、やはり自衛隊、警察、消防、あるいは多くの公共機関を含めて、みんなでこの国を守るという態勢をとることが大事だと思います。

(小林):国内においても、それだけ連携をしなければ守れないという状況だということですね。

(佐藤):更に、個別的自衛権だけではどうかというと、前回のカフェスタでも言いましたけども、やはり個別的自衛権というのは、自分が攻撃されたら自分で跳ね返す。この一つの弱点は、自分だけなんですね。集団的自衛権は、小林さんと私が密接な関係にあれば、お互いに守り合う。お互い守り合ったほうが力が強いに決まっていますね。

そういう中で、個別的自衛権に関しては、日本は使えるという態勢できました。でも集団的自衛権は、アメリカは日本を守ってくれるけれども、日本はアメリカを守りませんよ、という状況でした。となると、一番の弱点は日本が個別的自衛権を発動する前に、近くにいるアメリカが結果として日本を守っているような態勢の時ですね。これは日本が守らないと。

(小林):次は日本にくるということですね。

(佐藤):自衛隊がアメリカの本土まで行ってアメリカを守るための集団的自衛権ではありません。例えばアメリカ軍が近くにいて、アメリカ軍を守らなければ、そのまま放置をしていたら、日本国民の命が守れないという場合に限っての集団的自衛権の部分であり、その隙間を埋めておかないと守れない場合がある。それは弾道ミサイルとか色んなケースがありますけれども。

(小林):イージス艦が例えば弾道ミサイルを察知している状況などですね。

(佐藤):色んなケースがありますけれど、まさに日本にいきなりドーンとこられても困りますし、日本が個別的自衛権を発動する直前の隙間、これを埋めるためには、場合によっては集団的自衛権を限定的に使わないといけない場合がある。よく例えられるのは火事です。これは適切かどうかわかりませんけれど、極端な例として、隣の家で火事があったとします。火事があったときに、火の粉が自分の家の方に来るというのであれば、日米連携で、隣の家の火を消すというのは当たり前です。

(小林):消火を手伝いに行くんですね。うちまで燃えてしまいますから。

(佐藤):今回はそういう場合に限っての集団的自衛権なんです。自分のほうに火の粉が来てからでは遅いでしょ、ということに限ってのケースですから、そういう隙間を埋めるという意味では、やはり個別的自衛権だけではなかなか対応できないという話だと思います。

(小林):この隙間を埋めるということがポイントだと思っています。一方で、よくある質問の中では、「アメリカを助けるために日本はどこまでも行くんじゃないか、そういうリスクもあるんじゃないか」、こういうことをおっしゃる方もいらっしゃいますが、これはどういうふうに考えますか?

(佐藤):今回、新3要件という条件はあるんですけれども、火事の例で言えば、自分の家の方に火の粉がくる、そういう火は消せるんです。でも、隣の火事でも、自分の方に火の粉がこない、そういう場合は消しに行けないんです。これは憲法9条の制約の中で、まさに自分のところに関係がある場合に限って火を消しに行ける。非常にわがままな、身勝手な集団的自衛権に見えるかもしれませんけども、そういう枠組みなんです。

(小林):ちゃんとそういう制限がかかっているということですね。

(佐藤):どこまでも行くというわけではないのです。極めて普通の国からすれば、集団的自衛権はフルスペックです。お互いに守り合う。そうではなくて、そのまま放置をしたら自分がやばい、というときに限って相手を守るという、どちらかというと身勝手な集団的自衛権をいま議論しているわけです。これは憲法9条の制約の中でぎりぎりのところかもしれませんけども、そこを議論しているということで、歯止めがかかっているわけです。

(小林):そのときですが、具体的に、火の粉がうちにくるのかこないのかということを判断する手続きも、もちろん国会で行うわけですよね。

(佐藤):緊急を要するときは、事後承認ということもあるかもしれませんけれども、個別的自衛権にせよ集団的自衛権にせよ、自衛隊が動くという時は、当然いろんな手続きがある。内閣の手続きも必要ですし、国会の手続きも必要です。しっかりとシビリアンコントロールをかけています。ただし、手続きにあまり時間がかかってしまって、結果として守れないということでは本末転倒ですから、そこのところは議論の中で、しっかりシビリアンコントロールと、国民の命を守る手続きの迅速さ、そういうものを折衷しながら法案を出したということです。

