記事

ギリシャの思わぬ剛速球レシーブをユーロは打ち返せるか

ギリシャの財政再建を支援・監視している3組織、欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)の「トロイカ」がギリシャに求めてきた財政緊縮策に国民投票でノーがつきつけられました。 この問題は考えさせられます。なぜなら、民主主義でまとまったEUは夢と希望であったはずなのですが、結局は重要な問題に結論を下す政治の仕組みをもっておらず、ギリシャ問題の本質的な解決をはかる道筋も示すことができないからです。

報道ではギリシャ国民が公務員比率が高く、働かない、しかし高い社会保障が求める国民性で、破綻して当然ということになっていますが、はたしてどうなのでしょうか。

事実から言えば、ギリシャは、トロイカの求めに応じて、緊縮財政策を進めたのです。2011年には3,552億ユーロあった政府負債残高が2014年には3173億ユーロに減っています。

その結果はどうなったのでしょうか。2011年には2,078億ユーロあった名目GDPが2014年には1,791億ユーロにまで縮小してしまいました。たった3年で、13.8%も経済が縮んでしまったのです。
そして失業率は17.9%から26.5%にまで高まってしまいました。とりわけ深刻なのは15〜24歳の若者の失業で、EUのなかでは最も高く57.3%が失業状態です。ちなみに最も低いドイツが7.9%でその差があまりにも大きいのです。もうギリシャの若い人々は夢も希望も持てなくなってしまいました。
ギリシャ「若年失業率58%」アートで示した「絶望と希望」 | 行き先のない旅 | 新潮社 Foresight(フォーサイト)

つまりトロイカのギリシャ再建計画の失敗に対して、ギリシャ国民がノーを突きつけたともとれる結果でした。財政再建のためにいくら増税をはかり、財政緊縮を行っても、それはギリシャ経済をさらに痛めるだけだというのは誰が考えてもわかることです。しかもEUは、ドイツはEUが拡張したメリットを享受してきましたが、その富を消費国に再配分する仕組みがないために、勝ち組と負け組の格差が生まれてきます。

ギリシャ経済を再建しないことには、財政再建の道もないはずなのですが、それを実行するメカニズムや制度もEUは持っていません。まずはドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領が会談を行い、さらに7日にユーロ圏の首脳会談を行うようですが、それぞれの首脳も自国の支持を失う負担を決断することは難しく、ギリシャのユーロ離脱が現実味を帯びてきたようです。

緊縮財政による財政再建というトロイカのサーブに、ギリシャは国民投票でノーという剛速球を返しましたが、さてEUはどのような玉を返せるのでしょうか。

続きは本日発行予定のメルマガ

あわせて読みたい

「ギリシャ」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    “愛国芸人”ほんこんが「デマツイート」で提訴される 原告代理人・米山隆一氏は怒り

    SmartFLASH

    07月26日 09:58

  2. 2

    東京五輪「手のひら返し」が驚くほど早かった理由 - 新田日明 (スポーツライター)

    WEDGE Infinity

    07月26日 08:17

  3. 3

    配信が充実した東京オリンピック 無観客開催でも十分なお釣りが来る内容

    企業法務戦士(id:FJneo1994)

    07月26日 08:32

  4. 4

    60歳4人に1人が貯金ゼロ 原因は晩婚化による“支出三重苦”

    女性自身

    07月26日 13:23

  5. 5

    作曲家がLGBT差別の杉田水脈氏を肯定…開会式のドラクエ起用に疑問続出

    女性自身

    07月26日 12:26

  6. 6

    小山田圭吾の件について考える 作品と作者は別ものか

    紙屋高雪

    07月26日 09:10

  7. 7

    五輪開催に反対でも観戦したくなるのは人情 選手を応援するのは自然な感情の発露

    早川忠孝

    07月26日 14:00

  8. 8

    東京五輪にかこつけて文在寅大統領が日本から引き出したかった"ある内容"

    PRESIDENT Online

    07月26日 16:27

  9. 9

    「金メダリストの“看板”で仕事をもらえるほど甘くない」五輪アスリート“第二の人生” 現役引退後の現実

    ABEMA TIMES

    07月26日 10:23

  10. 10

    五輪開会式でNHKアナが台湾として紹介したことに波紋 中国国政メディアは抗議せず

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

    07月25日 14:40

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。