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旧態依然とした野党のPR手法に唖然

大方の予想通り安全保障関連法案が、昨日衆院特別委で可決された。

採決の模様をニュースで見たところ、飛び交う怒号の中、テレビカメラに向かってプラカードを掲げ、委員長に向かって駆け寄り悲壮感漂う(?)表情で採決阻止を訴える野党議員。無表情で黙々と直立不動で賛成の意を表す与党議員。何だかいつかどこかで見たような「シーン」と紋切り型の「キャスティング」に既視感(デジャ・ブ)さえ感じた。

いつまで野党はこんなことやっているのだろう。

カメラに向かって「ドヤ顔」(ご本人にその意図はなくとも私にはそう見えた)でプラカードを掲げる行為。宣伝PR用語であえて表現するならば「プロダクト・プレイスメント」と呼ぶ。

映画作品、テレビ番組、テレビゲームなどの中で、企業の製品を使用したり、その製品や企業ロゴを映し出したりすることによって、消費者に広告という意識を持たせることなく、その製品の宣伝効果を狙う手法。

出典:コトババンク(プロダクトプレイスメント)

もっともこの手法は、画面上のストーリーとあまり親和性がなく唐突な時がある。

このプラカードは事前に誰が用意したものなのだろうか?手書きのように見えるが印刷だろうか?フォントと色使いが同じということは政党本部で昨夜プリントアウトしたのだろう?それとも外注なのだろうか?

画面上での展開と関係ないことについつい気移りしてしまう。

一方、委員長に向かって駆け寄り悲壮感漂う表情で採決無効を訴える行為をあえて宣伝PR用語で例えるならば、これを「プロダクト・インテグレーション(番組と商品の統合)」と呼ばれている。

「プロダクトプレイスメント」も進化して、例えば映画のようなコンテンツに対しても「プロダクトインテグレーション」と呼ばれるような、シナリオレベルからマーケティングメッセージを挿入して、プロダクトがコンテンツのテーマ性のなかにしっかり組み込まれる手法も欧米では確立している。

出典:クロスメディアからクロスコミュニケーションへ

くれぐれもご本人たちは決して演じているつもりはないだろう。あくまで手法を「例え」た場合の話だ。

もっともこの「プロダクト・プレイスメント」という手法の難易度は高い。相当高度な次元でコンテンツと表現手法が融合してない限りは、逆効果になることがある。

「きょう採決されることは、すでにみんな分かっていたのに、何で急に一斉に駆け寄るのだ??」

「国民を代表する大人なのだから、泣くことはないんじゃないか?」

「テレビカメラに背を向けて抗議する議員は少ないのはなぜだ?」

などと思われてしまうようであれば逆効果だ。

では、こうした「プロダクト・プレイスメント」「プロダクト・インテグレーション」という手法ではなく、私が専門とする「戦略PR」という手法ではどのようにアプローチするのか?

戦略PRとは「空気作り」だと言われている。これには「他人ごと」を「自分ごと」にするための入念な下準備と自然なストーリー作りが欠かせない。

こうしたPR戦略は野党に比べ政府与党の方がはるかに熟練している。

まずは現在の世論の空気をざっくりとつかむ。

<想像される世間の空気>

「戦争はイヤ」「バラマキもイヤ」という空気がある。

「集団的自衛権は戦争につながる」「新国立競技場はバラマキだ」という「イメージ」(空気)がある。

「この2つの空気が高まると政策遂行に好ましくない」と考えるならば、次に「この空気を変えるにはどうしたらよいか。」(課題設定)を考え、そして課題の解決のための何らかの方法(カード)を切るのが常套である。(課題解決)

政府は2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の建設計画を見直す方針を固めた。総工費が2520億円に膨らんだことへの与野党や世論の批判を受け、費用を縮減する方向転換が必要だと判断した。

出典:新国立競技場の建設計画見直しへ 世論批判で政府転換

意図してか意図せずかは全く分からない。しかし、実に説妙のタイミングでカードを着る。結果的として世間の批判的な「空気」を読み先手を打っていかのようでもある。

一方、これに対して野党は、「戦争はイヤ」「バラマキもイヤ」でも…「民主や共産の旧態依然とした手法はイヤ」というマクロの空気を読みきれていないからか、旧態依然とプラカードや採決阻止の行動しかとりえていない。

以上、戦略PR視点で、昨今の政治状況を少し「ナナメ」に考えた。

※Yahoo!ニュースからの転載

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