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ギグ・エコノミーで高スキルのワーカーも日雇い化へ

最近、アメリカでギグ・エコノミー(Gig Economy)という言葉が使われ始めています。

ギグとは単発の仕事、ないしは日雇いを指します。

1970年代にパンク・ロックが流行したとき、小さいライブハウスでのライブ・コンサートをギグと呼ぶことが一般化しました。

こんにち、マスコミがギグ・エコノミーと書く場合、それは音楽とは関係ありません。

ウーバーの運転手をして少しお金を稼ぐとか、ネットのプロフェッショナル・スキル登録サイトに自分のスキルを登録し、スプレッドシートや編集の仕事など、オンライン・プラットフォームを通じて入ってくる、単発の仕事をこなすことをギグ・エコノミーと呼ぶわけです。

当初、そういう単発の仕事をするのは、正社員になれない、「弱者」だけだと思われていました。

ところが、最近では「強者」が進んでギグ・エコノミーを選択することが増えているそうです。

ニューヨーク・タイムズの記事によると或るハーバード・ビジネス・スクールの学生は企業からの要請で、新製品のプライシング・モデルを構築するなどの高度なコンサルティングを単発で請け負い、マッキンゼーに代表されるコンサル会社へ就職するのをパスしたそうです。

どのプロフェッショナルが優秀か、そうでないかは、オンデマンド・プラットフォームでは一目瞭然です。そのせいでオンデマンド市場では、仕事は「強者」に集中する傾向があります

仕事がデキさえすれば、どれだけでも案件が舞い込んでいるわけだから、自分の価値のUPSIDEを最大化するなら、雇われになるよりフリーランスを続けた方が有利というわけです。

自社の社員よりもっと仕事ができるプロフェッショナルを、単発で必要なだけ起用できるのなら、正社員で人材をキープし、福利厚生費などを払い続ける意味合いは薄れます。

このように外部の高スキル・ワーカーを単発で使う経験は、費用対効率の「見える化」をもたらすだけでなく、自社正社員に対する深い幻滅ももたらしているのです。

2000年以降、米国における労働力率は低下傾向にあります。

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これは不況が主な原因だとこれまで考えられてきたのですが、最近になってそれ以上の、もっと大きな米国の雇用市場の変化が原因ではないか? と考えられ始めています。

「弱者」だけでなく「強者」もギグ・エコノミーを進んで受け容れる時代の到来は、終身雇用という形態に企業が拘泥していると、高コスト体質に陥ると同時に、敏捷にビジネス機会の変化に対応できないことを意味します。

ぶら下がることばかり考えているレガシー社員で溢れた、愚鈍な企業に成り下がるリスクを孕んでいるというわけです。

一方、ギグ・エコノミーは「次の仕事がいつ来るか?」とか「老後のための蓄えをどうする?」などのリスクを、オンデマンド・ワーカーに押し付けます。(それを個人にリスク転嫁できる点こそが、非正規ブームの本質なわけですが。)

アメリカでは、ものすごい勢いで増えているギグ・エコノミーに対し、法制度(例:個人年金制度や健康保険制度)をどう摺り合わせしてゆくか? ということが政治の争点になりつつあります。


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