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貴重な先行事例となることが期待される日本のゲーム産業

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▪アップルとGoogleのプラットフォーム支配

ところが、ふと気付いてみるといつの間にか任天堂は黒字を計上することもままならなくなってしまっているし、Greeなども昔日の栄光はもはや見る影もない。時価総額も、ピーク時の1/3にも満たない。しかも、起死回生を期す次の一手も見えてこない。では、そうなった原因は何かといえば、何と言ってもスマホの急激な普及とそれに伴う、スマホのOSを牛耳るアップルとGoogleの二大プラットフォーム支配の拡大の影響が大きい。

任天堂に限らず、ゲームコンソール主な収益源だったメーカーは軒並み収益減を余儀なくされているし、GreeやDeNAなど、独自のプラットフォームを持ち、ユーザー行動を逐次分析し、機敏に修正してユーザー満足度の持続的維持向上をはかること(データの分析力)が優位性となっていたのが、スマホにプラットフォームを奪われてしまうとその自由度は大幅に制限されてしまう。しかも、30%ものマージンをアップルやGoogleに抜かれてしまうのだからたまったものではない。

この市場も、私も自分のブログでもさんざん指摘してきた、米国主要IT企業のプラットフォーム奪取の影響の事例の一つに成ってしまったようだ。日本製の携帯電話も、デジタルカメラも、カーナビも次々にこの波に飲まれていった。ゲームコンソールも同列に甚大な影響を受けることは想定の範囲内ではあった。だが、Greeのように、独自のプラットフォームを持って、Youtubeに対するニコニコ動画がそうであるように、米国主要IT企業のプラットフォームの圧力に屈しない日本企業の好例となる可能性があることをその時には指摘したのだが、残念ながら生き残ることはできても、主役にはなれなかったようだ。

もっともそのような条件下でも、彗星のように出てきていまだにロングランを続けている、パズル&ドラゴンのようなゲームを擁して、GreeやDeNAをも収益で抜き去るガンホーのような会社も台頭してきている。このガンホーは、Gree等のソーシャルゲームの勝利条件、すなわち、『データの分析力の優位性(ABテスト等の活用)』ではなく、UIデザインを含めたゲーム全体のデザインを作り込む方向にシフトしている。プラットフォーム競争で負けてもアプリにより高収益を上げる会社が台頭してきており、マネタイズに秀でた日本企業のプレゼンスは失われてはいないようだ。

▪ハイコンテキストを強みに

現状のアップル&Googleのプラットフォームが支配するゲーム市場については、日本オンラインゲーム協会の川口氏は『オンラインゲームの第5のイノベーション』と定義していて、全世界共通のプラットフォーム上でゲームが提供されるようになり、そういう意味で世界共通市場が成立したと述べる。確かに、日本でも大ヒットするような海外メークの作品が出てきている(フィンランドのSupercell社のクラッシュ・オブ・クラン、ヘイ・デイ等)。しかしながら、日本市場のトップテンのほとんどはいまだに日本のゲームメーカーの作品が占めている。国際大学GLOCOMの山口氏が言うように、ゲームの成否はその国の文化との関わりが大きい、というのはたぶん本当だ。日本市場の特性/コンテキストを理解している日本のゲーム会社の作品のほうが(少なくとも今のところは)日本人ユーザーには受け入れらているように見える。

これも、ゲームに限らず、日本のようなハイコンテキストな社会/市場では特に、いかに海外市場でヒットしたものでも、日本にそのまま持ち込んで成功するとは限らない。日本市場が『ハイコンテキスト』であることは、アップルやGoogle等の米国主要IT企業に日本企業が対抗できる重要な競争優位条件であることから、サイクルの早いゲーム市場で起きてくる競争は先行指標として他の産業も参考にできると考えられる。(ただ、そんな日本企業は、他国の顧客解析能力とマーケティング能力は米国企業より劣っていて海外市場にシームレスに移行することは苦手だという。)

▪正念場

ただ、日本のゲーム産業の正念場は問題はこれからだ。パネルディスカッションでも異口同音に出てきたように、昨今はゲームの開発費が高騰する一方で、出してみなければ売れるかどうかわからないギャンブル性は相変わらずだから、勢い、同じタイトルの続き物(ドラクエやファイナルファンタジー等)ばかりになり、新しいタイトル、会社、作り手の参入を阻み、結果、ゲーム市場全体がユーザーから飽きられてしまうのではないかという危惧がある。だが、お金や手間をかけないでも、『面白さ』を引き出せる可能性があることこそ、ゲームの持つ最大の可能性と魅力とも言えるわけで、関係者の奮闘を期待したいところだ。

▪ビジネスモデルとしてのソーシャルゲーム

加えて、慶応大学の田中氏が指摘するように、ビジネスモデルとしてのソーシャルゲーム(クラウド化、フリーミアム、ネットワーク外部性の活用等)は、高速ネットワークの偏在化とデジタル化、そしてモバイルの普及の進展に伴って急拡大したが、今後はさらに一層、デジタル化、インターネット化は実空間を飲み込んで急拡大していくことが確実であり、すべての業界を巻き込んで進展していくと見られる。そういう意味ではこのビジネスモデル自体の裾野も急拡大することが見込まれる。ゲーム業界内で見ても、オキュラスリフト*1、キネクト*2等、空間、身体性に関わるテクノロジーの利用も進んで来ているし、ネットに繋がって人間の挙動や振る舞いや考え方の特徴を学んで進化し、人間との対話も可能な人工知能を備えたロボットも続々と市場に投入されてくるだろう。ゲームのフィールドや応用が可能な範囲は拡大する一方と言える。そう考えれば、ゲームのメカニズムを社会活用する『ゲーミフィケーション』についても、可能性は無限大とも言え、どんな第二幕、第三幕が開くのか今から非常に楽しみだ。

日本のゲーム会社の健闘を心から応援したいのはもちろんだが、新しいアイデアや新しいビジネスモデル等がどんどん出てくる活性化した『モデル市場』『先行指標』としての興味も尽きない。この公開コロキアムに参加して、ゲーム市場、ゲームビジネス、そして、個々のゲームにも注意をそらさないで注目し続けようと覚悟を新たにさせられた。

*1さらば現実!VRヘッドセット『オキュラスリフト(Oculus Rift)』がすごそう - NAVER まとめ

*2Xbox 360 - Kinect

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