(小林):ですので、何でもかんでもできるというわけではないんですね。きっちりと制限がかかって、しかもそれを発動するときには、手続きもしっかりあるということですので、是非ご理解をいただきたいと思います。では次の質問に移らせていただきたいと思います。「ホルムズ海峡が機雷で封鎖され日本人の生命に危機が及ぶ事態になった場合でも、実質停戦が行われるまで機雷掃海はしない(実際できない)のですよね?であれば停戦まで日本人の生命はどう守るのですか?論理が矛盾していませんか?」という質問です。

(佐藤):ちょっと間違っているのは、今国会で議論されているのは、「実質停戦が行われるまで機雷掃海はしない」ではなくて、今回まさに、新3要件に合致をして、これが存立危機事態にあたり、集団的自衛権を行使しないといけないという状況であれば、その場所の安全確保ができれば、実質停戦の前でもできるんです。要は、掃海部隊って非常に火力に弱い部隊ですから。

(小林):多分イメージがわいていないと思いますけれど、掃海部隊ってどういうものなんですか?小さい船なんですよね。

(佐藤):小型のプラスチックのFRP(繊維強化プラスチック)とか、あるいは最近までは木で作っていました。そういうもので掃海しますから、機雷を掃海する現場に弾が飛んでくる状況では、どこの国も掃海できないのです。つまりは現場の安全が確保できれば、掃海は技術的にはできるんです。実質停戦前でも、そこの場所に弾が飛んでこなければ、できるんです。

例えば日本の場合、北海道とかあるいは東北のほうで仮にまだ紛争が続いていたとしても、九州のほうで関門海峡に戦火が届かなければ、機雷掃海はできるでしょう。このように実質停戦ではなくて、その現場の安全確保ができれば、これは存立危機事態であれば掃海はできるんです。

また、存立危機事態の前に、重要影響事態というものがあり、日本に影響が出る事態です。このホルムズ海峡の事案が重要影響事態という状況であって、多国籍あるいはアメリカと日本に関係する国が掃海をはじめ色んな行動をとる場合、それに対する後方支援は出来るんです。だから停戦まで何もやらないのではなくて、他の国が動いているとき、それが重要影響事態に認定できれば、それに対する後方支援、給油あるいは整備、給水というものは出来ます。色んな形で、特に日本が一番影響を受けるホルムズ海峡ですから、実際何もやらないというわけにはいかない。

(小林):ホルムズ海峡がどんな場所かという地図をご用意いただきました。

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(佐藤):これは日本の油の道、オイルシーレーンと言われていまして、これがペルシヤ湾。これがホルムズ海峡です。一番狭いところが32、33キロと言われています。自衛隊が持っている大砲FH70でも、一番狭いところでは対岸に届く位です。そういう所をペルシヤ湾からずっと赤い線を通って日本に油が来ているんです。この赤い線上には衛星で写真を撮ると、約90隻の大型タンカーがあり、これが日本用です。

(小林):数珠つなぎでずっと動き続けているんですよね。

(佐藤):そうでないと、日本の経済活動、あるいは生活が維持出来ないんです。そこで一番狭い場所の一つがホルムズ海峡で、これは日本関係の船舶が年間3600~4000隻通っているんです。一番使っているのが日本なんです。同じ様に台湾も韓国もペルシヤ湾に頼っているんです。韓国も台湾も、日本と同じように油の道は一本なんです。ホルムズ海峡が機雷で閉鎖された場合、ものすごい色々な影響が出ます。まさにそれは日本にとって死活的な影響と認定し、やはりこれは三要件に合致しますねということであれば、ここに対しての機雷掃海は停戦前であっても安全が確保出来ればこれは対応出来ると。日本は非常に高い掃海能力を持っているのです。

(小林):これはかなり世界からも期待されている。

(佐藤):実は湾岸戦争が終わった後に、自衛隊の掃海部隊が出ました。自衛隊は後から行ったんです。残っていたのは他の国が処理出来ないような機雷ばっかりだったんですね。それを自衛隊が片付けたんです。世界で掃海能力を高く評価されました。 ホルムズ海峡を一番使っているのが日本です。そうであれば、他の国が同じ様に機雷掃海する時に、やはり日本の責務として国家、国民の命を守るためにも、一緒に掃海するということも、私は選択肢の一つだと思います。やっぱりそういう危機をいかに共有するかというのは、一つの同盟とか信頼関係の基礎だと思います。

