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法定外税の活用

地方創生を進める安定財源

多くの地方自治体で「地方版総合戦略」の策定が始まり、地方創生は新たな段階に入った。息が長い取り組みが成功の鍵を握る地方の活性化において、当面の課題の一つは財源の確保だろう。経済産業省の研究会は今、自治体の裁量で地方創生に使える財源の活用策を議論している。

検討の対象の一つは、自治体が条例によって独自に新設できる「法定外税」だ。地方税法が定める都道府県民税や狩猟税といった法定税とは別に自治体の税収源となる。

法定外税の利点は、各自治体の課題や重要施策に応じて設定できる点だろう。例えば、山梨県の富士河口湖町では釣り客から徴収する遊漁税を湖の保全に充てている。北海道の釧路市では温泉客から徴収する入湯税を10年間の期限付きで引き上げ、阿寒湖温泉の観光振興の財源に使う。

安定的財源として地域振興に活用できる上、自治体による多様な政策実現を可能にする法定外税だが、全国規模での活用となると進んでいない。総務省によると、2012年度の決算額でみた法定外税の合計税収額は364億円。地方税収額に占める割合は、わずか0.11%だ。

活用が進まない背景の一つには、法定外税を設けるための国の基準が厳格である点が挙げられよう。法定外税の新設は総務大臣の同意が必要で、国の経済政策に照らして不適切であったり、地域住民の負担が著しく重くなると判断される場合には新設が認められない。

また、課税による負担と受益の関係を明確にしなければ、新税導入に対する地域住民の理解が得られないという問題もある。

言うまでもなく、一定の基準は必要だが、一方で地方の疲弊感が強まっているのも現実である。国の支援に頼りすぎることなく地方の活性化を実現する法定外税が、自治体の積極的な創意工夫を促す面は見逃せない。

法定外税と同様の仕組みは、米国のオレゴン州ポートランド市における固定資産への上乗せ課税をはじめ欧米各国で活用され、魅力的な地域づくりに貢献している。

従来の枠組みにとらわれない政策で、地方創生を応援する必要があるのではないか。

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