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戦争法案を合憲とする憲法学者たち 百地章氏と西修氏 おまけで井上武史氏

圧倒的多数の憲法学者が戦争法案を憲法違反と主張している中で、百地章氏と西修氏が未だに「合憲」と主張しています。
戦争法案の合憲性を主張する憲法学者 百地章、西修、長尾一紘の各氏ら御用学者の活用方法」の続きにもなります。
 北海道新聞2015年6月20日付をもとに検討してみます。

百地氏
「憲法9条には集団的自衛権の行使を禁止したり、制約したりする明文規定は存在しない」とした上で、政府見解は憲法の枠内であれば変更可能である。

西氏
 「日本は国連に加盟する際、何らの留保も付けなかった。集団的自衛権を規定した国連憲章51条を受け入れたとみるのが常識敵だ」

 どちらも理屈にならない理屈です。
 集団的自衛権の明文規定がなく、かえって戦力の不保持が規定されているのですから、ここから合憲を導くなどというのは結論ありきで、屁理屈をこね回したというだけのことです。
 国連に何ら留保も付けないで加盟したら、集団的自衛権を認めたことになるなどというのはお話になりません。国連加盟時に「実は~、言ってなかったですけど~、あのとき、既に求めてたんですよ~」などと政府が言えますか?
 いくらなでも政府が引用できないような屁理屈をこね回してみても意味がないばかりか、学者の存在意義を卑しめるものです。

 この観点からいえば、従来の内閣法制局は理論的整合性を保たせるために大いに頑張っていました。結論はともかく、従来の解釈の域を超えないようにその枠を拡げるという努力です。
 昨年の閣議決定と今回の法案は、従来の枠組みを明らかに超えてしまうというものであって、憲法違反以外にはあり得ないのです。

 ところで、この憲法学者の見解もすごい。
九州大学大学院法学研究院准教授・井上武史氏
憲法には、集団的自衛権の行使について明確な禁止規定は存在しない。それゆえ、集団的自衛権の行使を明らかに違憲と断定する根拠は見いだせない。集団的自衛権の行使禁止は政府が自らの憲法解釈によって設定したものであるから、その後に「事情の変更」が認められれば、かつての自らの解釈を変更して禁止を解除することは、法理論的に可能である(最高裁が「判例変更」を行うのと同じ)。

 これも明文で禁止していないからいいだんとう百地氏と同じレベルの暴論です。
 徴兵制は明文で禁止されていませんが、この論理でいうと徴兵制も合憲ということになります。
 最初から破綻した論理ですが、しかも後段はもっとひどい。
 普通は、自ら設定した枠だからこそ立憲主義の観点からは、これを取り払いたいのであれば、憲法改正の手段をとりなさい、ということになるです。
 それなのに、井上氏の見解は、自分で取っ払うことも可、しかも最高裁の判例変更と同じだというのですから驚きです。
 最高裁の憲法における判例変更は主に人権規定の解釈であり、時代の要請に合わせて従来の解釈を変更するものです。
 例えば、尊属殺人を当初と合憲としていたものを違憲とするように。
 あるいは非嫡出子の相続割合について2分の1とすることを違憲としたり、公務員の政治活動の自由の範囲を拡大するための判例変更などです。
家制度って何だろう? 婚外子差別違憲判決
政治的活動を敵視する人たち
 それは時代の要請に応じて柔軟に解釈できるよう司法権に与えられた責務でもあります。
 それとも行政府による解釈改憲を同列に論じてしまうのですから、もはや憲法学者としても問題です。

 そして、極めつけがこの部分。
政府は、新たな憲法解釈の「論理的整合性」を強弁するが(違憲説の根拠もこれである)、これが戦略的に誤りであった。「事情の変更」に基づく解釈変更であると言い切っていれば(つまり、初めから従来解釈からの断絶を強調していれば)、従来解釈との整合性が問われる余地はなく、その後において実質的な政策論議が展開されたかもしれない。

 堂々と解釈改憲をやってしまえということです。従来との整合性はいらないというのは憲法学者としてもすごすぎます。
 従来の枠組みを超えると宣言したところで、違憲であることに変わりなく、そのような解釈変更は、解釈の域を超えると評価されるだけのことです。この程度の常識もない井上武史氏は、根っからのウヨクなのでしょう。怖すぎます。

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