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中央銀行って本当に必要なんだろうかと考えてみる(2)

欧州中央銀行がギリシア・アイルランド・ポルトガルなどの国債を買っている。といっても今年の5月以来だが。

ご存知のとおり、財政不安から欧州のPIIGS

といわれる国の国債はどんどん売られている。

欧州中央銀行(ECB)

はこれらの国の国債が売られているのは根拠の乏しい市場からの攻撃であるから、これらの国の国債を買い支えることで上記の国々のファイナンスを支えようとしているわけだ。

しかし、何が不均衡で何がミスプライスなのかを中央銀行が判断することができるのだろうか?市場価格というのは多数の参加者の意思で決まる。それが間違っているんだと一部のエリート(?)が判断することができるのだろうか。

実際、5月以降始まったECBによるこれらの国の国債の買い入れは市場沈静化に目立った成果を挙げているわけではない。市場を動かすことは政府機関といえどもできないということを如実にあらわしている。

それはそうと、ここで重要なのはもし実際にこれらの国のひとつがデフォルトに陥った場合には欧州中央銀行が損失をこうむるということだ。欧州中央銀行はユーロ加盟国の出資によって成り立っているから、損失を穴埋めするために各国が増資に応じないといけない可能性は高い。

ギリシアという放漫財政を行ってきた国のツケを払うためにドイツ国民などの税金が使われるという事態には違和感を覚える人も多いだろう。

事実将来の損失の可能性に対応するためにECBは50億ユーロの増資された。

でもこれっていろんな当局者の発言を聞いていると実際はこの欧州中央銀行の政策は直接ギリシアを支援することには批判が多いと判断したユーロ圏各国政府の圧力で行われている可能性が相当高いように思える。

実際、ECBの首脳は国債買取は時間稼ぎにすぎず問題を根本的に解決できない。国債買取は一時的措置にすぎないと繰り返し訴えている。

一方で日本のリフレ派の中にもリスク資産をがんがん買い取ればいいという人たちがいる。

その場合も日銀がリスク資産買取によって大きな損失をこうむった場合には政府がわれわれ日本国民の税金をもって増資に応じなければいけない。このことに対する国民的合意があるのだろうか?選挙民から選ばれた政府の選択であればまだ仕方ない面もあるかもしれないが、中央銀行という官僚組織が勝手にリスク資産を買い取りをはじめ、その結果損失をこうむった場合にその増資に税金が使われることに納得する人はそう多くはないだろう。

さらに、リスク資産を買ったところで欧州の例を見てもわかるように本質的な問題の解決にはならない。同様に日銀がリスク資産を買えば単純にかつ長期的な(?)景気の浮揚につながるというのはあまりに稚拙な考えだろう。

そういった行動は超短期的には市場を落ち着かせる効果(もしくは、景気の極端な悪化を緩める)痛み止めとしての効果はあるかもしれないが、決して問題を本質的に解決することはない。

日銀のリスク資産を買い取るというのも、圧力がおそらく政治家からかかったものだろう。欧州中央銀行も日本銀行も全うな中銀だからそんなことは本当はしたくないはずだ。

財政赤字が膨大な額になっている中で安易な財政政策は国民の批判の対象となりやすい。一方で中央銀行がリスク資産を買い取るというとなぜか問題がないと思う人は多いようだが、その場合でも結局損失が生じた場合には国民が税金でそのツケを払わねばならないという点を見落としてはいけないだろう。(政治家としては国民を欺きやすい。ノーリスクのフリーランチだと嘯いているわけだ。)

ちょっと結論は飛躍するが、そのような金融や経済に対する理解の乏しい政治家のおもちゃに使われてしまう中央銀行という存在はやはり考え直さねばいけないと僕は思っている。

安易な中央銀行悪玉説には反対だが、悲しいかな彼らがまじめに仕事をやればやるほど政治家や金融・経済の知識がない庶民から批判され、最後は圧力のもとに政治のおもちゃになるそういった存在だからだ。(積極的に金融緩和をするバーナンキは政治がうまいといえるだろう。笑。というかFEDというのはそういう存在だ。僕はECBのほうが好きだな。)

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