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「現状追従内閣」では国家が滅びる

1935年から45年の敗戦までの10年間。日本の総理大臣は、岡田啓介(海軍)、広田弘毅(外交官)、林銑十郎(陸軍)、近衛文麿(華族)、平沼騏一郎(枢密院)、阿部信行(陸軍)、米内光政(海軍)、東条英機(陸軍)、小磯国昭(陸軍)、鈴木貫太郎(海軍)と10人を数えた。長くて東条の約2年9か月、短くは林の約4か月ほどだ。ときどきの大臣の名前を見ても、ほとんど聞いたこともない人物たちである。「戦争追従内閣」だ。

とくに44年7月22日から45年4月5日まで続いた小磯国昭内閣は、戦局が悪化するにも関わらず、無策に終始した。45年はじめには最高戦争指導会議で本土決戦体制を強化(1月18日)、アメリカの本土攻撃やソ連の対日参戦の可能性を認識(2月15日)したが、国民党政府との和平工作も閣内対立で頓挫。B29による東京空襲(3月9日〜10日)、硫黄島の玉砕(日本軍守備隊2万 6000人、3月17日米軍による占領)、沖縄本島への上陸開始(4月1日)と敗戦への道を進むばかりであった。

「鬼畜米英」「一億火の玉」という言葉をマスコミが流行させ、映画界も「加藤隼戦闘隊」(山本嘉次郎監督)、「陸軍」(木下恵介監督)など戦記物が公開されている。軍部、政治家、メディアの共演である。戦争経験ある中曽根康弘元首相は、この時期を「政治および国家統治の基本原則によらず、その場しのぎの対応に終始してしまいました」と総括している。

敗戦から65年あまり。とくに冷戦終了後の1991年からいままでの政治もまた不安定な状態が続いている。海部俊樹内閣から政権交代を果たした民主党政権の菅直人内閣まで数えれば13人である。

とくに小泉純一郎政権が終わった2006年9月以降は、わずか4年で4人も総理大臣が代わっている。まさしく「政治および国家統治の基本原則」どころか、「その場しのぎ」の連続である。歴史のエッセンスを応用し、5年から10年後の日本像から「いま」を捉えることが政治には必要なのだろう。ともすれば政局=政争に影響される言動からもっと自由にならなければならない。

古在由重さんがしばしば口にしていた「着眼大局 着手小局」である。歴史は「現状追従内閣」では国家が滅びることを教えている。2011年。現代史の関頭にあたって再びしばし沈思する。

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