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米国で若い経営者が増えているのはなぜか

1965~80年生まれの「X世代」が役員室に入るようになり、企業経営に異なるスタイルを持ち込んでいる。

 ベビーブーマーの中で比較的高齢の人々が引退するなか、X世代や、現在50代半ばの若めのベビーブーマーを頼りにする企業が増えている。最近50歳以下の人を最高経営責任者(CEO)に指名した企業に、マクドナルド、ハーレーダビッドソン、マイクロソフト、21世紀フォックスがある。

 経営の専門家は、これらの若い経営者たちにはある種の共通の資質があると指摘するが、それが必ず当てはまるというわけではない。子どもの頃からパソコンを使う最初の世代である彼らは、概してハイテクに精通している。若いスタッフの勧誘やつなぎ止めにより多くの時間を使う。商品やサービスについて、台頭するミレニアル世代(1980年代から2000年代初め生まれ)の関心をいかに保つかを考えることにも時間を費やす。ミレニアル世代は25年までに労働者の75%を占める見通しだ。

 リーダーシップの専門家によると、X世代と若いベビーブーマー世代のCEOは一般に、前任のCEOより多くのリスクを取り、急なビジネス環境の変化に素早く対応するという。後継者計画の立案を行うMDAリーダーシップ・コンサルティングの創業者、サンドラ・デービス氏は「企業経営のスタイルに大きな変化が起こりつつある。新しい役員たちはずっと機敏だ」と話す。

 クリストファー・H・フランクリン氏(50)は今月ペンシルベニア州の水道事業会社アクア・アメリカのCEOに就任したが、同世代の指導者は前世代より人材と技術を重視していると考えている。多くのCEOが通常行うよりも、従業員の採用と維持に深く関わりたいと話す同氏は人事担当副社長を、法務顧問ではなく自らの直属とした。

 同氏はインタビューで、「人材の獲得と保持は私たちが考える必要のあることのうち、かなりの部分を占める」と述べ、「社員が企業文化を形成するからだ」と語った。前世代のCEOたちも人材に気を配っていた。しかし、CEOの後任について取締役会に助言するジェフリー・コーン氏は「1つの会社に忠誠を示すことがプライドの源泉だった」ため、「長期的に競争を有利にするような人材」を重視しなかったと指摘する。

 人材管理は新世代のCEOにとって重要だ。現代の経済はサービス労働者や知識労働者に強く依存しているほか、転職回数が増え、企業への忠誠心も薄れている。人材コンサルティングのコーン・フェリー・インターナショナルの子会社フューチャーステップが世界の企業幹部1092人を対象に5月に実施した調査は、より高額な給与や迅速な昇進を提示する企業より、良い組織文化を持つ企業の方が採用で有利になれると結論付けた。

 かつて社長兼最高執行責任者(COO)だったアクア社のフランクリン氏は、23年間CEOを務めたニック・デベネディクティス氏(69)の後任となった。フランクリン氏は従業員のワークライフバランスの改善を支援したい考えだ。これは3人の子の父親である同氏にとって身近な問題だ。昇格が発表された日には、数時間オフィスを離れ、息子の中学校の卒業式に出席した。

 こうした変化の一因に、より若い世代が必要になっていることがある。企業コンサルタント会社RHRインターナショナルの上級パートナー、ポール・ウィナム氏は、10代半ばから30代半ばのミレニアル世代は「雇用者に対する期待が違う」と話す。彼らはどこで、いつ働くかについてより大きな自由を求め、「引き付けられるものを望む」という。

 若手経営者がみな、自分たちは若手世代の先駆けだと主張しているわけではない。7月1日にボーイングのCEOに就任したデニス・ミューレンバーグ氏(51)は継続性を強調し、「自分のCEO就任を世代交代とは思わない」と語る。一方、世代交代論に同意する者もいる。ハーレーダビッドソンのマット・レバティッチCEO(50)は最近のインタビューで、「私はX世代初のハーレーのリーダーだ」と胸を張った。

 レバティッチ氏の若々しさは、高齢化したベビーブーマーに危険なほど依存しているとみられてきた同社にとって重要だ。同氏は立ち机で仕事をし、気さくに話をするが、今もハーレーの最大の顧客であるベビーブーマーには敬意を払う。だが、若者にアピールするやり方を見つけ出そうと大半の時間を費やしている。

 これは、マクドナルドにとっては差し迫った問題だ。多くの若者は、より新鮮で添加物の少ない食品を好むようになっているからだ。今年初めに就任したスティーブ・イースターブルックCEO(47)は、鶏への抗生物質の使用を制限するなど、若者の懸念に対策を講じている。マイクロソフトのサトヤ・ナデラCEO(47)は、前任のスティーブ・バルマー氏に比べ、若手の起業家との提携に積極的だ。若手経営者は、素早く意思決定ができるフラットな組織を好む。コーン氏は、組織がフラット化されたおかげで「若手CEOは、従業員と過ごす時間が多くなる傾向にある」と話す。

By JOANN S. LUBLIN and JAMES R. HAGERTY

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