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次の焦点とみられるイタリアの動向

 欧州の首脳会議は長時間かけて難航しながらも包括戦略を合意するに至った。包括的な対策の3つの柱のうち、銀行のTier1基準を9%に引き上げることは早めに合意したが、EFSFの拡充策とギリシャ債務の民間負担についての取りまとめは難航した。最終的に民間保有のギリシャ国債のヘアカット率については、50%とすることで合意した。これによりギリシャの債務問題については、懸念が多少なり緩和されることが期待される。しかし、欧州の信用不安は収まるわけではなく、今後はイタリアの動向にも注意しておく必要がある。

 イタリアに対しては、ユーロ圏の他の加盟国から追加の財政再建策を求める圧力が高まっている。イタリアの経済規模はギリシャなどに比べて格段に大きく、もし仮にイタリアの債務問題が深刻化すれば、ギリシャの債務問題の比ではない。イタリアはドイツ、フランスに次ぐユーロ圏で第3位の経済規模となっており、世界の中でも第7位の規模である。公的債務は1.8兆億ユーロとなっている。

 イタリアのベルルスコーニ首相は、11月15日までに経済行動計画を提示することを確約し、2013年までに財政の均衡化を目指す一連の措置を提示した。ここには2026年までに年金の支給開始年齢を67歳に引き上げる方針が盛り込まれた。ただし、この年金制度改革をめぐっては、今年初めから女性の年金受給開始年齢について国内で連立を組む北部同盟と対立し、その北部連盟は経済改革の柱となる年金制度の改革で大きな譲歩をすることを拒んでおり、ベルルスコーニ首相は難しい立場に追い込まれている。一時は退任の噂すらあり、今回のEU首脳会議への出席も危ぶまれていたぐらいである。

 イタリアの10年国債の利回りは、今年6%台に乗せたあとECBによるイタリア国債の購入により5%以下まで低下したが、その後再び上昇基調となり、現在は6%近辺にある。このまま分岐点ともされる7%に向けて上昇する可能性もないとはいえない。

 イタリアについては、ここにきて財政が急激に悪化しているわけではなく、またプライマリーバランスは黒字転換するなど日本などに比べてむしろ財政は健全ともいえる。しかし、日本と同様に巨額債務を抱えていることで、今後3年で償還を迎える国債のため6000億ユーロ以上の資金を調達する必要があり、その際に長期金利が大きく上昇してしまうと、借換に支障をきたす可能性もある。長期金利の上昇抑制のためにも、財政健全化に向けた動きを進めることが重要ではあるが、経済は低迷しており、国内での政治問題も絡んで難しい状況にあることから、今後はイタリアが欧州の債務問題の焦点となる可能性もありうる。


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