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グーグル検索、「自社優遇で消費者に有害」米研究論文

【ブリュッセル】米国の学者2人は、インターネット検索大手のグーグルが自社サービスを優遇するように検索結果をゆがめることで、インターネット利用者に害を与え、競争法に違反していると指摘する論文を発表した。これは、欧州連合(EU)が長期間行っている同社の独占禁止に関する調査で、潜在的な曲折をもたらし得る論文だ。

 研究は、統計的なテスト調査と、法律と経済に関する詳細な分析とを組み合わせ、グーグルの慣行がもたらす波紋を調べるものだ。グーグルは地元のレストランや医師などの検索の際、口コミサイトのイェルプや旅行サイトのトリップアドバイザーなどのライバルを犠牲にして、自社の専門検索サービスを優遇している。

 研究の資金はイェルプが提供した。イェルプはEU独禁当局にグーグルの検索慣行をめぐる訴えを起こしている。この研究結果は26日に欧州規制当局に提出された。

 論文の著者であるハーバード大学経営大学院のマイケル・ルカ氏とコロンビア大学法科大学院のティム・ウー氏は、ユーザーが関連性によって純粋にランク付けした検索結果をクリックする確率が、グーグルの現在の検索結果、つまり自社サービスを目立つように表示した結果をクリックする確率より45%高かったことを突き止めた。

 両氏は、この結果が「経験に基づいた証拠」を提供するとし、グーグルの検索慣行は一部のケースで消費者に被害を与えており、このようなことは「競争促進的と言えない」と指摘した。

 論文は「われわれは、消費者への害が実証されたことが重要な結論で、競争法の分析にも影響をもたらすはずだと考えている」と述べた。

 ウー氏は、競争法とテクノロジーの分野で最も名の通った学者の1人だ。連邦取引委員会(FTC)で以前アドバイザーを務めていた同氏は、「ネットの中立性」という言葉を生み出したことで知られている。これはインターネットのサービスプロバイダーが、特定のサービスやウェブサイトを優遇ないし遮断することなく、全てのコンテンツに平等にアクセスできるようにすべきだという考え方。

 欧州独禁当局のある当局者は、グーグルが消費者に「計測可能な害」をもたらしていることを示すどのような研究も、EU規制当局にとって「状況の前進になる」のは確実だろうと述べた。 同当局者は、規制当局が「できるだけ多くの証拠を集めたい」と考えていると指摘した。

 EUの執行機関である欧州委員会のマルグレーテ・ベスタエアー委員(競争政策担当)は4月、グーグルは検索結果をゆがめ、自社の比較買い物サービスを優遇しているとして正式に「異議告知書」を送付し、5年間にわたった調査を格上げした。争点になっているのは、欧州のインターネット検索市場の90%というシェアを使って、グーグルが自社もサービスを展開する関連市場でライバルに圧力をかけているか否かだ。

 この異議告知書の送付は、何十億ユーロもの罰金につながる可能性があるほか、グーグルにビジネス慣行の修正を迫る恐れもある。ベスタエアー委員は、旅行や地域サービスなどといった別の分野についても調査を続けると述べた。

 グーグルは今回の研究論文に関するコメントを差し控えた。同社はこれまでEUの反トラスト法違反を繰り返し否定しており、正式な異議通知書を出す必要性に全く同意できないと述べてきた。

 グーグルは29日、異議通知書に関連する書類を精査するため、通知書に回答する期限を延長するよう求めていたが、これが欧州委員会から認められたと述べた。新たな回答期限は8月17日になった。

 一方、米国の規制当局は2年前にグーグルの検索慣行に関する調査を終了している。同社が自発的な修正に同意したからだった。

 今回の論文の著者は、検索要請で最大のカテゴリーであるレストランやホテルといった地域サービスの検索に焦点を当てた。研究チームは2500人以上のインターネット利用者を対象に、2種類の検索結果のスクリーンショットのどちらかを無作為に表示した。1つの利用者群はグーグルで現在表示される結果を反映したページ、もう1つの群はグーグル自身のアルゴリズムを用いて、関連性に基づいて第三者の評価サイト(イェルプやトリップアドバイザーなど)をランク付けしたページを閲覧した。

 研究によると、ユーザーのうち32%はグーグルが現在表示している地域サービスの検索結果を、47%はもう1つのメリット(関連性)ベースの検索結果をクリックした。論文は、後者は前者に比べて50%近く上回っており、「現在のインターネット業界では膨大だ」と指摘した。

 著者らは「簡潔に言うと、地域サービスの検索に関しては、グーグルはユーザーに自社の検索エンジンの劣化版を表示しているのだ」と書いている。

By TOM FAIRLESS

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