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東洋ゴム工業社事件-「隠ぺいの意図はなかった」は真実か?

本日(6月23日)、東洋ゴム工業さんは臨時取締役会を開催し、その後の記者会見にて社内取締役5名全員の退任が発表されました(たとえば読売新聞ニュースはこちら)。昨日公表された免震ゴム性能偽装事件に関する外部調査委員会報告書の認定事実を受けての決定かと思います。それにしても2011年以来、t業績は絶好調、株価も急上昇でここまできた東洋ゴム工業さんにとって、売上比率わずか0.2パーセントにすぎない免震ゴム事業における性能偽装問題の躓きは非常に厳しいものとなり、この最高業績の中で退任せざるをえない経営陣の方々にとっては、さぞや悔しい気持ちではないかと推察いたします。

ただ、本日の記者会見で「経営陣に(偽装について)隠ぺいの意図はなかった。計算数値がどこまで信用性を有するのか把握するのに時間を要した」と社長さんが説明をされていた点については、(外部の素人的発想からしても)やや疑問を抱くところです。なぜなら本件偽装問題について、社外取締役や監査役の方々が、最後まで蚊帳の外に置かれていたからです。昨日公表された調査報告書によりますと、同社の社外取締役、監査役が本事件を知ったのは今年2月初旬ということで、すでに経営陣が国交省への報告や世間への公表を決意した後です。もし安全基準の測定数値がどこまで信用性を有するのか判断がつきかねていたことが真実であり、さらにいったん製品の出荷停止の準備まで整えていて、これを解消したことが真実であるならば、本事件への対応については同社の取締役会で協議されていたはずです。しかし実際は監査役や社外取締役が在席しないところで協議が続いていたということですから、これは経営陣に隠ぺいの意図があったと考えるのが素直なところではないでしょうか。

もちろん「隠ぺいの意図があった」と断定するつもりではなく、「隠ぺいの意図がなかった」ということであれば、なぜ監査役や社外取締役に相談をしなかったのか、在席の場で議論をしなかったのか、という点に関する合理的な説明が必要だと思います。あの違法添加物入りの豚まんを販売してしまったダスキン事件では、ダスキンさんの取締役会で「不祥事を公表すべきか、公表すべきでないか」が議論されました。その際、当時のダスキン社の社外取締役の一人は「いまこそダスキンの信用を守るためにも不祥事を公表すべきである」との長文の手紙を当時のダスキン社長に提出しています(結果として公表はされませんでしたが・・・)。今回の東洋ゴム工業社の社長さんも、第三者の目を入れてしまうと、試験データ改ざんの事実を公表せざるをえない状況に追い込まれる・・・という判断があったのではないかと考えるのが素直のようにも思われます。

このたびの会社法改正では、企業集団内部統制や監査役への報告体制の整備がテーマとなっていますが、昨日の報告書では子会社監査役から親会社監査役へ「性能偽装疑惑」の事実が適時報告されなかったことが記載されています。親会社取締役からも、また子会社監査役からも「蚊帳の外」の置かれてしまうということになりますと、いくら「モノ言う監査役」が存在したとしても有事に機能不全となってしまいます。同報告書の「再発防止策」には監査役制度に対する提言はありませんが、やはり平時からの監査環境整備が不可欠だと改めて認識するところです。監査役への報告体制を構築するための平時からの監査環境整備の手法については腹案がありますが、それはまた別の機会に述べたいと思います。

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