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緊張高まる米・サウジの複雑な関係 - 岡崎研究所

5月11日付のインターナショナル・ニューヨーク・タイムズ紙で、ニューヨーク・タイムズ紙のBaker及びShear両記者が、サウジのサルマン国王がオバマの招集したサミットを欠席することは、中東で長年にわたり目標を共有してきた両国が、今や基本的に対立していることを意味する、と述べています。

 すなわち、イランとの核交渉、ISの台頭、アラブの春に続く中東の不安定、世界のエネルギー市場の変貌の4つの強力な要因が、両国間の緊張を高めていることは無視できない。米国のシェールブームは、米国をサウジ依存から解き放ち、何十年もの力関係を変えた。

 F.D.ルーズベルト大統領がアブドゥルアジズ国王と会ってから70年、両国は共通の利害、衝突する価値、シニカルな適応からなる複雑な婚姻関係をおくってきた。共通項は安定への願望であったが、今や両国の安定の考えは同じでない。

 オバマはイランとの交渉の妥結は、地域の紛争の拡大を防ぐ最善の方途となると考えているが、スンニ派のサウジは、妥結して制裁が緩和されれば、シーア派のイランは何十億ドルも使い、地域の不安定をさらに煽るだろう、と見ている。シリアでは、サウジがアサド追放のためより積極的な行動を望んでいるのに、オバマは介入を躊躇している。米国は中東の民主化への動きを善しとしているが、サウジはアラブの春の余波は、サウジ政権にとって脅威であると見ている。

 その間ノースダコタとテキサスでのシェールオイルの増産で、米国の石油輸入依存が減り、サウジの石油供給削減を恐れることなく振る舞える。

 米国とサウジは依然として基本的利害を共有するとの見方もあるが、専門家は、米国はサウジとイランの危険な代理戦争に巻き込まれたくないと思っており、米国は今回のサミットで湾岸諸国が満足するような約束はしないだろう、と言っている、と述べています。

出典:Peter Baker & Michael D. Shear ‘King’s Absence at Meeting Signals a Saudi-U.S. Marriage Adrift’ (International New York Times, May 11, 2015)
http://www.nytimes.com/2015/05/12/us/politics/kings-absence-at-summit-signals-saudi-us-marriage-on-rocks.html?_r=1

* * *

 サルマン国王のオバマサミット欠席の決定が波紋を呼んでいます。米、サウジ当局者は、欠席の決定はサウジが米国に肘鉄砲を食らわせたのではない、と説得に努めていますが、米・サウジ関係に問題があることを象徴していることは間違いありません。

 米・サウジ関係の緊張を高めている一番の要因は、イランの核交渉でしょう。

 核交渉は、サウジから見れば、米国が中東政策の軸足をイランに移しつつあることを意味します。核交渉がまとまれば、イランの地位と影響力が高まるのは明らかです。米国がひそかに期待しているように、核合意成立を受けてイランの対外姿勢がより協調的になったとしても、それがイランの地位の向上を意味する限り、サウジにとっては何の慰みにもなりません。イラン関連では米国はサウジへの安全保障上のコミットを再確認する以外に打つ手はありません。

 サウジにとっても、イランの核交渉などで米国に不満があるとはいえ、米国がサウジの安全保障の究極のよりどころである点は変わりありません。もっとも、イランの安全保障上の脅威と言っても、イランが直接サウジを攻撃することは考えられず、あるとすれば、イランがサウジ国内の不満分子を扇動することでしょう。このような事態で米国、特にオバマ政権が介入することは考えられず、サウジは米国に頼れません。米国がサウジの安全保障にコミットすると言っても、限度があります。

 シェールオイルの増産で、米国が以前ほど石油でサウジに頼らなくて済む、というのはその通りでしょう。だからといって、米国がサウジを重視しなくなるということにはなりません。サウジはスンニ派の盟主として、アラブ世界で確たる地位を誇っています。米国の中東政策にとって、サウジは依然として枢要の地位を占めます。

 論説はこれまでの米・サウジ関係は複雑な婚姻関係のようなものだと言っていますが、今後ますます複雑さを増すこととなるでしょう。

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