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【衆院厚労委】労働者派遣法改正法案に反対

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 衆院厚生労働委員会で19日、審議不十分のなか政府提出の労働者派遣法改正法案の採決が行われ、与党の賛成多数で可決された。また、民主、維新、生活の3党が共同提出した「同一労働同一賃金推進法案」については、維新の党が正規の手続きを経ずに与党と修正合意、自民・維新・公明案が提出された後、各党からの質疑を行わずに強行に採決が行われたため、民主党は抗議をして退席。与党と維新の党の賛成多数で可決された。

■西村智奈美議員

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 採決に先立ち、西村智奈美議員が民主党・無所属クラブを代表して反対の立場から討論に立った。

 西村議員は、同法案について、「均等待遇の確保がないまま、派遣受け入れ期間の制限を事実上撤廃するという、臨時的・一時的の原則に反するもの。キャリアアップ措置は全く実効性がなく、新たな雇用が決まる前に派遣が終了してしまうのでは雇用安定措置と言うことは到底できない」「期間制限を事実上撤廃し、正社員を減らし、派遣労働者を増やす本法案は、若者の将来を狂わせる。正社員の求人が減り、正社員になることを希望しても、一生派遣で働かざるを得ない若者を増やすことになり、子や孫の世代に禍根を残す」「女性いじめの法案でもあり、派遣で働く女性は、セクハラの対象になりやすく、産休や育休を取得するのも極めて困難。これでどうやって『女性の活躍推進』などと言えるのか。言っていることとやっていることが『アベコベ内閣』ではないか」と、あらためて問題点を挙げ批判した。

 加えて、本法案により、専門26業務で働く派遣労働者のうち有期雇用の約40万人(うち8割は女性)に、新たに3年の期間制限がかかることになることで、3年後に多くの派遣労働者が雇い止めにあうことが懸念されていると指摘。たとえ3年後に運良く他の派遣先を紹介されたとしても、特に40代、50代の派遣労働者は賃金が上がっていくことは期待できないとして、「専門26業務で働くことで生計を立てていた方々、3年経ったら直接雇用にしてもらえるかも知れないと希望をつないでいた方々を、無情にも突き放すものであり、こうした方々に対する救済措置を講ずることなく、幕引きを図ることは絶対に認められない。派遣労働者を雇い止めにする法改正など前代未聞」と指弾した。

 また、国会の会期末が目前であるにもかかわらず、同日の本会議に本法案を緊急上程し採決を目論んでいるとして、「本法案の審議が始まってから6回目となる委員長職権。このような身勝手で横暴な国会運営に強く抗議する」と表明。

 最後に、「民主党は若者や女性を苦しめ、多くの派遣労働者を雇い止めにして生活を困窮させる言語道断の本法案に断固反対である」と述べ、討論を締めくくった。

■中島克仁議員

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 安倍総理出席のもとで行われた質疑で民主党の1番手として質問した中島克仁議員は冒頭で、いわゆる「10.1問題」文書を問題視した。この文書は厚生労働省が配ったもので、派遣法改悪案が10月1日までに成立しなければ、「訴訟が乱発するおそれ」「大量の派遣労働者が失業」「派遣先は迅速に必要な人材が確保できず、経営上の支障が生じる」などと書かれ、大混乱するかのような内容が示されている。10月1日とは2012年改正で導入された「労働契約申し込みみなし制度」が施行されるタイミング。これが施行されると専門26業務に該当しない業務をさせているケースなどで3年を超えて派遣労働者を使った企業は、その派遣労働者を直接雇用しなければならなくなるため、厚生労働省は経済界や人材派遣会社の不安感をあおって今回の法案の早期成立を訴えていた。

 中島議員は労働法制は与野党共通の理解のもとに議論されなければならないとして、厚生労働省のこうした行為はそうした前提を踏みにじるものだと非難した。同文書の文言に対して厚生労働大臣は謝罪したが、委員長が職権を連発して同委員会を開き、同日の本会議については緊急上程という不正常な審議の形で派遣法改悪案を何としても成立させようとする政府・与党の姿勢は、セクハラ・パワハラなどにあいながら厳しい環境のもとで働く派遣労働者の声に耳を傾けているとは到底思えないと指摘し、「法案を廃案にして審議を一からやるべきだ」と強く主張。そのうえで今回の改正案が不条理な働き方を強いられている派遣労働者の労働環境を改善する内容となっているかを安倍総理にただした。安倍総理は「現状で派遣の方々が困難を抱えている。そういう現状があるからこそ派遣法を改正する必要がある」「現状の派遣労働者の方々の課題に向けて改正するものである」「30時間の審議を行ったので審議は十分だ」などと強弁した。

 中島議員は「法案の内容は不条理な働き方を強いられている方々の声に応える内容になっているとは到底思えず、むしろ悪化させてしまう」「人を替えれば繰り返し派遣労働者を雇える、『生涯派遣』の構造を生み、正規雇用への道がさらに険しくなる」と指摘。また、前日18日に民主党内で行われた派遣労働者へのヒアリングでの声等もふまえ、医師でもある立場から「体調が悪くても産業医の診断を受けるとそれが派遣元に知らされ雇い止めになるのではないかと恐れ、労働者の最低限の権利である健康の管理と安全面の確保さえされていないのが派遣労働者の実態だ」と述べ、そういう現状の改善策が盛り込まなければ改正案とは言えないと断じ、法案への反対を表明した。

■阿部知子議員

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 2番手として質問に立った阿部知子議員は、専門26業務を廃止し、受け入れ期限が一律最長3年になることにより雇い止めとなり職を失う人が出ること、そのための具体的措置として政府が主張する雇用安定措置には実効性がほとんどないことをあらためて問題視。安倍総理に対し、「今専門26業種の方々の不安がどれだけ増大しているかを認識してもらいたい。派遣労働者の立場を共感し、働く者の立場を守っていくという政治でなくてはならない」と求めた。

 今回の法改正の効果として安倍総理が「フリーターやニートの方にとって入職しやすい側面がある」と答弁したことも取り上げ、「政府の労働政策審議会でもまったく論議されたことのない思いつき的発言で、本来の派遣労働の意味をゆがめるもの」「派遣労働は、元々特別のスキルを持った方たちを、そのスキルに注目してどう処遇するかというものだったが、この間なし崩し的に『そこでキャリアアップをすればなんとかなるという人たちに拡げていこう』といった考え方が持ち込まれることで、未熟で熟練していない労働と、一方で熟練した労働との間で賃金が平準化され、下方圧力が働く」などと批判した。派遣労働者の平均賃金は年々下がり、年収300万円以下の人が7割、現在の生活を7割の人が「苦しい」と答えている実態にも言及、「これをさらに悪化させるようなことをすべきではない。今なすべきことは派遣労働が適正に運営管理され、その意味がどこにあるかをもう一度位置付け直すこと。今回の改正は派遣労働の方向性を誤らせるもの」だと断じた。

民主党広報委員会

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