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【読書感想】飛行機事故はなぜなくならないのか


Kindle版もあります。

内容紹介

飛行機事故による死者は、全世界で年間500人程度である。飛行機による重大事故の発生率は年々減る傾向にあるが、事故はゼロになっていないし、今後ゼロになることもあり得ない。一方で、事故をゼロに近づけようという努力は常に続けられてきている。本書では、過去の飛行機事故の事例を分析し、事故はなぜ起きたかを検証したうえで、事故を減らすために機材や安全装置がどのように進歩してきたかを解説する。(ブルーバックス・2015年4月刊)


 飛行機、好きですか?

 僕は正直、ちょっと苦手なんですよね。

 昔はもっとダメで、「あんな鉄の塊が空を飛ぶなんて!」と思っていたし、ふとした瞬間に、「ああ、この機内から一歩外に出たら、もう絶対死ぬんだな……」なんて考えはじめたら、怖くてきりがなくなってしまっていました。

 最近は、少し慣れてもきましたし、飛行機の中というのは、他にやることもないので、本を読むにはなかなか都合の良い空間でもありますよね。

 隣がものすごく話し好きの人だったりすると、困惑してしまいますけど。


 この新書には、数々の飛行機事故を紹介・分析し、「どのような理由で飛行機事故が起こってきたのか?」そして、「事故を予防するために、どのような取り組みがなされてきたのか」が書かれています。


 飛行機というのは、基本的には、「すごく安全性が高い乗り物」なんですよね。

 しかも、その事故率は、年々低下してきているのです。

 第2章で、国際航空運送協会(IATA)がまとめた2013年の安全レポートを取り上げるが、その中で、西側性ジェット旅客機の全損事故(その飛行機が修理不可能、使用不能となる事故)件数は、飛行100万回で0.41件だったとされている。百分率で言えば0.000041%で、日常生活ではゼロと見なしても構わないような値に思える。しかし表現を変えると、1000万分の4.1であり、ジャンボ宝くじの1等当選確率の4倍もの数値ともいえる。宝くじの当選者が実際にいることもあって、こちらの方が遭遇しそうな数字に思えてしまう。

 また、国際航空運送協会(IATA)の2008年から2012年までの1年あたりの平均値も示されています。

 ジェット旅客機事故件数:54件

 ターボプロップ機事故件数:38件

 ジェット旅客機全身事故率:0.54 

 死者の出た事故件数:120件 

 死者数:575人

 ちなみに、日本の航空会社によるジェット旅客機の全損事故の割合は約3.5年に1件で、過去3年半(以上)日本の航空会社は全損事故を1件も起こしていません。

「日本の航空会社は世界的にみても安全といえる」とのことです。

 この本のなかでは、地域別の事故率なども紹介されていて、「アフリカ」「中東・北アフリカ」の事故率が、他の地域と比較してかなり高くなっています。

 また、「離陸・着陸時には事故が多い」理由も、実際のデータを用いて解説しています。


 世界的に格安航空会社の便数が増加していることもあり、飛行機の便数は増加しつづけています

 にもかかわらず、事故の全体数はあまり変わっていない。

 ということは、飛行機輸送の安全性は、どんどん高まってきているのです。

「あんな鉄の塊」は、そう簡単に落ちるもんじゃない。

 とはいえ、自分が乗った飛行機が墜落していく、という状況は、想像するだけであまりにも怖い。

 この新書に書かれていることは「飛行機はかなり安全性が高い乗り物で、しかも、さらにその安全性を高めるための研究と工夫が続けられている」ということなんですよ。

 ボーイング787のコックピットの写真を見ると、昔の機体よりも計器が少なくて、ディスプレイもわかりやすくなっており、まるでテレビゲーム『エースコンバット』みたいだなあ、なんてことを思いました。

 しかし、こうして55件もの事故の話をひたすら読み続け、事故前のパイロットの交信記録をみていくと、怖くなってしまうのも事実で、やっぱり、「それでも事故は起こるものなのだ」とも痛感します。

カナディアン・パシフィック航空爆破事件

 乗客の自殺ではないが、保険金目当てに航空機を爆破した事件もある。

 1949年9月9日に起きたカナディアン・パシフィック航空のダグラスC-47-DL(DC-3, CF-CUA, 製造番号4518)爆破事件は、別の女性と結婚したい男が、妻に1万ドルの保険をかけるとともにその搭乗機を爆破して、妻を殺し保険金を手にして、結婚も果たすことを目論んだものであった。この男は時限爆弾を貨物に載せ、妻の搭乗した飛行機を爆破した。

 この身勝手は犯行により、この機に乗っていた乗員4人と乗客19人(もちろん妻も含む)の計23人全員が死亡した。ちなみにこの男はその後逮捕されて、死刑になっている。また結婚相手の女も、共犯者として死刑判決が下されて執行された。

 テロやハイジャックに巻き込まれることだってあるし、こんな身勝手な犯罪に居合わせてしまう可能性だって、ゼロではありません。

 保険金殺人だけでも酷いけれど、無関係な人たちをこんなに巻き添えにするなよ……

 NY同時多発テロの教訓で、機長室のドアは外部からは開けられないようになったのですが、先日起こった飛行機事故では、操縦士が機内に立てこもってしまい、外部からは手をこまねいてみているしかなかった、と言われています。

 ひとつの可能性に対して「安全性を高める」ために行ったことが、別のケースにおいては、リスクを高める場合もあるのです。

 人間にはヒューマンエラーがあり、機械にだって故障がある。

 それでも、僕は飛行機に乗るとは思うんですけどね。

 というか、乗らざるをえない。

 リスクマネージメントの参考にもなる新書だと思います。

 飛行機のなかでは、読まないほうが良いでしょうけど。

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