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八王子少年鑑別所からの感謝状



八王子少年鑑別所にて、東京矯正管区長より感謝状をいただきました。

2000年代初頭に幕を開けた日本の若者支援は、「ニート」という言葉の広がりとともに飛躍的に発展しました。何が発展かと言えば、政策が作られ、受け皿(相談先など)が拡充したことです。

しかしながら、課題もありました。そもそも「若者支援」は、政治のメイントピックではなく、また、行政・自治体に専門部課局もありません(いまもほとんどありません)。

さまざまな課題や困難を抱える若者、という非常に包摂的な理念を持ちながらも、担当部署も少なく、民間支援活動も点在していました。そして「ニート」という言葉が、限りなく、人間関係が不得手で、自尊心が低く、内向的な若者をその対象者として規定したことで、ネットワークや連携先、出口(雇用先)との関係性も”そのような若者”になっていきました。

これは構造的な部分もあります。少年鑑別所や少年院などは法務省管轄であり、歴史もずっと長く、また、出所者/退院者を見守る行政担当者や、地域を知り、地域を支えてこられた民生委員などが手厚く、支援をしてきました。

枠組がしっかりしていたことが、いままで支援対象とみなされてこなかった「ニート」でイメージされた若者を、主に厚生労働省が中心となって新たな枠組み作り、ネットワーク作りへと政策整備をしてきたからです。

NPOという言葉ができる前から民間、市民活動として子どもたちや若者を支えてきた団体は、一部、対象像を特化したところもありますが、あまり対象像を区分けせず、自分たちを頼って来たひとたちを受け入れてきました。

まず受け入れる。そして一緒に寝食を共にするなかで、その若者が置かれた状況や、抱えているものを知り、支援者がともに成長する形で支えていたと僕は認識しています。僕はそのような家庭環境でしたので、次から次へと上の世代、同世代で、さまざまなタイプが自宅に来ましたので、個人的経験に絞れば、対象像の決定が先ではなく、受け入れてから悩んだり、勉強したりして道を作っていくところを間近で見てきました。

先の2000年代初頭から若者支援が大きく動き出し、政策の多くはNPOなど民間の団体に任されました。一方、既存の支援団体は数がとても少なく、規模も小さいため、さまざまな団体が立ち上がり、また、特段若者支援をメインにしていない組織も受け皿になってきました。

その流れの中でもあまり顕在化せず、しかしながら進んできたのが、「対象像」が先にあり、支援の枠組みが「仕様書」によって規定され、限られた予算のなかで、「いかに”その対象像”に対して支援ができる人材を確保・育成するか」という動きに変わりました。

受け入れてみて考えるのではなく、考え抜かれた(だろう)枠組みで支援できる若者を受け入れることになったわけです。

拡充した若者(「ニート」という言葉でイメージされた若者)支援と、既存の若者(更生保護が必要な若者)支援は分断されたまま進み、最近では連携や協働の声もとても大きくなっていますが、そこにいる”支援人材”は、各対象像を前提に採用・育成されていますので、枠組みはつながりながらも、現場ではやや混乱をきたすことも起こりました。

そのような中で、育て上げネットとして更生保護が必要な若者をしっかり支えて行こうという話が大きくなってきました。「若年無業者」とは誰かを考えていくなかで触法青年や更生保護が必要な若者が(小さいながらも)存在し、無関係であることはできないわけです。

そこから本当に少しずつではありますが、触法青年/更生保護に関するさまざまな書籍やデータで勉強し、少年院や鑑別所に伺って勉強させていただきました。また、保護司や民生委員のみなさまに、地域で出所/退院者の社会的な受け入れ、出先(就職など)確保についてのお話もお聞きしました。

すべてではないですが、運営する各事業所でも、少年鑑別所に伺う事例が増えています。これまで少年院や少年鑑別所で支援されてきた若者や少年が、出所/退院するときになって保護司や民生委員とつながり、社会生活を改めて構築し直します。

育て上げネットのスタッフも保護司や民生委員の方々とお付き合いさせていただきながら、一方で、入所/入院されている状態の若者、子どもたちに情報提供や関わりもできないかと模索しました。

今回、感謝状をいただきました八王子鑑別所さまに限らず、意見交換の機会を多々いただいた法務省のみなさま、見学や勉強をさせていただいた少年院や鑑別所の職員のみなさまなど、私たちに若者、子どもたちに出会わせていただくにあたって大変なご苦労をされたことと思います。心より御礼申し上げます。

正直なところ、就労支援に重きを置く団体として、更生保護が必要な若者を支えていくにあたって、その背景や社会(家庭)環境、成育の中で抱えた困難などに対して、不十分という言葉では言い切れないほど、リソースが不足している状態です。一足飛びに体制を組むことは難しいのですが、創意工夫と、多くの方々のご理解とご支援をいただきながら、更生保護が必要な若者に頼っていただけるように努力します。


以下、表彰状をいただきましたHR部長である井村良英の言葉になります。


【感謝状をいただきました】

昨日、八王子少年鑑別所にて、東京矯正管区長より、感謝状をいただきました。

私たちは平成21年10月から毎月1回、八王子少年鑑別所で、希望する少年たちに対してセミナーを開催しています。昨日はちょうど、70回目のセミナーの日でした。

セミナーでは、「私たちは若者の支援をしています。出てきたら私たちのところにおいで、応援するから」と声かけを続けてまいりました。

少年鑑別所、と聞くと、暴走族などの乱暴な少年たちの行き着くところ、というイメージがあるかと思いますが、「乱暴か?」と問われると、全くそうではありません。どこで行うセミナーよりも少年たちは真剣に、染み入るように話を聞いてくれます。

「人並みになりたい。」「やりなおしたい。」少年たちはみんなそんな気持ちを持っています。そんな少年たちに、応援してくれる大人がいるのだ、ということを伝えたいという思いで続けてまいりました。

少年たちからは、「どこから手をつけていいかわからなくてこうなってしまったけど、どうすればいいかわかった」「現実に頼りになる人がいるんだと、親切、丁寧に説明をしてくれたので実感できた」という感想をいただくことが多いです。

少年鑑別所の方々からは、「『若者支援の方向から、仕事や生活についての話をしてくださること』、『こういう生き方をしたい、というところからアプローチをしてくださること』、『出所後の道を示してくださること』、それらが少年たちの素直な受け止めにつながっているのだと思います」という評価をいただきありがたい限りです。今回は70回目という節目に感謝状をいただきましたが、次の71回目もしっかりと取り組んでまいります。

文章:HR部長 井村良英

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