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中国海軍・孫建国提督 南シナ海での中国の行動は「適法、穏当、正当」 - 岡崎研究所

米シンクタンクCSISのボニー・グレイサー中国研究部長が、6月3日付のパシフィック・フォーラムCSISのサイトで、シンガポールで行われたシャングリラ・ダイアローグについての所感を書いています。

 すなわち、今年も中国は入念に準備して代表団を送ってきた。会議直前には国防白書を公表した。南シナ海に焦点が当たることを予期して団長に海軍提督の孫建国を選んだ。

 孫建国は、南シナ海における中国の行動は「適法、穏当、正当」であると主張し、軍は断固として国の「核心的利益」を守ると述べた。

 米国は会議の直前、海軍の哨戒機P‐8Aを埋め立て工事現場に派遣し、同乗させたCNNのカメラによる映像と、その際に発せられた中国軍の警告の音声の録音を放映させた。カーター国防長官は、ハワイで、中国は国際的な規範から逸脱していると非難した。従って、中国は米国の非難がシャングリラで最高潮に達するのではないかと怖れていた。しかし、そうはならなかった。

 中国代表団は明らかに安堵した様子であった。カーターは、米国は国際的な水域と空域を航行し飛行することを止めない、中国はルールと規範を踏み外している、埋め立ては直ちにかつ永続的に停止すべし、と述べた。しかし、カーターは中国のみならず他国の埋め立てにも言及した。両国の軍と軍との関係の改善の継続にも触れた。この地域で全ての国が勝者となる安全保障の枠組が必要とも述べた。

 演説の後、中国代表団に聞いてみたところ、カーター演説は「バランスがとれている」「穏当である」との評であった。中国がいう程、カーターの演説は昨年のヘーゲルの演説に比べて激しくなかったわけではないが、中国は范長龍中央軍事委員会副主席の訪米、米中戦略経済対話、習近平の訪米を控えて、対決を避け、米中関係への悪影響を避ける決意であった。

 周到な準備にも拘わらず、中国は目標を達成出来なかった。孫建国は1ダース以上の質問に正面から答えようとせず、資料の公式見解を読みあげるにとどまった。中国は、その意図と行動について提起された近隣諸国の懸念に向き合う機会を逃した。中国は、他国の懸念は知ったことではなく、既定路線を進むだけという印象を残すこととなった、と書いています。

出 典:Bonnie Glaser ‘China’s missed opportunity at the Shangri-La Dialogue’(Pacific Forum CSIS, June 3, 2015)
http://csis.org/files/publication/Pac1338.pdf

* * *

 筆者のグレイザーは、シャングリラの会議に出席していたようで、上記は、現場で得た所感を書いたものです。

 中国代表団が、カーター国防長官の演説に安堵し、「バランスがとれている」「穏当である」と評価しているというのは困ったことであるし、俄かに信じ難いことです。中国の外務報道官は、演説を「馬鹿げている」と一蹴しています。もし、中国代表団がそういう評価を口にしたとすれば、それは既成事実を積み上げる間、時間を稼ぎ、非難をやり過ごすための便法に過ぎないでしょう。

 中国は昨年のヘーゲルの演説程の厳しさはなかったと思っているといいますが、そんなことはありません。二つの演説の南シナ海の部分を比較すれば、カーター長官の演説の方がむしろ厳しいともいえ、分量は倍位あります。

 問題は、これから米国がどう動くかです。人工島の12カイリ内に航空機や艦船を進入させるのが次のステップと国防総省の報道官が述べたのですから、これをやってみるべきです。9月の習近平総書記の訪米を控えて、米国がどう対応するのか注目されます。

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