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【読書感想】どうして人はキスをしたくなるんだろう?

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どうして人はキスをしたくなるんだろう?

内容(「BOOK」データベースより)

男と女、人生、趣味と仕事…くだらなすぎて今さら人に聞くのは恥ずかしい“素朴な疑問”に永遠の中2たちが真っ向から挑む!ロマンチックで下世話な哲学問答集。

『週刊プレイボーイ』に連載されている、みうらじゅんさんと宮藤官九郎さんの対談『大人になってもわからない』を書籍化したものです。

いやもうなんというか、この二人が対談したら、こんな感じになるんじゃないか、と想像した通りのもので、これを紙媒体に連載してもいいのか?とニヤニヤしながら読みました。

まあ、『プレイボーイ』らしいといえばらしい。

宮藤です。

月に1回、新宿あたりで、髪の長い色眼鏡の男性と密会し、しゃべって、飲んで、酔っぱらって帰る。それだけで雑誌の連載になるなんて。20歳の俺が知ったら、怒り狂うだろうな。

それくらい気楽にやっている連載です。

40過ぎて素朴な疑問、そんなにないです。世の中の仕組み、そこそこ知ってます。もうしゃべることないよ。毎回そう思いながら中央線で新宿に向かう。

でも、実際会うと話は尽きない。しゃべり足りなくて2軒目に移動してしゃべるほどです。その部分はほとんど使えません。わかっているのにもう一軒行く。

毎週送られてくるテープ起こしの構成を読んで、よくまあ、あんな支離滅裂な会話から、こんなちゃんとした原稿が出来上がるものだと感心します。

結局のところ俺は「娘と風呂に入れなくなる日が怖い」しか言ってないし、みうらさんは一貫して「クンニ=苦行説」を唱え続けている。クンニだけに口を酸っぱくして言うと、それなりに説得力が出るから不思議です。

これ、「おわりに」の冒頭の部分なのですが、宮藤さんの謙遜というか、照れ隠しみたいなものだと思いますよね。

でも、ほんと、この通りなんですよ、この対談本。

対談のテーマが『セックスの後にはどんな会話をしたらいいんだろう?』『どうして男は射精した後に反省してしまうんだろう?』と続いていくのを読むと、僕も「何読んでるんだ自分……」と頭がクラクラしてきます。

ほんと、読んでも役には立ちません。

でも、面白いんだよなあ、この二人のやりとりって。

「与太話マスター」どうしによる、頂上決戦、という感じです。

いや、「決戦」じゃないか、ほんとにもう、ダラダラとしゃべっているだけなんですけど、逆に、ここまで誰かとくだらない話をする機会って、最近ないよなあ……なんて、もう40代半ば(宮藤官九郎さんと同じくらいの年齢)の僕は、ちょっと羨ましくもなりました。

そんな会話のなかに、「ああ、これは本当にそうだな……」とグッとくるような言葉が散りばめられているんですよね。


「親友」についてのやりとり。

みうらじゅん:気兼ねせずに何でも言い合えるのが親友だって考えがちだけど、実は違うよね。親友って本当に大事に思ってるからこそ、確実に友達よりも気を遣う存在ですよ。

宮藤官九郎:そうですよね。親友ってすごく話したいことがあっても「深夜に電話するのはマズいよな」とか、飲みに誘いたいけど「仕事忙しそうだから我慢しよう」とか、気軽には声をかけられないっていうか。

みうら:友達は替えがきくけど、親友はきかないもんね。

宮藤:親友に対してって、間違いなく尊敬の気持ちが入ってくるじゃないですか。

みうら:互いにね。

宮藤:だから不思議な緊張感があるし、お互いの気持ちを尊重し過ぎて言いたいこと言い合えないっていうか……言わなくても一緒にいられるのが親友なのかなと。

みうら:それってさ、親友と思ってる相手にはどこまでも気に入られたいっていう願望があるからだよね。友達にはいいことも嫌なことも言うけど、親友ってなったら嫌われちゃうようなことはまず言わない。

宮藤:そうですね。絶対に嫌われたくないですからね。だから、どうしても言いづらいことは表情とか会話の間とかでお互いに気持ちを読み合ったりするもんですよね。

わかる、わかりすぎるよこれ……

いかにも「文化系っぽい」考えかたなのかもしれませんが、僕も「親友のはずなのに、かえって相手に対して緊張とか遠慮してしまう」感じがあって、なんだかすごくモヤモヤしていたのです。

でも、そうだよね。

大事な関係だからこそ、「何でも言い合える」とは限らない。

お互いに「みなまで言うな」みたいな距離をとってしまう。

これを読んで、なんだかすごくスッキリしました。

「色気」についてのこんな話もあって。

みうら:あとね、色気のある人って、やっぱ過去にデカい借金をしてるイメージあるんだよね。

宮藤:借金?色気の話からはずいぶん飛躍しましたね。

みうら:いやいや、根がギャンブラーっていうかさ。それをどうやって返済したかが重要じゃないかと思うんだよね。

宮藤:確かにリリー(・フランキー)さんの『東京タワー』にも借金のエピソードがあった気しますけど。

みうら:たぶんお金に一度も困った経験がない男って、女からすると頼りないんだよ。

宮藤:え、なんで?それは逆でしょう(笑)。

みうら:お金に困ってない男って、中流コンプレックスがあって、いつでも背後にオカンの存在を感じるからね(笑)。「ずっとオカンにモテとけば?」ってことだよね、向こうに言わせたら。

宮藤:確かに一度借金して、そこから自力で人生を立て直した男のほうがスゴみとかあるかも知んないけど……。

みうら:人生なんとかなる思想が先方を濡らすんじゃないの。

どうなんでしょうね、これ。

最初に読んだとき、大きな借金などする勇気がない僕としては「何それ?」と思ったのですけど、考えてみると、たしかに、大きな借金をするような男のほうが、モテるような気もする。

まあ、それは「生存者バイアス」みたいなものがかかっていて、生きてモテているのは「うまくやって借金を返す才覚がある人だけ」っていうのはあるのかもしれないけれど。

でもさ、『ビリギャル』じゃないけど、ずっとコツコツやって賞罰無しでやってきた人よりも「更生した不良や、落ちこぼれから有名大学に入った人」のほうが、到達点が同じでも賞賛されがちなのは事実なんだよね。

この二人の極上の与太話、読んで役に立つかどうかはさておき、自分と同世代、あるいはもっと上の世代でも、こんなふうに生きている人がいる、というのを感じるだけでも、けっこう心地よいのです。

ほんと、「人生についての深い話」のような、「煙に巻かれているだけ」のような……

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