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投資信託は株式を買っているか

こういう題目で少し前からブログを書きたいと思っていた。しかし、数字を集めるのが面倒である。そうこうするうち集計した数値が公表された。確認したところ、投資信託が実質的に株式を売っていたのである。

5月、ゴールデンウィーク明けに証券会社のストラテジストを交えて昼飯をたべていたところ、「実は投資信託が株式を買っていないとわかった」との発言があった。僕の感覚に合っていた。それで、いつか確認したいと思った次第である。

その一方で新聞情報は「投信の株式買い」を報じる傾向にある。このブログを書くために急遽探してみたところ、7/10にマイナーなメディアながら「勢いを増す投資信託」という記事があった。メジャーのメディアにも「6月の株式投信、7カ月連続で資金流入超」とあった。いかにも、投資信託が買っているから株価が上がると言いたげである。

この投資信託への期待を確認するため、6月に公表された東証等の「株式分布状況調査」を用い、投資信託が保有する株式時価総額の推移を調べた。2015年3月末の数字である。そうすると、投資信託は日本株を買い越していなかった。

2015年3月末、投資信託の株式保有額は27.5兆円である。1年前に比べて29.3%増えている。「すごいやん」と思うのは素人で(そういう素人的な調査レポートが多い)、市場全体の時価総額と同じ率で増えたにすぎない。じっとそのまましていても、29.3%増えたことになる。投資信託として株式を買い増した可能性を完全に否定するものではないが、そうだとすれば、投資信託の投資が下手くそで、結局のところ市場並みの増え方で終わったことになる。

さらに言うと、日銀が超金融緩和政策の一環として投資信託(ETFすなわち上場投資信託)を買っている。その金額はというと、保有額ベースで1年間に3.2兆円増やしている。もしも、この日銀の投資信託の買い入れがなければ、投資信託全体としての株式保有額は市場全体の増加額よりも減っていたことになる。

ということで、メディアが流すその場しのぎの情報には気をつけたほうがいい。

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