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教科書の記述を書き換えても事実は変わらない

「介護は重労働で低賃金」教科書記述に業界反発(読売新聞)

 介護の仕事を「重労働で低賃金」と記述している2社の教科書について、介護業界6団体が今月上旬、「表現が不適切」として出版社に修正を求める要望書を提出した。

 人手不足への危機感から、業界挙げての異例の動きとなった。

 要望書を出したのは、特別養護老人ホームの運営法人でつくる全国老人福祉施設協議会や日本介護福祉士会など。「中学社会 公民 ともに生きる」(教育出版)と高校向けの「最新現代社会」(実教出版)に、不適切な表現があると指摘した。

 「公民」では、本文で「介護の仕事が重労働で低賃金」と記述。「現代社会」では、介護する男性職員の写真に「特別養護老人ホームで非正規社員としてはたらく若者 介護現場は重労働で賃金も高くない」という説明を添えている。

 ……ということなんですけれど、こういうのも所謂「修正主義」の一形態ではないでしょうかね。自分たちに都合良く物事をねじ曲げよう、あるいは記述を改めさせようとする動きは、何も戦前戦中の歴史を対象としたものばかりではないように思います。70年前、80年前のことばかりではなく、現在あるいは数年前のことであっても事実を歪めて伝えさせようとしている人は少なくありません。

 なお「要望書を出したのは、特別養護老人ホームの運営法人でつくる全国老人福祉施設協議会や日本介護福祉士会など」「介護業界6団体」とのことです。まぁ「人に介護をさせる」ビジネスに従事している人からすれば、抗議したくなる事態であったのかも知れません。しかし「人に介護をさせる仕事」ではなく、「自ら介護をする」仕事をしている人にとっては、どうなのでしょうね。

 実際のところ、介護業界の低賃金と非正規率の高さは広く知られるところです。「賃金も高くない」との教科書の表現は、まだしもソフトな伝え方をしている方なのではとすら思えます。しかし、それを覆い隠したがっている人もいる、ということを今回の報道は示しているわけです。しかし事実を隠蔽したところで業界の問題が解決するはずもないでしょう。

 読売報道によると業界の動きは「人手不足への危機感から」なのだそうです。確かにまぁ、人手不足は賃金水準や重労働と同様に遍く知られているところではあります。しかし、人手不足という業界の抱える問題に対して出された答えが「業界の実態を伝える教科書の記述を修正させる」というものであったのなら、それはまさしくブラック企業を超えたブラック業界体質だと言うほかありません。

 人手不足を解消したいのなら、求職者が「働きたい」と思える条件をオファーするしかないわけです。低賃金で重労働、かつ非正規待遇と三拍子が揃おうものなら、それを知っている人は可能な限り避けようとするのが当たり前のことです。ならば、知らせなければ良いのだなと考えた結果として業界団体が教科書の記述に介入し出すのは、「人に介護させる仕事」をしている人々のモラルを端的に表わしていますね。

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