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【全文】堀江貴文氏が国会で語った刑事司法制度改革の問題点

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録音・録画といった取り調べの可視化の義務化などを柱とする刑事司法改革関連法案を審議する衆院法務委員会に10日、元ライブドア社長の堀江貴文氏が参考人として出席した。

証券取引法違反事件で実刑判決を受け、服役した経験を持つ堀江氏。取り調べや刑務所の実態を自身の経験から語り、今回の刑事司法制度改革の問題点について語った。

参考人:堀江貴文(SNS株式会社ファウンダー)
質疑:若狭勝(自民党)
   國重徹(公明)
   階猛(民主党)
   井出庸生(維新)
   清水忠史(共産)

堀江氏による意見陳述

よろしくお願いします。堀江と申します。今回の刑事司法制度改革っていうのは、10年間ほど刑事司法の世界でやってきた私としましては非常に重要な制度改革だと思って注目していたんですけれども、色々審議をして法案が提出されるところまでは来ましたが、私が期待していたような改革というのはほとんど盛り込まれていません。

今回の制度改革の趣旨というのは、郵便不正事件で冤罪であるにもかかわらず逮捕・勾留されて、半年以上も大阪拘置所に入っていた村木さんであったりとか、他にも何件かそういった事件が相次いだこともあっての今回の司法制度改革になったと思ったんです。

けれども、全くそっち方向の改革というのは前進したというより、ほとんど後退しているんじゃないかというような事態になっていることもありまして、今回ここでしゃべってくれということだったので、是非にということでやってまいりました。

最近のマスコミ等の報道を見ても、今回すごく重要な改革であるにもかかわらず、全く注目をされていなくて、むしろ安全保障うんぬんかんぬんのほうが、すごく注目をされていて。正直言って、国民生活に一番関係してくるのは、実はここなんですね。

そういういうことに実は私も10年以上前は全然気づいていなかったんですけれども。はい、すいません。ここにいらっしゃる法務委員会の方々、もっと注目されて然るべきだと思いますし。

というのは、身近なところで、みなさん事件や事故、そういったものに巻き込まれて、司法の場に出て来ざるをえない人達がたくさんいらっしゃいます。私は1年9ヶ月間、刑務所にいましたのでよくわかったんですけれども、そちらにいらっしゃった方々、半分以上はその辺で生活しておられる方々でございます。

そういった人達が、逮捕・起訴されて、裁判を経て、有罪で実刑判決を経て、そういうところにいるという現実。これをまずみなさん、自分のことのように考えて然るべきだという風に思います。

それこそ今回、司法制度改革でデモをやってもいいぐらい。国会前で安全保障のデモをやってますけど、僕はどっちかというと、こっちのほうが大事だと思っております。

具体的に言いますとですね、まず保釈の問題ですね。保釈の問題に関して言うと、先進諸国に比べると、日本はかなり保釈に対して厳しい状況。特に、被疑者・被告人にとって、非常に厳しい状況になっております。

まず、警察官なり、検察官が逮捕して、勾留している期間が最大20日程度なんですけれども。起訴された後も、起訴後勾留というのが続きます。起訴後勾留というのは、理論的には延々続けられるような状況になっていて、私の場合も、逮捕・起訴されて94日間。捜査期間も合わせてですけれど、94日間勾留されました。

村木さんに至ってはその後、裁判で無罪判決が出たにもかかわらず、半年以上の勾留をされておりました。要は、結果として無罪になってしまう人が、それだけ勾留されてしまうと。その精神的負担というのは非常に大きいものがあります。

単なる勾留ではなくて、私の場合は、経済事犯でしたので、「接見禁止命令」というのが付きまして、担当の弁護士さん以外は誰にも会えないと。そして雑誌・新聞の閲覧もまかりならんということが94日間続きまして、非常に孤独で隔絶された世界におりました。

これは、被告人・被疑者にとっては、非常に精神的に不安になっておりまして。かなりの精神的プレッシャーで、脳の記憶が書き換えられてしまうぐらいの記憶になります。村木さんもおっしゃってましたけれども、自分がやっていないことを、さもやっているかのように思ってしまうと。

例えばあの時、事件になった主犯格といいますか、書類を書き換えた元係長は、村木さんと1回も面識がないにもかかわらず、さも共謀したかのように検察官が供述調書とか、そういったところで取り調べをやっておりましたけれども。そういったことは実際に起こりうると。その後の村木さんの話ですけれども、実際にその係長と、判決が出た後に会って、「お互いに会ってないよね」ということを確認し合ったという風に言われています。

私は勾留中、「偽メール事件」というのがありまして。僕が送ってもいないような、自民党の元代議士の方にウン千万円送ったなんてメールを。ごめんなさいね、民主党の方々。民主党の某議員が「送ったというメールが出てきた」と言って大騒ぎになってましたけれども。

