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「日本発のエンタメ系スタートアップ」という旗を掲げて、全力で応援するよ。

 去年始めた「START ME UP AWARDS」。ネーミングはもちろん、ローリング・ストーンズの名曲が由来。イベントで盛り上げるジングルは、山口ゼミ卒業生CWFメンバーたちに作ってもらった。

 「音楽とIT」というテーマに取り組むようになったのは、元は自分がプロデュースするアーティストを売り出すためだ。ソーシャルメディアに手を染めた2006年頃から、グローバルとデジタルコミュニケーションをテーマに実践的プロデュースをして、いろんな出会いがあった。そのプロジェクト自体は、卑怯な背信行為に遭って、志半ばで頓挫してしまったけれど、コンセプトや考え方を評価してもらって、今の活動につながっている。

画像を見る  音楽業界が、ネット民からオワコンと目されてもうずいぶん経つような気がする。売上の長期低落は20年位続いている。その原因は意外に簡単で、一言で言えば、デジタルへの無理解だ。他の分野では当たり前の「デジタルファースト」に真摯に取り組めば、日本の音楽シーンや音楽業界には大きなポテンシャルがある。欧米では、PANDORAやSpotifyやShazamなどの音楽系IT企業が高い時価総額で評価されている。ヒップホップのプロデューサーDr.Dreが始めた高級ヘッドフォンメーカーBEATSが音楽配信サービスを始めて数ヶ月で超高額でアップルに買収されたのは記憶に新しい。

 僕は業界団体の理事も長年やったし、キャリアは(無駄に)長いので、固有名詞も含めて、誰が癌で、どういうパワーバランスで硬直状態になっているのか、概ねはわかっているつもりだ。ただ、自分が育った音楽業界で「テロ行為」を起こす気にはなれない。それに、良くも悪くも、風が吹くとそれに乗ってくるのがギョーカイなのも知っているので、外部の若いエネルギーを借りて、新しい風を吹かせて、改革したいと思っている。

画像を見る  設立2年以内のスタートアップと起業志望者を対象にしたSTART ME UP AWARDSを有志で立ち上げた個人的な動機は、そういうことだ。音楽ではなく「エンタメ感のあるサービス」という掲げ方をしたのは、既存のカテゴリー設定は有効性を失っていると感じているからだ。実際、農業でも医療でも、経営者が「これはエンタ−テインメントだ!」と思って立ち上げるなら、是非、応援したいし、役に立てることはあると思っている。

 既存の権利者団体や大手企業も今の枠組みの中で内側を向いてやっていても未来は辛いと、みんなわかっている。イノベーティブな発想をもった若者たちの力を欲しいということは、どんなコンサバティブな経営者も異存はないはずだ。

画像を見る まだ告知が十分にできてないけれど、日本市場に興味をもっているアジアの起業家も巻き込みたい。落ちていると言ってもエンタメにおいては日本は世界二位の規模を保っているし、消費者の質が高いことは世界が認めている。自分のサービスを日本市場で試したいと思っている起業家は海外にも少なくないはずだ。  ただ、言葉の問題、業界慣習の問題で、おそらく、何から手を付ければよいかもわからないのが現状だと思う。面白いアイデアを東京に持ってきてぶつけてもらって、僕らがジョインすることで何かが始まる可能性はあるはずだ。募集要項で、日本語もしくは英語での応募がOKとしているのはそういう理由だ。

 一回目だった去年は、本当に暗中模索で、なんとかかんとか形にしたというのが正直なところだったけれど、課題設定は正しかったようで、各方面から望外の高い評価をいただいた。  今年は、経産省コ・フェスタの一環であるデジタルコンテンツEXPOの中でやらせてもらえることになった。お台場の科学未来館での最終審査には、ベンチャーキャピタルも12社以上が来てくれるし、第一興商やスペースシャワーネットワークなどの大手企業が、真剣に起業家のプレゼンテーションを受け止めてくれる。デジタルコンテンツ協会に加えて、都有地である竹芝地区を再開発して、コンテンツを核とした国際ビジネス拠点にしようとしている一般社団法人CiP(コンテンツイノベーションプログラム)協議会も、後援に加わってくれた。

 そうそうたる顔ぶれである二次審査の審査員が、キュレーターとして最終審査向けのブラッシュアップをしてくれるし、選ばれたファイナリストについては、実力と識見のある実行委員会メンバーが膝詰め(ハンズオン)で応援することになっている。

画像を見る  賞金を出せるほど協賛を集めることはできてないけれど、本気で出資を検討している人たちとの出会いと、知見者たちの知恵とネットワークは、若い起業家にとって賞金以上の価値があると思う。

 一昨年に『世界を変える80年代生まれの起業家』という本で取り上げた若い起業家たちとは今も関係が続いている。それぞれ成長を見せていて、数年以内にここからスター起業家は出てくるだろう。この本で取り上げた10人中、何人が「成功」と言えるエグジットができるか、僕の目利き力が試される気がしている。3割超えたら威張っていいよね?今はイチロー超えの4割打者になれるかもしれない。

 「エンタメとIT」をテーマにした最新刊『10人に小さな発見を与えれば、1000万人が動き出す』にも書いたけれど、日本のギョーカイはタコツボにハマって、成長イメージが持てなくなっているけれど、個々のノウハウをパーツとして考えれば、使い途はまだ相当ある。明文化されていない「村の掟」や「踏んではいけない地雷」に囚われずに、若い起業家の新しい発想と行動力を活かせれば日本経済再生に繋がると、僕は本気で信じている。
 「破壊」ではなく、「再構築」をしたいし、そのためには、既存のプレイヤーが自分の役割や職能を「再定義」する必要があるというのが、この本で僕が訴えたかったテーマの一つだ。

 歴史的に見ても、エンターテインメントはテクノロジーの実験場だし、新しいサービスを先導する役割だ。メディア系、コンテンツ系、エンタメ感のあるサービスや事業を志す起業家たちは、START ME UP AWARDSをステップアップの場として、活用して欲しい。
 今週水曜日には、説明会を兼ねたキックオフイベントを朝日新聞メディラボ渋谷でやるので、興味のある人は覗きに来てね。

 これからの日本は製造業だけでは国際競争に勝てない。エンターテインメント要素を取り込んだ新しい事業を立ち上げることは、日本がグローバル競争で生き残っていくためにも重要だし、そこに日本人の優位性はあると僕は心底思っている。できる限りのことをやっていきたい。


START ME UP AWARDS公式サイト

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