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ガイドラインと医療 個別化医療に向けて 結局は医者の腕?

現代の医療にはガイドライン、その病気に対してどのような診断、治療をおこなうかという教科書的なものが存在します。基本的にそのガイドラインはエビデンスという統計学的に正しい証拠の基に作成されていますので、その当時の最善に近い医療となります。(ちなみに数年前の結果)

そのエビデンスのもとは臨床試験です。あるお薬を使った人とそうでない人の結果を比べて、この薬が優れているなんて結果が出れば、そのお薬がその疾患のガイドラインで推奨されます。ちなみにこの臨床試験で問題があったのがあの捏造の降圧薬ディオバンになります。

ところが臨床試験は登録するのにいろいろな制限があります。パフォーマンスステイタス 0・1、年齢65歳未満、腎機能正常、心機能正常、重篤な併存症なし、他のがんの既往・現況なし、など試験によって参加基準が全然異なります。ある意味その病気以外は体の状況がとてもいい状態の人を評価対象にするのです。(本題とははずれますが、日本で臨床試験があまり行われないのはこの臨床試験に参加することをモルモットと思う人が少なからずいるということ、また危険なことはしたくないという国民性、そして臨床試験に携わるマンパワーの不足などが上げられています。)

ある治療をしたら60%治るという試験があっても、それは70歳未満を対象にしたもので、80歳、90歳はわかりません。つまりガイドラインには限界があるのです。

ところが診療行為のガイドラインだけでなく、その人の価値観、考え方、人生等を考慮、把握、想定し満足の高い医療を行おうというもの、つまり個々の人間のマネージメントについても厚労省はガイドライン化しようという動きがあるそうです。

ただこれは明らかな矛盾になります。患者さんが自分はこうありたいと思っても、この人の人生にとってこの生き方が望ましいと医者が決めるようなガイドラインは、単なる医療者の自己満足にすぎません。その人の死生観を含めて他人が規定するものではありませんし、ただのおしつけにすぎません。 

そして遺伝子技術が発展した現代、みんなに合わせるガイドラインの医療ではなく、個人毎に最善な医療を提供するパーソナライズドメディスン(個別化医療)が現実味を帯びてきました。ある病気の患者さんを治療する際、その人の遺伝子をみることによって副作用を含めて治療効果が予想できるといったものです。少しづつですが、米国を中心に動いています。ただお金がとてもかかりますし、実用化はまだかかりそうです。

ガイドラインでは規定できないもの(年齢、併存症、医療費等)を考慮する方法は、医師の経験しか現在ありません。しかも論文等では発表されない負の経験の積み重ねが重要になります。無理して戦いにいくか、それともうまい負け方を選ぶか。いつも悩んでいますし、答えはありません。

ガイドラインだけで決めれるものではないと思っていますが、何の理由もなくガイドラインすら守れない医療は現代では間違いです。でも薬を含めて次から次に進歩が見られる医療。数年前の古い形式を守り続けようとすることは意味がありません。それこそ憲法9条を絶対視し守ろうとすることと同じですw (医学と政治の思考過程 時代は変化しそれにあわせるのは進歩! 

いい物は取り入れて、悪いものは捨てましょう! 

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