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米国債の格下げで、米国債が買われる理由とは

 米国の大手民間の格付会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、6日、米国の長期格付けを最上位のAAAからAA+に1段階引き下げた。この米国債の格下げをきっかけに世界の金融市場全体に一時的な動揺が走る懸念があるため、今朝早くアジア市場が開く前に、先進7か国の財務相と中央銀行総裁が緊急の電話会議を行ない、為替の過度な変動や無秩序な動きは金融安定に悪影響との認識が示された。

 8日の東京株式市場では、リスク回避の動きから売りが先行し、後場に入り200円を超える下げとなった。これは上海総合株価指数などアジア株の下落が影響している。その結果、安全資産として日本国債はあらためて買いが入り、債券先物は先週末比10銭程度の上昇となっているが、同様に買われている国債がある。米国債である。米10年債利回りは2.51%近辺に低下し、先週末の引け水準2.56%近辺から低下しているのである。

 そもそも株式市場などでの動揺の原因は、米国債の格付けが下げられたからであるが、その米国債そのものはむしろ買われているのである。ちなみに、利回りが低下しているということは価格は上昇していることである。このあたり詳しく知りたい方は拙著、「債券と国債のしくみがわかる本」をお読みいただきたい。

 つまり今回の米国債の格下げによる影響としては、米国債の価格下落が危惧されたというよりも、これによりリスクオフ、つまり安全資産に資金を移す動きが強まったことになる。その結果、米国債が買われるというなかなか不可解な状況を作り出している。

 市場では、米国債の格下げによる米国債の価格下落などは念頭にはないようで、米国や中国の経済鈍化や、欧州の債務危機のほうに視線を移しているように思われる。さらに欧州では今度はイタリアの動向が注視されるとともに、次はフランスが標的にされるとの見方も出ている。

 なぜ米国債の格下げで米国債が売られにくいのかについては、先日書いた「米国債の格下げの影響を考える」を読んでいただきたいが、米国債の格下げでなぜ米国債が買われるのかの理由については、理論立てての説明が難しい。しいて言えば、風が吹けば桶屋が儲かる、という連鎖的な反応ということになるが、裏返せばそれだけ米国債への信任は厚いともいえそうである。あまりに規模が大きすぎて、売るに売れないという後ろ向きの見方もあるのかもしれないが。


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