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食べログがRettyに”ガチ”の勝負を仕掛けてきた:口コミ数の定義が全然違うだろ!

Rettyが2015年7月2日に開催した事業戦略発表会で、実名こそ出していないが(実名サイトなのに)事実上食べログと思われる事業者を東京の口コミ件数を抜いたという発表(Tech Crunch)を出した。 

これに対し、食べログ側が反論のリリースを掲載。口コミの定義の指標が食べログとRettyで異なっており、この問題から様々な論点が浮き彫りにされるため、CNETに先に出されてしまったが、The Startupでも見解を述べる。

リンク先を見る

テキストがない口コミは口コミと定義できるのか?

「食べログ vs Retty口コミ数戦争」の論点は、両社で異なる「口コミの定義」だ。

食べログの定義:200文字以上のテキスト投稿
Rettyの定義:テキストなし写真なしも含む

Rettyの定義の口コミはこれだ。

リンク先を見る赤字で囲ったところが満たされれば口コミとカウントされる。

『オススメ度』『利用シーン入力』『おすすめの食事入力』の3つが満たされれば口コミである。これがRettyの定義であり、この定義を持ってして、食べログの「200文字以上のテキスト」を定義とする口コミ数に勝ったと主張しているのである。

そもそも、Rettyのテキストも写真もない投稿を「口コミ」と呼べるのか?

ここは人により判断がわかれるであろうが、筆者は口コミとして「呼べない」と判断する。筆者はRettyには600件以上の投稿を持つヘビーユーザーだが、テキストも写真もなにもない投稿は参考にならない。ユーザー視点で見て、限りなく役に立たない投稿であるといえる。その点、食べログの200文字以上のテキストがある投稿の方が、確実に役立つ確率は高い。

競合ではなくユーザーファーストがスタートアップの鉄則

口コミ数戦争に関する話は、上記の定義が違うという問題で終了である。

だが、ここから派生した問題が二つあると本誌では考えた。まずは競合を意識しすぎるスタートアップは如何なものかという点だ。

Rettyとしては「東京で食べログの口コミ数を上回ったぜ!」と主張することによって、サービスが伸びている感をアピールし、「食べログの次はRettyの時代」という印象を植え付けたかったのであろう。それはある意味、後述するTech CrunchやThe Bridgeの報道もあり、スタートアップ界隈では記事もバズり、そういった印象を持つ人が本誌の記事が出るまでは多かったと思う。フォロワーの立場であるRettyとしては正しい戦略だ。どんな切り口であれ、競合に勝るという見せ方を使ってくるのは当然である。

ただ、ユーザーにとっては食べログとRetttyの競争などどうでもよく、「Rettyが自社に都合のよい数字(人によってはそれって違うじゃんという定義)で食べログに勝ったと主張していること」を知ったユーザーはどういう気持ちになるだろうか。

本誌にもRettyの事業戦略説明会の案内はきていたが、筆者がそういったイベントに出席することを好まないことを理由に不参加としたが、最近毎月のようにMAUの伸びをメディアで発表してうぇいうぇいやっているRettyになにかしらの違和感を覚えていた点が拭えなかった。

数字や競合比較をアピールすることで、ユーザーはついてこない。

それは自社内でやればいいことである。対外的に主張し続けるという戦略も理解できるし、メディアはPVが取れればなんでもいいみたいなところはあるので、The Bridgeは毎月それを喜んで報道する。800万MAU突破、900万MAU突破、毎月そんな記事を載せて楽しいのか。筆者はずっと違和感を覚えていた。おっと話が逸れた。

現に筆者は600投稿以上したユーザーとして、「テキスト写真投稿のない口コミ数で食べログを抜いた!」と主張していることについては、悲しみを覚えた。どうでもいいだろそんなことと。しかも定義が全然違うだろと。

競合を見すぎたスタートアップは没落していくという定説もあるように、これはやりすぎではないかと感じた。本誌も後述するTech Crunchなど競合を叩くことがよくあるので人のことは言えないが、競合を考える時間があればユーザーのことを考えた方がサービスの成功に近づくのではないか。過度な競合の煽りは、Rettyのユーザーファースト意識が下がっている指標ともいえるだろう。もともとは非常にユーザー視点があった企業のはずだ。

実態を把握せず事業者の言ったことをコピペしたメディア

競合ではなくユーザーを見ろ。といった話をした直後にこの主張をする矛盾を許してほしいが、今回の事業戦略発表会を紹介したTech Crunchの記事は残念であった。今回はCNETがいい仕事をしたと思う。

「Rettyの口コミ数が食べログの口コミ数を東京で抜いた」という点をおそらくなにも疑問を持たずに書いた。そこに問題がある。

事業者が言ったことをそのまま書くことがメディアの仕事ではない。

事業者が自社に都合のいい数字を主張してくるのは当たり前のことであり、その数字を安易に受け止めてはならない。今回の場合は筆者が600件以上Rettyに投稿しているヘビーユーザーであり、かつCGMの事業経験もあるがゆえに、Rettyの主張する「口コミ数」には多分に「テキストと写真のない役立たない口コミ」が相当数含まれることが容易に想像できた。

その定義の違いも確認せずに(ちなみにRetty側は自社が有利な情報を出せばいいので、定義の違いがバレなければPR成功となるので、必ずしも出す必要はないと思う)コピペで載せる。ユーザーとして使っていないし、事業経験もないがゆえに、気づかないのだと思う。

少し話が逸れるが別の例を挙げると、食べログもRettyもやっていることだが「MAU」で主張していくのも筆者はいかがなものかと思っている。事業者が主張するならまだしも、メディアで紹介する上では。メディアは事業者と読者の橋渡しをする役割であり、翻訳家の側面もある。

「MAU1,000万」と聞くと、一般読者は「え、日本の人口の1/10も使っているんですか?」とミスリードする可能性がある。アプリDL数も二重カウントが含まれていることもありそうだが、DL数よりMAUの方が一般読者にははるかに分かりにくい。「MAU」を軸とした記事を本誌であまり出さない理由はそこにある。読者をミスリードしないためだ。

話が逸れたが、異なる定義の指標において、東京の口コミ数でRettyは食べログを上回ったと主張した。それを媒介者であるメディアはどう受け取るか。Rettyの主張したものをそのまま載せてしまった。結果、間違った情報で多くの読者に伝わってしまった。

おそらく、カカクコムがリリースで反撃してこなければ、多くの読者は「食べログよりRettyの時代なんだね!」という印象で終わっていたであろう。そうなればRettyとしては成功であるが、メディアの役割としては如何なものか。本件の行く末がどうなるかわからないが、RettyもTech Crunchも共に信頼性が下がるのではないか。

こういった際どい戦いにおいて、「コピペメディア」のメッキが剥がれる。

食べログ vs Retty 口コミ数戦争の論点を最後におさらいしよう。

・テキストや写真のない口コミは口コミと定義できるのか
・Rettyはユーザーより競合を見過ぎでありユーザーとしては残念
・事業者の主張をコピペして掲載するメディアの信憑性

以上です。様々なご意見、お待ちしております。

こうやって記事になることも見据えた上での戦略発表会であれば、大成功かと。

ちなみに筆者は、今後も投稿は食べログではなくRettyでしていくと思います。

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