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平和安全特質問(歴史認識、南シナ海、重要影響事態)

 久しぶりのエントリーになります。サボっていたつもりはないのですが、平和安全特オンリーの日々でして、なかなか書きにくかったということがあります。

 昨日、平和安全特別委員会で4度目の質疑に立ちました(映像、Windows Media Player)。

 冒頭、山谷海洋政策担当相に対して、歴史認識について聞きました。今回の安保法制は、これまでよりも海外に自衛隊派遣を行うことになり、場合によっては交戦時の現場、周辺にも出ていきます。そういう中、先の大戦に対してどういう認識を持っているのかというのはとても重要だということで、その辺りの認識が曖昧な山谷大臣に伺いました。

 私の考えを述べておきますと、先の大戦は国策を誤った侵略戦争であったと思っています。その反省に立つことは、常に大事なことだと思います。まず、そこはしっかりと押さえたいと思います。その上で日本はきちんと戦後処理をやってきました。したがって、戦争状態や不正常な状態にあった国との関係で現在生じている請求権裁判については、これに応じる必要は無いとの認識です。

 山谷大臣は「侵略戦争」、「国策を誤った」という言葉について答弁をしたがりませんでしたが、最終的にはそれを認めたということだと理解しました。また、東京裁判については、山谷大臣は以前「受け入れているのは刑の宣告、執行のみであり、裁判全体ではない。」という主張をしておられましたが、少なくとも国務大臣としては「受け入れている裁判とは東京裁判全体であり、国と国との関係でそれに異議を唱えることはしない」ということまでは答弁しました。ただ、それは国務大臣としてであり、退任後はまた別のことを言うことを匂わせる答弁でした。

 その後、南シナ海情勢について聞いています。中国が様々な人工物を作っている幾つかの環礁については、あれは満潮時には海に沈む低潮高地だと聞いています。低潮高地は、基本的に領海を有しません。上にどんな人工物(滑走路、レーダーサイト)を作ろうともそれは変わりません。なので、代表的なFiery Cross Reef、Subi Reefについては低潮高地であることを確認してください、と岸田外相に問いましたが、答えは「分からない」とのことでした。

 今後、南シナ海で警戒監視活動に協力を求められるでしょう。その際、現地情勢として「島なのか、低潮高地なのか」を正確に把握していなければ、今後のありうべき活動に差し支えると思います。最後は「南シナ海に領海に属さない地域はある」、こんな当たり前のことしか答えがありませんでした。中国との関係にそこまで配慮するのか、と若干驚きました。

 その後、哨戒機P3Cを南シナ海に出すことは念頭にあるのか、という問いもしましたが、これは「具体的な計画は無い」とのことでした。これはさすがにそういう答弁だろうと思います。

 もう一つ、私が今回の法律を見ていて「あれっ」と思ったのは、現在の南シナ海において警戒監視活動をする米艦戦に対する給油活動がメニューに入っていないのです。そういう要望はありそうだと思ったので変だなと思って、中谷大臣に質問しました。ニーズがないのかという質問に対しては、「今は無い」という微妙な答弁でした。将来、要望があったらまた法改正をやるということになるわけでして、今回、メニューに入れておけばいいと思うのですが、ニーズが無いということなので、それ以上は追いませんでした。

 更に、これまでの審議で南シナ海での事態が重要影響事態(拡大周辺事態)に当たることがあり得るとの答弁がありました。なので、その例を一つでいいから挙げてほしいという質問をしました。なかなか答弁が出てきませんでしたが、最終的には南シナ海で武力衝突があり、それによって我が国に物資を運ぶ日本の船舶に深刻な被害が及ぶ可能性があり、米軍等が対応している時に後方支援をすること、といった例が挙がってきました。

 それを踏まえ、今回の「重要影響事態」というのが何なのかということを突き詰めて質問しました。技術的で難しいのですが、私の主張は大体以下のようなものです。

● これまでの周辺事態の定義は「我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」でした。これが、今回、「我が国周辺の地域における」が落ちて、重要影響事態として「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」となっています。こうなってくると「我が国の平和及び安全」が何なのかということがとても大事になって来ます。

 何故、これを聞いているかというと、今回の法制で後方支援が出来るのは、国際社会の平和及び安全のための後方支援(恒久法)と、この重要影響事態における後方支援です。恒久法における後方支援には一定の客観的な要件が課せられていますが、重要影響事態には基本的に我が国が認定すればいいだけです。そうなると、恒久法の要件に当てはまらなければ、重要影響事態を非常に広く解して引っ掛けて、どういう事態でも後方支援が可能となるようにするのではないかという懸念があります。

● これまでの周辺事態においては、国会審議時に当時の野呂田大臣による六類型というものがあります。以下のようなものです。

【野呂田六類型】
① 我が国周辺の地域において武力紛争の発生が差し迫っている場合であって、我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合
② 我が国周辺の地域において武力紛争が発生している場合であって、我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合。
③ 我が国周辺の地域における武力紛争そのものは一応停止したが、いまだ秩序の維持、回復等が達成されておらず、引き続き我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合。
④ ある国の行動が国連安保理によって平和に対する脅威あるいは平和の破壊または侵略行為と決定され、その国が国連安保理決議に基づく経済制裁の対象となるような場合であって、それが我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合。
⑤ ある国における政治体制の混乱等によりその国において大量の避難民が発生し、我が国への流入の可能性が高まっている場合であって、これが我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合。
⑥ ある国において内乱、内戦等の事態が発生し、それが純然たる国内問題にとどまらず国際的に拡大しておる場合であって、我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合。

 今回、法改正をすることでこの野呂田六類型がどうなっていくのかということを問いました。普通に考えて、①~③にある「我が国周辺の地域において」という言葉を落とせば、新六類型になるのですかと問いました。そうすると、以下のようになります。

【考え得る新六類型】
① 我が国周辺の地域において武力紛争の発生が差し迫っている場合であって、我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合
② 我が国周辺の地域において武力紛争が発生している場合であって、我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合
③ 我が国周辺の地域における武力紛争そのものは一応停止したが、いまだ秩序の維持、回復等が達成されておらず、引き続き我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合
④ ある国の行動が国連安保理によって平和に対する脅威あるいは平和の破壊または侵略行為と決定され、その国が国連安保理決議に基づく経済制裁の対象となるような場合であって、それが我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合
⑤ ある国における政治体制の混乱等によりその国において大量の避難民が発生し、我が国への流入の可能性が高まっている場合であって、これが我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合
⑥ ある国において内乱、内戦等の事態が発生し、それが純然たる国内問題にとどまらず国際的に拡大しておる場合であって、我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合

 ただ、これだととても、とても広いものを拾ってしまう可能性があるのです。特に②「武力紛争が発生している場合であって、我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合」なんてのは、もう何でもありのようになってきます。だからこそ、新六類型を出せないのだと思います。

 この「我が国の平和及び安全の定義」、「新六類型」、いずれも明確な答弁はありませんでした。さすがにこれは無いよなあと思います。もう少し明確化しないと、それこそ、「打ち出の小づち」として何にでも発動出来ることになります。

 長々と質問しました。技術的なことが多かったので、あまりメディアには取り上げられませんけど、法律の本質的なところではないかなと思います。反省点としては「早口」なことです。これは治す努力をします。

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