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アングル:中国の人工島建設、南シナ海の「生態系破壊」にも懸念

[香港 25日 ロイター] - 中国が南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で進める岩礁の埋め立て工事。海洋環境の専門家の間では、東南アジアで最も重要なサンゴ礁生態系の1つに深刻なダメージを与えていると危惧する声が高まっている。

中国は現在7つの岩礁で人工島の建設を行っているが、南沙諸島の衛星画像を分析した専門家らはロイターに対し、サンゴ礁への損傷は建設現場の周辺にも広がっており、環境への影響は当初考えられていたより大きい可能性があるとの見方を示した。

こうした指摘は、中国側の説明とは大きく食い違う。同国政府はこれまで、国連が定めた条約に基づき、サンゴ礁および海洋環境の保護に尽力していると繰り返し表明してきた。

フィリピンの研究者らと共同で南シナ海の調査を行ってきた米マイアミ大学の著名海洋生物学者、ジョン・マクマナス氏は先に、中国の埋め立て工事によって「人類史上で最も速いペースでのサンゴ礁域の永久的喪失」が起きていると警告。米海洋大気庁が運営する海洋学フォーラムのサイトで同氏は、埋め立てに使う土砂を掘る作業や、人工島への接近航路を造るための浚渫(しゅんせつ)工事により、現場周辺では広範囲にわたるサンゴ礁が傷つけられたとしている。

24日にロイターの電話取材に応じたマクマナス氏は、同海域で領有権を争う国々は自国の主張はいったん脇に置き、残ったサンゴ礁を保護するための海洋「平和公園」を造るべきだと述べた。

中国の人工島建設に対する海外からの批判の大半は、領有権争いの先鋭化や航行の自由への悪影響に集まっている。

生態系被害をもたらしていると中国を公に非難したのはフィリピンだけだ。同国政府は22日、中国の埋め立て工事は同海域の周辺各国に年間2億8100万ドル(約346億円)の経済的損失をもたらしたと批判した。

こうした環境面での懸念に対する中国外務省からの回答は、国家海洋局が先週発表した声明を参照するようにというものだった。同局はその声明で、「サンゴ礁生態系への影響は、局所的かつ一時的なものであり、管理可能かつ回復可能だ」としている。

ロイターはさらに詳しいコメントを求めたが、それに対する回答はなかった。

<生物学的多様性>

複数の米当局者によれば、2013年後半に浚渫工事が始まってから、中国は約800ヘクタールに及ぶ範囲で埋め立てを行った。

ベトナムなど領有権を争う他の国も、既存施設の拡張などで埋め立て工事を行っているが、その規模は中国に比べるとはるかに小さい。同海域では中国とベトナムのほか、フィリピン、マレーシア、台湾、ブルネイが領有権を主張している。

スプラトリー諸島のサンゴ礁は、世界的に見ると規模は比較的小さいが、専門家らは生物学的多様性に富んでいると指摘する。

また、オオジャコガイやジュゴンや数種のウミガメなど、絶滅が危惧される海洋生物の生息場所でもある。

シンガポール国立大学の海洋科学と法律の専門家ユーナ・リオンズ氏は、4月にラジャラトナム国際研究院に向けて実施した調査で、7つの岩礁以外の浅瀬でも、埋め立て工事に使う建設資材用の場所として浚渫が行われていると指摘。「何世紀も手つかずだったサンゴ礁が今や失われてしまった」と報告した。

同氏は今週に入ってロイターが行った取材に対し、「南シナ海のサンゴ礁群に対して現在行われている浚渫は、その規模と性質の点で前代未聞だ」とコメント。そのうえで「中国の浚渫船が大規模な破壊の原因になっているように見えるが、全体的な破壊の程度や、人工島の建設が始まる前の他国による破壊の程度は定かではない」と述べた。

<中国が環境に最も関心>

一方、中国の当局者らは、人工島の施設について、捜索救援活動や気象観測のほか、環境保護にも役立つと主張している。

同国外務省・国境海洋事務局の欧陽玉靖局長は先月、新華社に対し「関係する島々や礁、海域の生態系保護を中国以上に気にかけている国はない」と言明。そのうえで、国連が定めた生物の多様性や絶滅危惧種の国際取引に関する条約を中国は順守すると述べた。

豪ジェームズクック大学の海洋生物学者テリー・ヒューズ氏は、埋め立て工事が「局所的には壊滅的」であることを認めたうえで、スプラトリー諸島は、長期的な魚の乱獲と気候変動というさらに大きな脅威に直面する可能性があると指摘する。

中国の研究者らと共同執筆した2012年の論文で同氏は、気候変動などによって同海域のサンゴ礁が急速に減少したとしている。

中国の人工島建設は視覚的には目を引く一方、一部のサンゴ礁は大部分が手つかずだと語るヒューズ氏。「それらの一部は依然として非常に良好な状態にある」という。

(Greg Torode記者、翻訳:宮井伸明、編集:伊藤典子)

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