(小林):ありがとうございます。続いて次の質問に移らせていただきたいと思います。「安保法制で、こないだの小笠原諸島に大挙して押しかけてきた中国船団みたいなグレーゾーン事態に対処できるようになるのですか?」ということなんですが、小笠原諸島ですからサンゴのケースですね。

(佐藤):それは泥棒漁船ですよね。人の所に勝手に入ってきて赤サンゴを獲っていく。これは泥棒ですよ。でも、あれは武装漁民ではありませんから、グレーゾーンにはあたらない。単なる泥棒、犯罪ですからグレーゾーンには当たらない。だから、警察や海上保安庁が対応する。ただし、あの時の問題点は、インフラ整備・基盤が非常に弱いということです。警察、海保がそこに集中しようと思っても、基盤がないために行けなかった。具体的に何だと思いますか。

(小林):港ですか?

(佐藤):港と空港です。要は、小笠原には空港がないんです。警察を派遣しようと思っても、船で行くわけですが、二日かかるんです。

(小林):それじゃあ全く間に合わないですね。

(佐藤):海上保安庁の場合は、向こうで活動しようと思った場合、制約があったのは二つです。一つは小笠原だけではなくて、尖閣の方でも警備していますよね。やはり小笠原と尖閣、この二正面に対処するだけの十分な船が当時はなかった。今年度末までに尖閣の専従体制として14隻体制を組みますけれども、二正面体制にはそういう面では数が少なかったという部分があります。同時に海上保安庁の巡視船というのは、洋上での給油能力がないんです。どうするかというと、なくなったら1000キロ離れた小笠原から横浜まで帰って来ないといけない。

(小林):二日間かけて、戻らなければいけない。

(佐藤):給油施設が小笠原にはありませんから。だから戻って来ないといけない。非常にいろんなものに制約がありました。それで、これはグレーゾーンじゃないんですけれども、燃料施設とか空港を含めたいろんな基盤をしっかり整備するということも、法律だけではなくて大事だということです。

(小林):予算としてしっかりやらなきゃいけないということですね。

(佐藤):では、グレーゾーンの場合ですが、最初は警察や海上保安庁で対応する。でも、やはり今言ったように、警察や海上保安庁は能力を高めるということが大事であると同時に、それでも彼らの能力を超えるという時は、いかに早く自衛隊を治安出動なり、あるいは海上警備行動で早くそこに向かわせるかという部分が大事です。今回我々はまさに早く自衛隊を投入するために、閣議決定を電話等でできるようにする。日頃から海上保安庁、自衛隊の訓練を更に強化する。また運用の改善を高めようとしています。これはなぜかというと、グレーゾーンという事態はまだ警察で対応するのが本来の筋の事態です。そこに、先に自衛隊を出すとどうなるかというと、相手国から見ると、「先に軍を動かしたのは日本だ!」と全世界に言うわけです。

そうなると先に軍を出したから、我々も軍を出そうということで、事態を更にエスカレートさせてしまう。今まで警察対警察だったものが、軍対軍になってしまう。その部分は非常に抑制的に、だけどしっかり権益を守るためにどういうふうにするかは非常に難しい問題で、微妙な問題です。ここを一歩間違えて、はじめに警察が出来るところまで自衛隊がやってしまったら、それは相手に付け入る隙を与えることになります。

尖閣の方でも海上保安庁などが警備をしている段階で、まだそういう所が対応出来る段階で、自衛隊を置いてしまったら、向こうも、今は海警という警察が来ていますが、軍が来ても文句は言えないよね、となりますから。その後、軍艦対軍艦のような画になってしまう。これは日本にとって良くない。今はしっかり日本が持っている状況ですから、ここは現実の世界の中で、本当にリアリスティックに考えないと失敗してしまう。

一番良い例は、尖閣の国有化ですね。国有化は目的じゃないんです。手段なんです。大事なことはしっかり日本の権益を守るということです。でも国有化した時にどういうことが起きるか十分考えずにやってしまったら、尖閣にたくさん工船が来てすごかったですよね。同時に中国本土の方では日本関係のレストランとかデパートが焼き討ちにあったり、ということが起きてしまう。

ですから政治というのは、こういうふうに手を打ったら向こうがどうなるかということを現実の世界の中で真剣にリアリスティックに考えないと、かえって国益を失ってしまうことになりますから、まさにこのグレーゾーン事態というものは、個別のケースごとに考えないと失敗すると思っています。

