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「中国の小話」その55―中国腐敗官僚の言行録―

中国の指導部は、党と国家の存亡を賭けて腐敗一掃キャンペーンを繰り広げている。最近は中央政府や軍の高官が次々に摘発され、公表された彼らの罪状は、凡そ我々の想像を絶するような内容だ。

一方、中国の反腐敗キャンペーンは近年に端緒を切ったものではない。歴代政権が政府官僚の腐敗問題を政権の正統性を脅かす最大の要素としてとらえ、その危険性を強く意識して撲滅を目指してきたが、官僚の腐敗は絶える兆しがない。反腐敗キャンペーンが今回の中央政府や軍の高官に引火するまでの地方の腐敗官僚たちの言行を拾ってみた。

あらためて拾ってみると、中国には言行一致という言葉はないに等しいようだ。
それにしても発言だけは立派なものだ。

以下、中国地方都市の幹部の発言と実際の行動を比較してみた。

*共産党山東省泰安市委員会書記胡建学の場合
 発言:「銭」(金)とは何か。文字通り「戈」を持つ兵士二人が金庫を守ることだ。
    金庫に手を伸ばすと必ず捕まえられてしまう。
 結果:1996年6月、巨額の贈収賄罪で2年猶予付きの死刑判決を受けた。

*共産党江蘇省邳州市委員会書記邢党嬰の場合
 発言:皆さん、ご安心ください。私は調査検挙に耐えうる人間だ。私はかつて人の金を一度もも
    らったことがないばかりか、9万元の金を上納している。どう調査しても最後は清廉潔白
    で公に奉仕するよい幹部だという結論に辿りつくと確信している。
 結果:汚職や巨額の収賄罪のため、1998年3月に無期懲役刑が言い渡された。

*安徽省阜陽市長肖作新の場合
 発言:腐敗を取締まって廉潔な行政を構築するのは、我々が直面する長期的任務である。我々は
    腐敗官僚を厳罰し、汚職、贈収賄、権謀の追求、恐喝と詐欺による金銭財物の取得、権力
    を以て私利を貪る行為を断固として追及しなければならない。
 結果:巨額の出所不明の資産を所有する罪が問われ、1999年に無期懲役刑に処された。

*福建省上杭県の女性副県長羅鳳群の場合
 発言:もし私に一銭の公金の着服があれば、党から除籍してもいい。もし私に一銭の汚職があれ
    ば、私を、そして私の孫の世代まで銃殺してもいい。
 結果:国家重点プロジェクトの建設に伴う収賄罪で、2000年4月に13年の懲役刑を言い渡され
    た。

*遼寧省瀋陽市市長慕绥新の場合
 発言:人民が私を市長に選び、私は人民のために市長をつとめる。
 結果:巨額の賄賂を受け取り、出所不明の資産を大量に所有し、2001年10月に2年猶予付きの
    死刑判決を受けた。

*雲南省長李嘉廷の場合
 発言:私の最大の願いは、これから5年の間に我が省が抱えている160万の貧困人口の衣食の問
    題を解決することだ。
 結果:巨額の収賄罪で、2003年5月に2年猶予付きの死刑判決を受けた。

*安徽省副省長王懐忠の場合
 発言:私を告発してもどうにもならない。チェックを受ける度に私は栄転する。
 結果:巨額の汚職罪で起訴され、2004年2月に死刑が執行された。

*共産党貴州省委員会書記劉方仁の場合
 発言:法と徳を共に整備してはじめて国が栄える。我々の各級の幹部は作風を正し、密接に大衆
    と結びつき、真の人民の公僕のイメージを打ち立て、官僚主義と形式主義を防ぎ、克服し
    なければならない。
 結果:高額な収賄罪で起訴され、2004年6月に無期懲役刑を言い渡された。

*共産党重慶市委員会常務委員、宣伝部長張宗海の場合
 発言:都市部にはもう草鞋を履いている人がいないが、山間部に行けば、百姓は未だに草鞋を履
    いている。(中略)草鞋を履く公僕とは、心の中で常に百姓のことを案じ、常に自らの責
    任を意識し、草鞋を履く百姓の数を減らし、彼らに豊かな暮らしを送ってもらうために力
    を尽くすものだ。
 結果:収賄罪で、2005年5月に15年懲役の判決を受けた。

*河南省交通庁長石発亮の場合
 発言:「廉」の一文字は千金に値する。我々は二つの原則を守り、絶対に妥協してはいけない。
    一、不正な金は一文も受け取らない。
    二、思いやりプロジェクトは一件も手掛けない。
 結果:重大な汚職罪で、2006年8月に無期懲役の判決を受けた。

*広西壮族自治区主席成克傑の場合
 発言:広西自治区はまだ700万人の貧困人口を抱えていることを思うと、私は夜もろくに眠るこ
    ともできない。
 結果:巨額の収賄罪で、2007年7月に死刑判決を受けた。

*共産党海南省文昌市委員会書記謝明中の場合
 発言:いい仕事をしようとする決意を持ち、実施する力量を備え、最後まで成し遂げる公務員像
    を打ち立て、百年一遇の素晴らしい書記長を目指す。
 結果:ひどい汚職罪で、2008年8月に2年猶予付きの死刑判決を受けた。

*共産党浙江省規律検察委員会王華元書記の場合
 発言:ブログでフォロワーの質問に答え、次のように書く。
    フォロワーの皆さん、ご安心ください。私は、腐敗に係わる事件は一件も逃さず、厳しく
    追及します。相手が誰であろうと、どんなに高い位についてようと、違法行為があれば必
    ず厳罰にします。
 結果:巨額の贈収賄罪で、2010年9月に2年猶予付きの死刑判決を受けた。

*広東省深圳市市長許宗衡の場合
 発言:清廉潔白で浮薄に走らず、見栄を張らず、おべっかを使わず、たちの悪いことをせず、遺
    憾と悪名を残さない。そのような市長を私は目指す。
 結果:巨額の収賄罪で、2011年5月に2年猶予付きの死刑判決を受けた。

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