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「トップ記事は芸能ではなく必ず“政治もの”を選んでいる」 ~「日刊ゲンダイ」デジタル版編集長・大原将文氏インタビュー~

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夕刊紙「日刊ゲンダイ」のデジタル版のPV数が快進撃を続けている。今年1月には月間9000万PVと1憶に迫る勢いを見せ、今月も堅調に伸びているという。紙からデジタル版への展開に苦戦する旧メディアが多い中、「日刊ゲンダイ」ではどのような取り組みをしているのだろうか。デジタル版の編集長を務める大原将文氏に話を聞いた。

月間PV数9000万!2年前の10倍以上に成長

-まず、「日刊ゲンダイ」のデジタル版の運営体制を教えてください。

大原将文氏(以下、大原):紙面に掲載された記事データや写真を登録する社員は別にいますが、専任の編集記者は私を含めて3人だけです。それに加えて外部のライター2~3人にご協力いただいているという、非常に心もとない状況です(笑)。

-システム担当には専任者がいるのですか?

大原:基本的にサイトや管理画面の設計などを含めて、私たち記者が担当しています。3人のうち1人は、最近始めたタイアップ記事などの案件に注力しているので、ますます人手が足りていない状況です。

-記者の方は、記事を書くだけでサイトの設計や広告の部分まで見ている方は少ないと思うのですが。

大原:本当はどちらかにしたいのですが、とにかく人がいないんですよね(笑)。しかし、現在のメディアの状況を考えると、コンテンツ製作と流通というのは同時に考えていかなければならない時代になっていると思うんです。

-ウェブオリジナル記事の割合はどれぐらいですか?

大原:それほど多くはありません。紙面からサイトに公開する記事が1日20数本で、オリジナル記事は多くても3~4本程度です。

-紙の紙面とデジタル版で取材するジャンルが違う場合などはあるのでしょうか?

大原:デジタル版では芸能ものが多いです。昨日(※取材日は6月18日)、Yahoo!トピックスに載った「宝生舞さんの行方が見つかった」という記事は、デジタル専任の記者が執筆、配信したものです。不明権利者リストを公開している機関に電話取材をして「名前が消えたのは、どうしてですか?」と聞いたところ、「実はもう見つかった」と。

昨日の夕方に取材したのですが、紙面に載せるには間に合いません。ですので、宝生さんの話題のように“足の速い記事”は、デジタルで作って即時配信しています。夕刊紙といっても記事の多くは前日に作成し、それが翌日の紙面に掲載されます。午前中に起きたニュースは、朝の担当者が昼過ぎくらいまでに紙面に突っ込んでいます。

-媒体資料を拝見したところ、月間で9000万PVを記録しています。また、ここ数ヶ月でかなり堅調に伸びていますね。

大原:私は紙面の記者として、スポーツを経て10年ほど政治や事件、経済などを担当していたのですが、2年前の2013年6月にデジタル版に携わることになりました。

それまではデジタル専門の部署がなく、外部の企業にお願いして、紙面からピックアップした記事に、見出しをつけて載せてもらうスタイルでした。ニュースサイトというよりは、ホームページに近く、当時のPVは400万程度。それが、今年1月と4月に9000万PVを達成し、今月はそれを上回るペースで推移しています。

-単体のニュースサイトとしては、かなりの規模ですね。

大原:最初400~500万PVだったことを考えると、やはり記事の見出しを工夫したことが大きいですね。外部にお任せしていた時は、編集の専門の方ではないので、紙面のメイン見出しだけを抜き取って記事につけて載せるだけになってしまう。例えばこの記事、「円消滅カウントダウン」というメイン見出しですが、これだけだとざっくりし過ぎていて意味が分からないですよね。

そこで、ウェブ用には紙面のメイン見出しやサブ見出し、小見出しをまとめて、わかりやすい1本の見出しに書き換えることから始めました。抽象的にならないよう、なるべくファクトを前面に出すように気をつけています。現在は27文字前後で見出しを付けていますが、そうした工夫をしたところ、すぐにPVが伸びていきました。また、写真も一部の記事にしか付いていなかったので、可能な限り写真付きにするようにしたところ、3カ月目には3000万PVを超えました。

通信社や大手紙、スポーツ紙に速報性では勝てませんし、夕刊紙なのでもともと一次情報を売りにはしていません。例えば党首討論の話なら、オピニオンを交えながら一般紙が報じないような視点で状況を説明するなどの加工、味付けをして翌日に出します。一次情報に付加価値をプラスする夕刊紙ならではの記事の作り方が、ネット向きでもあったのかなという部分もありますね。

-ソーシャルメディア対応は、積極的にやっていますか?

大原:Twitterの運用はひたすら見出しとリンクだけですが、それでもフォロワーは4万になりました。Facebookは、ほとんど手つかずだったのですが、運用し始めたら非常に反応がいいんです。ネット上には右寄りの論調が多いため、弊社のFacebookページには、そういう論調ではない人たちが集まってコメントしているイメージですね。

実は、Facebookではスポーツや芸能ものは、あまり反応が良くありません。一方で、政治の話題を扱った記事は非常に読まれて拡散されるので、今は政治の話題をメインに据えて芸能などは、Facebookページには、ほぼ掲載していません。

-ネット上だと、芸能ネタの方が強いというイメージが大きいと思うのですが。

大原:Facebookに限ってはそうではないんですね。Facebookにおいて、拡散・シェアされやすいテーマは、人々の“喜怒哀楽”に訴えるものだと思います。ただし、カワイイとか、ほっこりするようなコンテンツは「日刊ゲンダイ」にはありません。代わりに、政権や原発、年金問題などに対する読者の怒りが拡散のエネルギーになっているのではと思います。

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