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「出産その他の事故」を改めよう-わかりやすい言葉で政治を身近に


出産って事故???

 言うまでもなく、出産は大変素晴らしい、おめでたいことです。

 しかし、政治や法律の世界では、出産が「事故」として扱われる場合があります

 先日、私も委員として所属している静岡県議会の議会運営委員会で、議会規則の改正が議題となりました。

 現行の「第2条 議員は、事故のために出席できないときは、その理由を付け、当日の開議時間までに議長に届け出なければならない。」を「第2条 議員は、公務、疾病、出産その他の事故のため出席できないときは、その理由を付け、当日の開議時間までに議長に届け出なければならない。」に改正するというものです。

 これまでも「事故」には出産を含むという解釈の下で出産による欠席は可能でしたが、女性議員が議員活動を行いながら躊躇せず出産できるように、議会を欠席できる理由として出産を明記するというのがこの改正の理由です。

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※平成27年6月30日 静岡県議会議会運営委員会資料


 改正理由については私も当然のことと思いましたが、出産をまるで事故として扱っているような表現を明記することに大変違和感を感じました。そのため、「出産その他の事故」という表記はおかしいのではないかと質問致しました。

 事務局の説明は、この条文の「事故」とは、交通事故等で言う「事故」ではなく、「業務の執行の支障となるような出来事」を意味するということでした。今回の改正案は全国都道府県議会議長会が定めている「標準都道府県議会会議規則」の条文をそのまま用いたものであり、殆どの都道府県議会でも「出産その他の事故」という文言が使われています。この改正案は既に会派の代表者の間で了承されていたこともあり事務局側の説明を了承しましたが、もやもやしたものが残りました。

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※同 静岡県議会議会運営委員会資料(※宮城県議会は「事故」ではなく「事由」の言葉を用いています)


 後で調べてみると、例えば、内閣法に「第9条 内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。」という条文があるように、法律用語としての「事故」には、「人体や財産に損害を与える事象」とは別の、前述のような意味もあるということです。ですから「出産その他の事故」という言い方は法律用語としては間違いではありません。

 しかしながら、政治や選挙への関心の低下が続く中、とりわけ、来年の参議院議員選挙から18歳、19歳の方達も投票が出来るようになる現状において、私たち政治家や行政そして法律家には、政治をより身近にするための一層の努力が求められているはずです。それには、まず、なるべくわかりやすい、日常の言葉で政治を語ることが必要です。政治をより身近なものにするためにも、出産を否定的な意味に捉えていると誤解されかねない「出産その他の事故」という表現は、やはり全国(※1)で、例えば宮城県議会の「出産その他の事由」のように改めるべきではないでしょうか。

 お読み下さり、ありがとうございます。


※1・・・ちなみに、衆議院規則では「第185条 議員が事故のため出席できなかったときは、その理由を附し欠席届を議長に提出しなければならない。② 議員が出産のため議院に出席できないときは、日数を定めて、あらかじめ議長に欠席届を提出することができる。」となっているのに対し、参議院規則では「第187条 議員は、事故のために数日間議院に出席することができないときは、予めその理由と日数を記した請暇書を議長に提出しなければならない。議長は、七日を超えない請暇については、これを許可することができる。七日を超えるものについては、議長は、議院に諮りこれを決する。公務、疾病、出産その他一時的な事故によって議院に出席することができないときは、その理由を記した欠席届書を議長に提出しなければならない。」となっています。したがって、参議院規則においても「出産その他一時的な事故」の表現を県議会と同様に修正すべきではないでしょうか。
 
 一方、全国市議会議長会はこの5月26日標準市議会会議規則の一部改正を、そして、全国町村議会議長会5月28日標準町村議会会議規則の一部改正を行ない、どちらも次のように規定しました。「第2条 議員は、事故のため出席できないときは、その理由を付け、当日の開議時刻までに議長に届け出なければならない。2 議員は、出産のため出席できないときは、日数を定めて、あらかじめ議長に欠席届を提出することができる。」つまり、「衆議院型」の規則となり、今後は多くの市町村議会が同様の改正をするものと考えられます。

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