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「国連でのロビー活動」その2―ハンセン病と障害―

ハンセン病の障害者は、エチオピアや日本財団が支援するインド、インドネシア、ブラジルを除くと世界的には未組織状態であり、日本財団と笹川記念保健協力財団は、一カ国でも多く組織化したいと努力をしているところである。

この度『障害者インターナショナル』のアビディ会長より、「ハンセン病の障害者も『障害者インターナショナル』に加盟しないか」との暖かい協力の申し出をいただいた。

第8回国連障害者権利条約締結国会議がニューヨークの国連本部で開催中に、ロビー活動を兼ね、初めての会議を開催した。

以下は私のスピーチです。

******************

第8回国連障害者権利条約締約国会議サイドイベント
「ハンセン病と障害〜Voices of People Affected by Leprosy」


2015年6月10日
於:ニューヨーク国連本部


本日は、ハンセン病と障害というテーマで初めてイベントを開催することができることを嬉しく思っております。

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約100人の方が出席してくださった


このサイドイベントを通じて、障害者とハンセン病患者・回復者それぞれの声を結集し、互いに連携を深める可能性を見出すための貴重な機会となることを願っています。

私が「障害者インターナショナル」(Disabled People’s International:DPI)のグローバルチェアのアビディさん(Mr. Javed Abidi)と出会ったのは3年前、私たちがハンセン病の人権に関するシンポジウムをインドで開催した際に、アビディさんが参加してくださったことがきっかけでした。

冒頭のビデオでもありました通り、ハンセン病は人類の歴史の中で最も過酷な差別を伴う病気として知られています。今は治療法も確立されており、確実に治る病気となりました。しかし、治療をせずに放っておくと症状が進行し、手足や顔などに障害を負うことがあります。このような障害が原因で、長い間、業病あるいは天刑病などと誤解され、人々に恐れられてきました。

ハンセン病回復者の中には、病気の後遺症として負った重い障害により、様々な場面で社会活動に参加できない人々がいます。また、十分な教育を受けられない人もいます。就職できない人も多く、なかには物乞いで生計を立てることを余儀なくされる人もいます。

私は世界保健機関(World Health Organization:WHO)からハンセン病制圧大使、日本政府からハンセン病人権啓発大使を拝命し、ハンセン病に伴う差別の撤廃やハンセン病患者・回復者の生活の向上のための活動に取り組んでいます。

インドでの会議はアビディさんが初めて参加したハンセン病の会議でした。彼は、その会議の場で、「原因は何であれ障害を負った者同士、共に何かできるのではないか」と、DPIとしてハンセン病患者・回復者と障害者との連携を強化することを強く提案してくださいました。

アビディさんからの提案は非常に心強く、たとえ状況は違っても、DPIが目指すものとハンセン病の問題について取り組む私たちが目指すものは非常に近いということを再認識することとなりました。

ハンセン病コミュニティも障害コミュニティも、誰も疎外されることのないインクルーシブな社会をつくっていくことを目標にしています。その目標に向かって、私たちは各国政府の政策改善や当事者の生活改善のための活動に取り組み、成果を上げてきました。

それぞれのグループの人権に対する活動に関していえば、障害者については、2006年に国連総会で「障害者権利条約」が採択され、ハンセン病については、2010年に国連総会で「ハンセン病差別撤廃決議」が採択されました。

こうした大きな前進を遂げて以来、障害者もハンセン病患者・回復者も、徐々に政策の改善が見られるようになりました。しかし、世界中の当事者の方々の生活に目を向けてみると、真にインクルーシブな社会を実現するためには、まだまだ長い道のりが続いています。

昨年、DPIと日本財団は、障害者とハンセン病患者・回復者との連携を強化する事業を新たに立ち上げました。詳しくは後ほどお話があると思いますが、例えばインドでは、アビディさんとインドのハンセン病当事者団体の創設者であるゴパールさんのイニシアティブのもと、互いの活動に協働して取り組む可能性を探りはじめています。インドの例のように、これまで別々に活動していた障害者とハンセン病患者・回復者が連携していくことを見据えて動きはじめた国もあれば、エチオピアのように、DPI加盟団体である障害者団体とハンセン病患者・回復者の団体の連携がすでに進んでいる国もあります。

一方、そもそも当事者団体がない国もあります。ハンセン病患者・回復者の声を社会に届けるためには、今後、当事者団体の設立が検討されるべきでしょう。


国によって状況は異なりますので、皆さまには、それぞれの国の状況にあった解決策を模索していただきたいと思います。その際、障害の原因を限定せず、障害当事者とハンセン病当事者が連携できれば、互いの人権についての主張をより大きなものにしていけるかもしれません。

このイベントが障害当事者とハンセン病当事者の協力関係構築のきっかけとなれば大変嬉しく思います。

最後に、このイベントの開催をサポートしてくださった国連の皆さま、エチオピア、日本、フィリピン政府代表部の皆さま、このようなすばらしい機会を用意してくださったDPI会長はじめスタッフの皆さま、会議期間のお忙しい中ご参加くださった会場の皆さまに心より感謝申し上げます。そして、この会場に足を運んでくださり、貴重な声をお聞かせくださるハンセン病回復者であり、私のよき友人でもあるラミレスさんとゴパールさんに厚く御礼を申し上げます。

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