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安保法案デモを批判するのはおかしい。国民の率直な“警戒心”が爆発しただけ

僕は安全保障の専門家でもなんでもないですけど、一国民として思っていることを書かせていただこうと思います。

最近、安保法案の強行採決をめぐる反対デモが盛り上がりをみせています。普段は政治に興味がないような若者も多く参加しているようですが、彼らの行動について「もっと国際情勢を直視せよ」といった批判も多く出ているようです。しかし、僕はそういった物言いに少し違和感があります。

危機管理血液内科医の中村ゆきつぐ氏は、「安全保障条約法案可決!反対している人達 放射線と同じ思考過程で反対しないで冷静に考えよう」というBLOGOSのエントリで、

戦争法案反対、未来の徴兵制反対、自分の孫を戦場へ送るな等、反対派の国会前の集会は盛り上がっているようです。

その人達に聞きたい。

他国が攻めてきたらどうするのか?

他国の奴隷にされそうになったらどうするのか?

自分の孫がISに戦略された人民のようになったら?

出典:安全保障条約法案可決!反対している人達 放射線と同じ思考過程で反対しないで冷静に考えよう

と批判しています。

エントリの内容はともかく、「反対派も、もっと考えろ」という意見は正しい。国際情勢の現実を直視して、時代にあった安全保障をしっかり議論するべきだと思っています。しかし、誤解を恐れずに言うと、国民全員が安全保障上のリスクを熟知し、理解することは理想論ではあるかもしれないけど、現実的には不可能です。

交通事故や預金残高などについては、誰もが日々頭を悩ませて心配していることでしょう。しかし、安全保障といった専門性の高い分野については、「誰か偉い人が、ちゃんと考えてくれているだろう」と思うのが普通です。福島第一原子力発電所の事故で露呈したエネルギー問題についても、同じことが言えるかもしれません。

僕たち国民は、すべての「リスク」に対して、警戒し続けることはできないのです。というか、そんなことができる人がいたとしたら、毎日が不安で夜も寝られなくなってしまっていることでしょう。だから、「誰か偉い人が、ちゃんと考えてくれているだろう」と信じ込んで、日々を平和に過ごしているのです。

そんな僕たちにできることがあるとすれば、「偉い人がちゃんとやってくれているか」と監視することだと思います。「あいつらに任せておいたら、大変なことになるのではないか」という警戒心を抱くことが、僕たち普通の国民にできるリスク管理なのです。

大多数の憲法学者が「違憲」と判断しているのにもかかわらず法案を押し切ったり、文化芸術懇談会なるセンスのないネーミングの会合で報道圧力とも取れる発言が飛び出したり。「そういった政府・与党が推進する安保法案は信頼できない」という警戒心が爆発して、デモという行為に人々が駆り立てられているのだと思います。

こういう物言いをすると、「反知性主義だ」と批判されるかもしれませんが、「ちゃんと考えてくれているだろう偉い人」たちへの不信感の発露として、「とにかく、ヤバそうだから止めなければいけない」とデモに参加する人がいたとしても、その気持ちは理解できます。

なかには、安保法案や国際情勢について、理解の乏しい人もいるかもしれない。しかし、国民にできるリスク管理としては、まっとうな行動だと思っています。別に内容を理解していなくても、反対したっていいじゃないですか。

何度も言いますが、国際情勢の現実を直視して、時代にあった安全保障をしっかり議論することは重要です。ただし、与党の推進する安保法制が本当に必要だとしたら、せめて憲法改正の正式な手続き踏んでから採決するべきでしょう。安全保障について国民的な議論を巻き起こしたのは安倍首相の“功績”だとも言えるのだから、正面から正々堂々と国民に信を問えばいい。

信用できない政府・与党に対する、緊急的な対抗手段としてデモは肯定されるべきです

※Yahoo!ニュースからの転載

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