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琉球新報主宰「琉球フォーラム」での講演(後編)

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前編記事はこちらから⇒琉球新報主宰「琉球フォーラム」での講演(前編)

「憲法と戦争 - 日本はどこに向かうのか」

諸外国との友好や世界平和への貢献も、未来に向けての決意ではなく、あいまいな「現在形」が使われています。だから、読み方によってはすでにそういう課題は達成されたとも読める。英語に訳したらどうなるのか。「発展した」「占めた」は現在完了形で書かれ、「増進する」と「貢献する」が現在形で書かれる。そんな不細工な文章をネイティブは許さないでしょう。人によっては全部の動詞を現在完了形にしないと「かっこ悪い」と思ってそう英訳することでしょう。起草者は無意識のうちにそのような「誤解」を狙っているのだと思います。諸外国との友好も、世界平和への貢献も、もう十分にやった。我が国にはこれから後よそから「憲法前文通りにやっているのか」とうるさくせかされるような「国家目標」はない、と。たぶん、そう言いたいのでしょう。

現行憲法の制定主体は「日本国民」です。けれども、これは単なる法擬制です。憲法制定時点の1946年11月3日にこの憲法を制定できるような「日本国民」などというものは存在しなかった。日本人たちは前日までは大日本帝国憲法下の「帝国臣民」だったわけです。何人かの日本人が憲法起草に関与したにせよ、この憲法のアイディアを実質的に指示したのがGHQであるということについては争う余地はないと思います。日本人の憲法学者なり政治家なりが関与していたにせよ、憲法を起草し、制定できるような政治的実力を有した「日本国民」などというものはその時点には存在しなかった。

憲法の制定主体は形式的には「日本国民」ですけれど、憲法制定の事実上の主体はGHQでした。でも、GHQのことは憲法の中に一行も出てこない。つまり、この憲法は超憲法的主体によって制定されたということです。そのことを日本人はみんな知っていた。戦争に負けて、外国軍に占領されている国で、民主的な憲法が発布された。それについて「オレは憲法起草作業に参加してなかったから」というような理由で反対した日本国民はいなかった。アメリカが憲法を書いてくれた。それを受け容れるしかない。だって、日本国の統治機構のさらに上にGHQが存在したんですから。

憲法の制定権というのは憲法内部的に基礎づけられるものではありません。戦争に勝つとか、革命を起こすとか、そういう圧倒的な力の差があるところで、力のあるものが力のないものに憲法を押しつける。それはジョン王に貴族たちが「マグナカルタ」を押しつけたときから変わりません。憲法を制定するのは超憲法的主体です。

自民党の改憲案がグロテスクなのは、この憲法草案を書いた人間は別に革命を起こして前政体を打倒したわけじゃないということです。直近の選挙での比例代表の得票を見ても、有権者全体の20%の支持も得ていない政党が、戦勝国が敗戦国に押しつけるような、革命に勝利した党が支配した国民に押しつけるような憲法を起草している。戦争も革命も経由しないで、議会で相対多数にある政党がいきなり「超憲法的主体」の地位を占めようとしている。その増長ぶりに僕は驚嘆するのです。

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