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日本はいわゆる「軍隊のある普通の国」には未来永劫なれない

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自衛隊の海外での武力行使を解禁する、ということは、自衛隊がいわゆる普通の軍隊になる、ということです。

欧州の先進民主主義国も「いわゆる普通の軍隊」をもっていますから、日本だってそうすればいい、欧州の民主主義国家同様の「軍隊のある普通の国」になるだけのことだ、という事が良く言われました。

しかし、日本は決して「軍隊のある普通の国」にはなれないでしょう。

憲法の神髄について考えるとき、その国の歴史を抜きに語ることは出来ません
例えばドイツの憲法は人権条項などいくつかの条文は改正が禁止されてますが、これはナチにいいように憲法を無効化させられ、民主主義をズタボロにさせられた歴史に基づいています。
同じように、日本国憲法も歴史を抜きには語れません。

前のエントリ-でも少し触れましたが、日本は敗戦まで軍国主義ファシズムを極め、アジアで筆舌に尽くしがたい大虐殺を行い、国民に対しても激しい人権弾圧を行った恐ろしい専制国家でした。
ですから日本の民主主義や人権尊重の理念は、それまで国内外で激しい人権蹂躙をしてきた軍国主義ファシズムを徹底的に否定、反省することから始まったのです。

究極の人権侵害は戦争だ。だから軍隊を持つことはキッパリやめて、戦争は放棄しよう、そのことを憲法で宣言しよう、それによって人権保障と民主主義を確立しよう。徹底的な平和主義こそ、何よりも大事な個人の人権尊重を保障する礎なのだ
これが日本の民主主義の出発点、原点であり、日本国憲法が背負う歴史です。
「軍隊のある普通の国」であるヨーロッパ諸国とは異なる点ですね。

徹底的な平和主義こそ個人の人権を保障する礎という理念は「軍隊のある普通の国」より、一歩進化した考え方でした。
別所でぽむさんから頂いたコメントをお借りしましょう

でもいくら成熟した民主国家が有するものであっても「真に民主的な軍隊」なんてありえないのです。軍隊というのは徹底的に上からの命令で動くのが必至でそうでなければ戦争などできません。とすれば成熟した民主主義国家が軍隊を持つということ自体大きな矛盾です。

このような考え方は今の日本ではリベラルや左派の立場に立つ人たちからですら「理想主義的」と遠ざけられがちです。特に例の自民党改憲案公開後はリベラルの間でも「九条より人権条項が大事」「9条のない民主的憲法はあるけど、人権保障のない民主的憲法はない」と「普通の国」志向の声が聞かれます。
確かに9条はなくとも「人権保障のある民主的憲法」を持つ国の国民は戦争に行かされない限り市民的自由の恩恵にあずかれるでしょう。しかし、徴兵あるいは経済的理由で入隊し戦地におもむく人たちの人権は戦争や軍隊がある限り踏みにじられてしまいます。

自由権の獲得に始まった近代民主的憲法はワイマール憲法で生存権が加わり、日本国憲法で人権保障の基盤ともいえる「自国のみならず他国の人々の平和に生きる権利」と「不当な拘束を伴う軍隊の廃止」を明記したことで民主的憲法として理想の形に近づいたといえるのではないでしょうか。


日本国憲法が世界一進んでいるといわれる所以はまさにここにあります。徹底した平和主義が民主主義と人権尊重の礎だという理念を初めて明記したのが日本国憲法なのです。

なのに、「軍隊のある普通の国」になるということは、この先進的な理念から大きく後退する、ということです。

いえ、後退するだけではありません。一気に「軍隊のある前近代的な非民主主義弾圧国家」に逆戻りしてしまうでしょう。

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