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日銀の西村副総裁にライバルがいた?

 5月9日に4月6日と7日に開催された日銀金融政策決定会合議事要旨が発表された。4月28日の会合では西村副総裁が資産買入等の基金を5兆円程度増額し45兆円程度とする独自の議案を提出していたが、この理由は「震災等の影響が長期化し、企業や消費者マインドの悪化を通じて実体経済への悪影響が強まることを防ぐ観点から」であることが、白川総裁の会見で明らかにされていた。

 それではこの西村総裁が独自議案を提出する前の会合でどのような発言をしたのかを、この議事要旨から探ってみたところ興味深いことが出てきた。

  4月6日、7日の議事要旨の「金融経済情勢に関する委員会の検討の概要」での経済の先行きについて見てみると、何人かの委員から、先行きの設備投資や個人消費については、供給制約の解消時期や原発問題の帰趨に影響される面もあるとの指摘があった際に2人の委員がそれぞれ次のように述べていた。

 「ある委員は 、こうした問題が長引けば、マインド面への影響や、企業収益や家計所得への持続的な下押し圧力を通じて、景気は全体として、震災前に想定していた回復経路よりも下方にシフトした経路を辿る可能性が相応にあると指摘した。」

 「一方、ある委員は、やや長い目でみると、今回の震災を契機に、企業が様々なリスクを意識して生産・物流拠点の移管や複線化などを行うようになれば、サプライチェーンの復旧や毀損ストックの復元といったレベルを超えて、新たな需要が生まる可能性もあると指摘した。」

 この発言内容から見て、最初のある委員が西村副総裁であろうと想像される。それに対してもう一人の委員がその意見に対抗するような意見を述べていたのである。実はこれだけではなく、物価面に関する意見においても、ある2人の委員が異なる認識を持っていたことが次の記述でわかる。

 「ある委員は、供給面での制約が厳しくなるとともに、企業収益や家計所得への持続的な下押し圧力などを通じて、それ以上に需要が減退する可能性もあると述べた。」

 「ある委員は、需給バランスと物価に関する議論は、経済を中長期的に分析する場合には重要であるが、今回のように、サプライチェーンの寸断や電力不足が生じている状況にまで、そうした議論を当てはめることは必ずしも適当ではないとの意見を述べた。」

 これも最初のある委員が、西村副総裁である可能性が高い。その意見に対して、今度は真っ向から反対意見を述べている委員がいる。このようにそれぞれの見方の違いを出すことは重要ではあるが、どうもオブラートに包みがちな議事要旨ですら、かなり火花が散っていたような印象を受ける内容となっている。

 この意見の対立が西村副総裁の独自案に繋がったのかどうかは定かではないが、もしもこれらの発言が予想通りに西村副総裁からのものであったのならば、間接的に影響した可能性はありそうである。しかも、副総裁であろう人物にこのような反対意見を述べている委員は、やはり副総裁クラス以上の人物か、それなりに政策委員としての経験が長い委員であるのではなかろうかとも想像されるのである。


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