記事

カジノ法案反対はただのだだっ子(by 萩生田光一)

これまた何とも煽るような切り抜き方を朝日新聞がしてきました。以下、朝日新聞より転載。


「カジノ法案反対はただのだだっ子」 自民・萩生田氏
http://www.asahi.com/articles/ASH6L6FJSH6LUTFK01V.html

萩生田光一・自民党総裁特別補佐

統合型リゾート(IR)の整備を促す法案(カジノ解禁法案)に反対されるみなさんの論点の一つは、マネーロンダリング(資金洗浄=マネロン)で、盛んにとってつけたように言うが、カジノでどういうマネロンが起きてるのか聞くと、誰もきちんと説明できない。そんなの当たり前だと言うが、そんなの論破でも何でも無くて、ただのだだっ子だ。そういう人たちに限ってカジノフロアの奥にマフィアの事務所があると信じ込んでいる。誤解に基づいた反対には堂々と思いを伝えていきたい。
(国際観光産業振興議員連盟の総会で)


以上は昨日開催されたIR議連総会での萩生田光一議員によるコメントからの引用のようです。

まぁ、表現こそちょっと「アレ」ではありますが、萩生田議員のいう「(カジノ反対派は)カジノでどういうマネロンが起きてるのか聞くと、誰もきちんと説明できない」というのは事実で、彼らも中国辺りから発信される報道などをそのまま右から左に引用しちゃっているに過ぎないんですよね。その内容もちゃんと理解しないまま。

これは以前もどこかで書いた事があるのですが、中国共産党当局が「マカオカジノの売上の大部分はマネロンが関与している」として発表しているマネロンと、我が国でいうところの「マネロン」というのは、その内容が全く異なります。

我が国で言うところのマネロンとは、それを規制する法律「犯罪収益移転防止法」(通称:マネロン防止法)の名が示す通り、「犯罪収益の移転」を意味します。犯罪収益とは、売春、麻薬取引、銃器売買、横領など違法な手法で獲得した資金のことで、この出所を誤魔化すためにその他不特定多数の資金の流れの中にこれを紛れ込ませること、これがマネーロンダリング(=資金洗浄)です。

一方、中国共産党当局がいうところの「マネロン」は、必ずしも「犯罪収益の移転」を意味しません。共産主義国家である中国では、例え正当な商行為によって獲得された資金であっても、原則的に「人民共有の国富」であり、それを個人が自由に国外に持ち出すことが認められいません。具体的には、中国政府は自国民に対して年間5万ドル(約615万円)、一回あたり1万ドル(約122万円)を上限とした資金の「持ち出し制限」をかけており、それを上回る資金の海外への持ち出しを実質的に禁止しているのです。

海外への個人財産の移転というのは、我が国を含む自由主義国家においては「経済的自由権」にあたる基本的人権の一つであり、それを国家が制限するというのは特別な事例(例:テロ国家等に対する送金規制)を除いて有り得ない話です。しかし、共産主義国家たる中国では、その様な国家による経済的自由権の制約が当たり前のように存在しており、それら「持ち出し制限」を超えた人民による資金移送を中国共産党当局は「違法な資金移送(=マネーロンダリング)」と呼んでいるのです。

一方、国の経済に完全に陰りの見えている中国では、多くの人民が自国の将来に対して不安を抱えており、リスクヘッジの為に己の私有財産を海外に分散所有しようと考えています。その際の資金の海外移送のハブとなって来たのが、中国国内にあって一国二制度の下で異なる経済制度の採用がなされてきた香港とマカオであり、特にここの所の経済の急成長もあって近年はその中心がマカオに移ってきました。対して、減速する中国経済の「軟着陸」をめざず現・習金平政権は当然ながら面白く見るはずもなく、「漏れだす国富」の流出元であるマカオを押さえようと「マネロン(=彼らのいうところの「違法な資金移送」)の温床」として糾弾し始めた、というのがここ数年のマカオをめぐるマネロン騒動の真の構図です。

その他、例えば近年我が国では、中国人観光客による「爆買い」とも呼ばれる観光消費が注目されており、TVの特集などでは家電量販店やブランドショップで札束を握りしめて中国人が買い物をする姿などがしばしば放送されたりします。しかし、前出の通り中国当局は一回の旅行あたり122万円を超える現金の持ち出しを禁じているワケですから、原則的に中国本土からの観光客がそれ以上の札束を握りしめて高額ブランド品を現金一括購入をしているような姿自体が、共産党当局からすれば「マネロンの疑いあり」ということになってきます。同様に、近年では我が国のみならず全世界で中国人による高額不動産の購入が一種のブームとなっていますが、中国共産党当局はこのような中国人民の海外での不動産購入に関しても「マネロンの疑いあり」という事で実態調査を始めている。


【参考】北京が、違法資金によって購買された不動産を調査
Beijing goes hunting for overseas real estate bought with dirty money
http://qz.com/143017/beijing-goes-hunting-for-overseas-real-estate-by-corrupt-officials/


繰り返しになりますが、我が国を含めた自由主義国家においては彼らが「マネロン」と呼んでいる私有財産の移送は、万人に認められた基本的人権に基づく経済行為です。そのように元々、中国と我が国では「マネロン」と呼ばれている行為の定義が違うワケですから、中国当局、もしくはそれに近しいメディアが「マカオカジノはマネロンで成り立っている」などとしている主張を、右から左に引用したところで意味はない。

長々と書きましたが、萩生田議員のコメントの意味するところは、大体そのようなものであろうと(勝手に)解説を付しておきたいと思います。当然ながら、ご本人の承諾は得ていません(笑

あわせて読みたい

「カジノ解禁」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    「天皇謝罪で慰安婦解決」は大嘘

    MAG2 NEWS

  2. 2

    夕刊フジ「韓国一面祭り」のワケ

    文春オンライン

  3. 3

    反日姿勢に米の韓国離れが加速か

    MAG2 NEWS

  4. 4

    10連休で支障ない行政は給与泥棒

    川北英隆

  5. 5

    橋下氏 五輪相カンペ謝罪に指摘

    橋下徹

  6. 6

    五輪相の失言は全文読んでもダメ

    永江一石

  7. 7

    いきなりステーキ NYでなぜ苦戦?

    佐々木康彦 / ITmedia オルタナティブ・ブログ

  8. 8

    韓国の日本軽視 裏に存在感低下

    WEDGE Infinity

  9. 9

    エロ本排除を招いた出版社の失策

    文化通信特報版

  10. 10

    眞子さま 皇籍離脱して結婚も?

    NEWSポストセブン

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。