(小林):相当難しいですよね。それこそ偽装船なんて言われる人達が来た時に、警察で対応しきれるのか、そして自衛隊が出なきゃいけないのか、そういう判断も必要ですよね。

(佐藤):警察と海上保安庁の能力を高めるというのが、まず我々にとって大事なことなんです。例えば竹島に韓国の部隊がいますよね。あれは軍じゃないんです。警察なんです。国境警察が対空機関砲を持っているんです。

(小林):かなり能力が高いですよね。

(佐藤):他の国の国境とか島というのは、軍じゃないんです。武装警察なんです。でないと軍を先に出したら、そこが特にもめているところであれば、外交交渉上も付け入る口実を与えますから。

(小林):エスカレートする理由を作っちゃうんですね。

(佐藤):それは最終手段だというふうに思います。

(小林):皆さんにもご理解いただけたんじゃないでしょうか。次の質問に行きたいと思います。「なぜ安倍首相は集団的自衛権が合憲であるとの根拠に砂川判決をあげ続けるのですか?」という質問です。

(佐藤):小林さん、合憲か違憲か、憲法に合っているか違反か、どこが判断すると思いますか。

(小林):最高裁判所ですね。

(佐藤):最高裁判所なんです。正しいか正しくないかの判断は、最終的には最高裁判所なんです。最高裁判所が、自衛のための措置というものは憲法九条の範囲内だとした判決がこの砂川判決なんです。最高裁で、自衛のための措置、これは憲法九条の認める範囲内だというふうに出したんです。これを受けて日本政府は昭和47年の政府見解で、自衛のための必要最小限の武力の行使は憲法の範囲内ですというふうに、砂川判決を受けて政府の見解を出したんです。でも、今から43年前の周辺環境を考えた場合、必要最小限度の武力の行使というのは、環境を考えたら上限が個別的自衛権ですよねというふうに、そこを当てはめました。

(小林):あえてここまでと、切ったわけですね。

(佐藤):しかし、43年間の間に日本をとりまく環境は変わったんです。弾道ミサイルも日本を射程に入れるものがいっぱいありますし、実際北朝鮮からのミサイルが日本の上を飛び越して太平洋に落ちたんです。戦闘機や爆撃機の能力も上がっている。環境が変わった時に、日本国民を守るための必要最小限度の上限はどこですかと議論したときに、やはり個別的自衛権だけでは守れない場合がある。限定的とはいえ集団的自衛権を認めないといけない場合がある。ということで、集団的自衛権の一部は必要最小限の中ですね、というふうに今回政府は解釈したわけです。

もともとの政府の見解の出発点は、まさに、それが合憲か違憲かを決める最高裁判所の砂川判決なんです。だから安倍総理は根拠の一つとして砂川判決というものを説明し、砂川判決と我々の政府の見解というのは軌を一にする、考え方が同じなんですよということを説明しているんです。

(小林):法律の世界は判例をもとに理論を構築していきますので、私たちも勝手に合憲だ違憲だと言っているわけではなくて、こういう過去の判例をもとに理論を積み上げて、そして外的な環境が変わったので、この必要最小限度の範囲を考え直さなきゃいけない、ということですね。こういうことから、砂川判決を取り上げているということでご理解いただきたいと思います。

では続いて、憲法に関してもう一問です。「圧倒的多数の憲法学者も国民の大多数も『憲法違反』として反対している戦争法案に、自民党はなぜ執着してるのですか?」という質問です。

(佐藤):まずこれは戦争法案ではありません。まさに国家、国民の命と暮らしを守るための平和安全法案です。今回の政府の出した平和安全法案は憲法に合致しています、合憲ですという憲法学者もいるんです。でも一方で、違憲だという憲法学者もいます。憲法違反だと言っている憲法学者の中には、自衛隊も憲法違反だと言う人も結構いるんです。自衛隊も憲法違反だと言われたら、個別的自衛権も憲法違反になっちゃうんです。

(小林):そもそもそこを認めないと言われてしまうと、ということですね。

(佐藤):それでは我々は国民の命や暮らしを守ることは出来ない。やはり先ほどあった砂川判決で自衛のための措置は、それは憲法の許容範囲内であるという中で我々はやっていますから。まさに憲法学者にしてもいろんな方がおられるということで、我々は国家、国民の命を守るために、憲法学者が最終的に判断するのではなくて、最高裁判所が判断する。その砂川判決に基づいて我々は解釈したということだと思います。

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