岡田克也代表は26日午後、定例記者会見を党本部で開き、衆院安保特別委員会での質疑の感想や、自民党議員の会合での沖縄やメディアに対する発言について見解を述べた。
■衆院安保特での質疑、安保法制について
岡田代表は安保特での質疑について「党首討論ではなかなか議論がかみ合わなかったので、今回は(あらかじめ)質問の中身は丁寧に伝えておいたが、にもかかわらず、ほとんどかみ合わなかったというのが実感だ。非常に遺憾に思っている」と感想を述べた(質疑の内容については別途掲載の記事を参照)。その上で、「(存立危機事態について)いつ、何に対して認定するのか、具体的ケースに即して聞いてもまったく答えがないのだから、議論のしようがない。国民に分かるように、われわれにも理解できるように説明してもらわないと有意義な議論はできない」と批判した。また、必要最小限度の武力行使に関する質問や、日韓関係、平和主義と憲法問題などの質疑についても「きちんとした答えが返ってこない」とし、今後も委員会審議で議論していきたいと述べた。
維新の党が独自に安保法案の対案を出す意向だとされることについては、「領域警備法案は一緒に作ってきたというより、8割民主党に著作権がある法案だ。これを勝手に出されるようなことはないと思う。よく相談しないと、同一労働同一賃金推進法案の二の舞になってしまう。あとの法案については詳細を承知していないが、基本的には維新の党が決めること。民主党としては中心は政府案に対する質疑だ」と述べた。また、領域警備法案の提出などについて維新の党側から具体的な話もなく、民主党としては、現時点では対案を提出することより政府案について議論をすることが重要との認識を重ねて強調した。
■自民党議員の勉強会でのメディア、沖縄に対する発言
25日に自民党議員の勉強会である「文化芸術懇話会」で、出席議員から「マスコミを懲らしめるために経団連に働きかけを」などの発言が出され、作家の百田尚樹氏が「沖縄の新聞をつぶす」などと発言したとされる問題については、「極めて問題だ。特に、スポンサーを締め上げて番組をコントロールしようという発言があったことは驚きだ」「前回の選挙のときも、自民党のメディアに対する締め付けがあったと言われているが、だんだんとその姿があわらになってきた」と述べた。その上で「ここは本当にしっかりしないと、戦前ではないが、情報統制はほんの小さなところから始まって、行くところまで行ってしまう。野党第1党として踏ん張らなければいけない」と強い懸念を示した。また、沖縄に関する百田氏の発言を「とんでもない発言だ」とし、それに関する本日の安倍総理の答弁姿勢についても「とても心のこもったものだとは思えない」と厳しく批判した。
記者団から、こうした発言が出ること自体をどう思うかとと問われ「おごりの結果だろう。それが1つの突出した意見なのか、自民党の一部の人たちの共通した雰囲気なのか。もし後者であるとすれば大変なことだ」と危惧の念を示した。
また、安倍総理の責任と今後の委員会審議への影響についてどう考えるかとの問いには「党の総裁として、発言を打ち消すことを含めて明確に対応をすべきだ。今後も自民党や安倍総理の対応によっては委員会で取り上げていかなければならないこともあるだろう」との見方を示した。
■その他の質問
岩手県知事選挙に現職参院議員が立候補を予定していることに伴う補欠選挙への対応については、「党本部としてはまだ何も決めていない」と前置きした上で、「岩手県は生活の党の小沢代表の本拠地であり、小沢代表ときちんと話をしなければならないと思っている」と応じ、これについては党岩手県連からも一任されていることを明らかにした。
政府が戦後70年の総理談話を閣議決定しない方針を報じられていることについては、「閣議決定をしない理由が分からない。そのほうが自由度を持って書けるということかもしれないが、閣議決定しなければその効力は弱くなる。70年談話を出して、それが周辺国に理解される、意味のある談話になるよう努力してほしい。逆に不信感を増すようなことになれば国益を損なうことになる」とけん制した。
民主党広報委員会