僕はその時、東京拘置所に勾留されておりまして、「こんなの絶対、俺やらないよな」って。もちろん、そんなメールは送ってないんですけれども、それでも不安になってしまう。もしかして、万が一、酔っ払って送ったかもしれないとか。本当に思っちゃうんですよね。絶対自分はそんなことはしないって思っているのに、思ってしまうぐらい、極限的精神状態におかれます。

司法の世界においては、被疑者・被告人と検察官というのは立場的にこんな感じなんです。検察官のほうが、ものすごく立場が高い状況にありますので、これで本当にフェアな取り調べが行われるのかどうかっていうのは、非常に疑問です。

ですので、刑事訴訟法第89条の「権利保釈」について、もっと本当は改善しなきゃいけないんですけど、委員会のほうで結論が出なくて、玉虫色の文章みたいになっていて。現状でも、保釈については適切に運用されているということが前提となって、ろくに条文が書き換えられずに、現状とほとんど変わらないような状況になっていると。

「罪証隠滅及び逃亡の恐れがある時」っていうのは、「保釈しなくていい」となっておりまして、私の場合も結局、裁判官の「裁量保釈」で保釈されました。これは「公判前整理手続」における、そこで証拠が全部提出されていることを前提にして、初公判と同じような状況だということで。割と早期に否認をしているにもかかわらず、それでも94日間かかって保釈されました。私のような人間、当然逃亡なんか出来ないわけですし、これだけ衆人環視の環境にあって、パソコンとか全部押収されているのにと申し上げたんですけれども。そういった否認の被告人に対しては、そういう運用が通例となっております。

そういった状況に関して、保釈については、「権利保釈」をかなり広い範囲で認めるべきであろうと思っております。少なくとも、今の提出されている条文では到底納得いかないという風に私は考えております。

それともう1つ言っておきたいのは、司法制度改革の中の「司法取引制度」なんですけど、今回初めて日本で導入されました。「司法取引制度」に関して、みなさんご存知だと思いますけれども、日本でも司法取引的なことは、実際行われてます。

例えば、日本では、基本的に検察官が起訴できることになってます。検察官が不起訴であったりとか、起訴猶予っていうのを判断することが出来ると。「検察官起訴便宜主義」ですね。

あと独自捜査権限があります。検察官が独自に捜査をして、独自に起訴することが出来ると。自分が捜査した案件というのは、間違いがないと思って、大体みんな起訴しちゃうんですけれども。今でもすごく検察官が強い立場を持っていて、特に不起訴であったり、起訴猶予にするっていう権限っていうのは、実は主犯格の人達を追い詰める時には非常に有効な手立てで。要は、そういうのを匂わして「不起訴になるかもしれないよ」とか、起訴しても大して求刑しないような雰囲気を、実際に明言している人もいるみたいですけれども。そういった状況にあると。それに対して、私は司法取引を導入すること自体には反対ではありません。

ただし、今回の司法取引に関していうと、主犯格以外の人達が実質的に対象になっていて、ターゲットとされる主犯格の人達の罪を重くする方向で証言すると、アナタの罪一等を減ずると。そういった趣旨の改革になっておって、諸外国、特にアメリカとかの、司法取引制度っていうのは、主犯格の人達も自分の罪を認めることによって、罪一等を減じますよと。

例えば、「執行猶予にしますよ」とか「不起訴にしますよ」とか。そういったことを交渉する余地があるんですけれども、今回、一方通行的な改革になっておりまして。これではむしろ検察官の権限拡大になるのではないかと、私は懸念しております。

特に、郵便不正事件を例に取りますと、係長の証言っていうのは、より強固になってしまっていたのではないかと。つまり、村木さんが悪いと。俺は何も悪く無いというような方向の証言を、今の改革がそのまま通れば、恐らくしてしまうだろうなと。ということで、これについても私は非常に懸念をしております。それ以外にも色々言いたいことはあります。例えば、さっき言った検察審査会制度についてもですね、不起訴になった案件を起訴相当にするというようなことは出来ます。が、起訴になったものを起訴相当にするとか、不起訴にするというようなことは出来ない。起訴方向の一方通行的な検察審査会制度になっておりまして。

例えば、政治家の方でいえば、小沢一郎さんとか、そういった方々は2回ぐらい起訴相当が出て、裁判になって、結局無罪というか。なったわけですけれども、そういったことが、現状、非常に検察官の権限というのが大きな状況にありますので、これだと、またこれからも冤罪事件というのが、恐らく起きてくるのではないかと。

それに対して、ある日突然あなたが冤罪事件に巻き込まれて、投獄、長期勾留されてしまうというようなことにもなりかねないと、私は憂慮しております。その点に関して、是非ここで今一度、議論を尽くしていただいて。司法取引制度と保釈に関しては、特に、保釈に関してなんですけれども、見直していただければなという風に思っております。以上でございます。

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