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リクルートが狙う新規事業領域(中小B2B・教育・ヘルスケア)にM&Aの機会あり

リクルートの決算説明資料、かなり興味深いです。上場後は海外のM&Aを加速させていますが、本稿では国内事業の話を。国内ではITを活用した新規事業開発を頑張りたいぜ!とあります。ここにスタートアップの出口となるヒントがあると考えました。新規事業領域を「中小企業向け業務支援」「教育」「ヘルスケア」の3つに絞っています。それらの興味深いスライドを決算説明資料よりいくつか貼っていき、考察します。

出展:リクルート2015年通期決算説明資料

中小企業向け:AirMarketにスタートアップは入っとけ!

リンク先を見るリクルートは販促領域ではホットペッパーなどで昔から中小企業をクライアントで多数抱えています。そこにこの「AirMarket経済圏」構想でクロスセルを掛けにいくのは自然な発想です。こうしてみると特にリアル店舗を持つ中小企業を取りに行きたそうな感じ。エアレジとか決済とか予約とか。

リンク先を見るここから読み取ると、事前決済のO:derとかはリクルートが買収してAirMarketに組み込むと良さげです。すでに被っている分野はさすがに買収はないですかね。レジはユビレジ、決済はコイニーとか。リクルートからすると彼らが持っていないアカウントを1アカウント単価いくらで買うかという算出方法だと買いやすいかと。

予約分野はすでに海外で飲食のQuandooと美容のHotSpringを買収済み。国内は飲食のトレタ、高級旅館予約サイトのreluxや予約システムのCoubicの買収の絵はありそうですね。あとCRMでwizpraとかの買収もありそう。

リンク先を見るAirレジ伸びてますなー。ユビレジは何気に2014年にニッセイキャピタルから3億円調達して昨年比売上が200%という記事は見たのですが、具体的な数字は出ておらず。

このAirMarket構想はプラットフォーム戦略であり、スタートアップが単独で立ち向かうにはかなり不利な構造にあります。AirMarketのサービス群を事業者が一つ導入すればそこからクロスセルをかけられる。スタートアップの立場としてはここ構想のカテゴリーキラーとして早めに買収されるというのが、中長期的に見ると最適な判断となるかもしれません。

事業を立ち上げて展開していく際に、リクルートのような巨人は戦う相手なのか組む相手(時に売却先候補)と見るのか。対巨人戦略はスタートアップでもシード期から考えておかないと、後々不利になることもありそうです。

教育から入ってリクルート経済圏でのLTV最大化を狙う?

リンク先を見る教育といえば最近、Quipperを47.7億円で買収したばかりです。インドネシアやフィリピンで強いらしく、海外戦略の位置付けなのでしょうか。

リクルートといえば人生の主要ライフサイクルでの情報提供メディアが多く、就職転職はリクナビ、結婚はゼクシイ、住宅はSUUMO、車はカーセンサーとかありますが、中高生向けのサービスはあまりない。中高生向けの主力サービスである教育事業に参入し、将来的にはリクルートポイントやポンタというポイントを付与し、早期からユーザーを他社へスイッチさせにくい装置を組み込み、将来的な収益をあげる(1ユーザーあたりの文字通りライフタイムバリューを最大化する)という戦略なのでしょうか。

そんな中で立ち上げたのが「受験サプリ」と「勉強サプリ」。

リンク先を見るこれが受験サプリの伸び。月額980円なので有料会員13万人はすでに月商1.3億、年商15億レベルです。受験生は53万人といわれており、4人に1人が有料会員ってマジかよ・・・。ただし、高校二年生ユーザーも含まれると思われるため、4人に1人はないでしょうが。。

国内でEdTech関連スタートアップは最近また億単位調達が増えてきましたが、Quipperに限らずリクルートが他に数社EdTechを買収するのは十分想定されるシナリオ。受験サプリがリーチできてないユーザーを持つサービスで、中高生に限らずに生涯教育系とか。まさかのスクー買収もありえるか。

ヘルスケア:国内でも買収候補先はいくつかある

リンク先を見る唯一現時点で何も具体的なアウトプットが見えない領域。ここも医療の中でもエムスリーのような医師向けB分野ではなく、Cで入口を取りに行きたいイメージなんでしょうね。診察予約とかだと海外では病院CGMのZocdocがあります(ロシアの著名VCのDSTの投資先としても有名)これの国内版といえるCalooとかであればリクルートは欲しがりそう。

ケア領域でいうと介護とかが思いつきやすいですが、カウンセリングも当てはまるかと思います。鬱の予防医療ともいえそう。そういう観点ではオンラインカウンセリングのcotreeとかも買収対象としては望ましいです。

ヘルスケアはスタートアップでもプレイヤーがまだまだ少なく(最近3億円調達したメドレーはこの領域のプレイヤー)グローバルで見ても成功を確立したプレイヤーはかなり限られています。ダイエット支援アプリのNoomとかが筆頭株かなと思いきや、すでにリクルートはマイノリティ出資しているようです。抜け目ないですな。

リクルートによる国内スタートアップM&Aは確実にある

ざっくりではありますが、リクルートが強化する新規事業領域の紹介でした。海外はM&A戦略と明確に記載していましたが、国内はそのような記載ではありませんでした。しかし、Quipperを買収していることもあり(海外案件とカウントするのかもしれませんが)中小B2B・教育・ヘルスケア領域において、リクルートが新規事業の立ち上げ速度を加速させるために、国内スタートアップをいくつか買収していくと本誌では予測します。

10-50億程度であればリクルートは現預金が3,000億以上あるキャッシュリッチな会社ですから、中規模M&Aならいくらでもやりそう。海外で3桁億の大きいディールを増やしていきそうですが、国内で二桁億ディールも少しずつやっていくのではないかと。

本誌の読者である起業家の皆さんは対リクルート対策を怠ってはなりません。起業家の皆さんがリクルートの決算資料は自発的に見ていそうですが、時間がない方は本稿のような記事をご参考までに。

あと意外にリクルート関連の読者の方も多いです。巨大すぎて自社の情報を整理しきれない方もいるかと思いますので、ご参考までに。

リクルートのM&A担当者は楽しそうですねー。お財布が大きいといろんなディールを組めそうで妄想が膨らみます。まあ、KAIZENの買収はないとは思いますが。

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