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アメリカが「よそ見」している間に進撃する中国

今日の横浜北部はほぼ梅雨明けとも言って良いくらいの、快晴の真夏日となりました。

さて、東南アジアを歴訪している国際政治ジャーナリストのファリード・ザカリアが、オバマ政権がアジアで作った真空状態に中国が入り込んでパワーを拡大している様子を報告しております。

興味深いので久々に要約です。

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With an absent United States, China marches on
by By Fareed Zakaria

http://www.washingtonpost.com/opinions/outside-our-focus-china-marches-on/2015/07/02/370a3b38-20f3-11e5-84d5-eb37ee8eaa61_story.html

アメリカがよそ見している間に進軍する中国
By ファリード・ザカリア

●ブッシュ前大統領がイラクへの大規模増派(サージ)を発表してからそれほどたっていない2007年1月に、私は本土の共産党と強いコネをもつ旧来の中国の友人と昼食を共にとった。

●私はこの時に、この友人に「ブッシュ大統領の増派発表について北京ではどのように受け取られている?」と聞いてみたが、彼の答えは実質的に「米国が全部の陸軍をイラクに派兵して、あと10年以上そこに残ってくれれれば、その間に経済成長を着々と進められるからいいね」というものだった。

●私は今週東南アジアを旅していたのだが、この時のエピソードを思い出さざるをえなかった。ISやイラン、それにギリシャが西側メディアでは注目されているが、中国は相変わらず前進しているのだが、当時との違いは、自国の経済発展だけでなく、アジアにおいて新しい地政学を構築しているという点だ。

●最近発表された人工衛星からの写真によれば、中国はスプラトリー諸島で過去一年半にわたって埋め立てを行っている多くの人工島のうちの一つで、滑走路の建設をほとんど完了させている。もちろんその地域での狙いは、毎年613兆円の価値のものが通過する南シナ海の90%についての領有権の主張を固めることだ。

●ちなみにこの領有権の主張に対抗しているのは、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、そして台湾である。

●習近平主席が前任者たちと決定的に違うのは、積極的な対外政策を推進している点だ。たとえば「アジア太平洋の夢」を語ってみたり、アジア開発投資銀行(AIIB)や「海洋シルクロード」などのプロジェクトを宣言している。

●もちろんこれが可能な理由としては、豊富な資金の存在が挙げられる。デヴィッド・シャンボウという学者が指摘しているように、中国が最近宣言した投資額の合計は141兆ドルにも達するのであり、これは米国が過去にヨーロッパ復興のために行った「マーシャルプラン」を現代のドルに換算すると1003億ドルになるのと比べれば、それがどれほど大きな額であるかがわかる(中国のほうが10倍)。

●東南アジアのある国の外交官が教えてくれたのは、中国がカネと圧力をつかって地域の国々を買収しつつあるという実態であった。彼はその一例としてマレーシアを挙げており、現在の首相の政治基盤であるパハン州に対して、北京側が冷静な狙い撃ちで投資していると述べていた。

●「ミャンマーやタイでも彼ら(北京政府)は軍の将軍たちが契約からキックバックを受けることができるようにしています」とはこの外交官の弁だ。さらにカンボジアやラオスのような国では、中国からの資金が経済を動かしている状態だ。

●また、北京政府は軍事面での選択肢も増やしており、スプラトリーの埋め立てだけでなく、地上発射型のミサイルシステムを拡大配備している。

●さらに加えて、北京政府は隣国との国境付近で静かにダムを建設中だ。これによって、メコン川とブラーマプトラ川の上流のものが完成すれば、危機になった時にカンボジアとインドに流れ込む水量を遮断できることにもなる。

●シンガポールの政治家に至っては、北京政府がアメリカとの同盟関係を強調する中央政府の対外路線を、より親中路線に変更させることを狙って、中華系の地方議員に働きかけはじめたことを教えてくれた。

●彼によれば「中国大使館の外交官たちは、私の選挙区の人間たちにコンタクトしてきて彼らを説得に回っているようです」とのことだ。同国のある政治家に至っては、「彼らは中華系の若いシンガポール人をアゴアシ付きで中国まで招待しているようです。積極的で熱心ですし、うまいやり方ですよね」と述べていた。

●では東南アジアの外交官たちはアメリカをどのように見ているのかといえば、基本的に「注意を削がれて何も考えていない」とことだ。

●私が語った外交官たちは、オバマ大統領の「アジアへのピボット」については正しい大戦略であると評価していたが、その後に続くものがなく、実行が伴っていないと批判していた。また、TPPに関しては議会を通したことについて喜んではいたが、中国のむちゃくちゃな進展のスピードと比べてあまりにも時間がかかりすぎていると懸念していた。

●ある外交官は私に対して「国家安全保障アドバイザーのスーザン・ライスは、ほとんどアジアのことを知らないし、知ろうともしていないし、国務長官のジョン・ケリーは中東和平にばかり時間を割いてます。さらに大統領はアジアへの歴訪を中止してますよね、国防長官のアッシュ・カーターのみが戦略家であり、彼が就任したことで流れは変わりましたね。中国側はより警戒するようになってます」と語ったほどだ。

●アジアで影響力を増す中国との対処の難しさは、それが不可避であると同時に、それがそれほど有害ではない可能性もあるという点にある。

●中国はアジアのほとんどの国、そしてオーストラリアとの最大の貿易相手国である。その地域への関与は、ウィンウィン状態になる可能性もあるのだ。ところが政治的な支配状態については大きな不安を発生させることになる。

●東南アジアの国々は、中国を抑止するためにアメリカの方を見ているのだが、まだその動きを本格的に始動させたわけではない。彼らはアジアの国々を経済的に勃興させたこの地域の貿易、商業、そして親善的な雰囲気を、わざわざこわしたくないからだ。

●「アメリカ政府にお願いしたいのは、単なる対処法ではなく、精緻化されてバランスのとれた継続的な外交なのです」とはシンガポールの元国連大使であるキショール・マブバニ氏の言葉だ。アメリカは「冷戦時代にはソ連との競争の中でじのようなことを実行できましたよね。現地の声を聞いて、あえて近寄ったり、とにかく積極的に深く取り組むという姿勢です。今はこのようなことが全くできてませんよね」と指摘している。

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まあ日本側としても、オバマ政権に対する見方というのは上記で述べられているような感じですね。それにしても中国の「なんでもやる」戦略はここでも健在ということです。

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