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情報隠しが仇となった韓国のMERS感染

韓国のMERSは、家族感染の疑いが持たれている一例を除いて、今のところ院内感染が原因で、不特定の人に感染が広がる地域感染にはいたっていません。WHOも「懸念すべき事態」であるけれど、世界各国に対策強化を求める「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」ではないと表明しています。
確かに感染者も死亡者もいまだに増えていますが、予断は許さないとしても、感染者の増加数の推移を見ると、すでに感染拡大はピークアウトしていることがわかります。

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さて、MERSの感染が広がってしまったのも、最初に「不安をあおる」として病院名を公表しなかったことも大きく影響したといわれています。感染拡大を防ぐために病院名公表に方針を転換したのは、すでに感染の拡大が明らかになった6月5日でした。政府も、病院側も院内感染を甘くみていたとしか思えません。感染者のほぼ半数を占めるサムスンソウル病院はまさにその典型でしょう。
【韓国MERS感染】感染広げたサムスンソウル病院 財閥式経営が裏目? 当局との癒着、疑う声も(2/3ページ) - 産経ニュース

また、情報を公開して正しい理解を得る努力や感染拡大防止の徹底した対応をしてこなかったために、隔離拒否する感染者が国内で自由に行動したり、また海外渡航するといった事態を引き起こしたのではないかと思われます。また逆に国内外に不安、恐怖、不信を広げていったに違いありません。韓国で、不特定多数の人への感染が起こっていないにもかかわらず、学校や保育園などを休校にする動きがありましたが、どう考えても冷静とはいえません。MERSはパンデミックの状態には陥っていないとしても、パニックは引き起こしたのです。そうなるとメディアは煽って注目を集めようと、さらに危機感を煽り、負のスパイラルを描き始めます。

事態を甘く見て、すぐに終息するだろうという楽観主義、また国民やメディアを信頼していないことが情報隠しに走らせた原因なのでしょう。

韓国経済は、短期的には、もうすでに韓国航空会社の国際線の予約キャンセル件数が計約17万4千件に上るなど、海外からの韓国への旅行者が激減し、観光収入をあてにしている産業が打撃を受けるだけでなく、人びとが外出を控えることで、映画館やスタジアム、またショッピングセンターなどの来客数が減り、売上にも影響してきます。映画館は入場者が54%減、百貨店の売上も16% 減となったそうです。
MERS、韓国経済に影 外出控え百貨店売上高16%減  :日本経済新聞

 こういった悪材料を受けて、韓国金融研究院が今年の経済成長率を2.8%と予想し,
2013年の2.9%から2014年の3.3%と回復傾向を見せていた韓国経済は1年で再び鈍化することになると悲観的な見方をしています。
MERSの悪材で韓国の今年の成長率2.8%の予想 |  中央日報

それよりも韓国経済にとっては、もっと長期的に響いてくると思われるのは、韓国が考えなければならない重要な課題が、MERS騒ぎでふっとんでしまっていることです。それは貿易不振です。輸出で経済を支えている韓国で、5月の輸出増加率はマイナス10.9%に陥ってしまったのです。貿易収支は黒字ですが、それは国内経済が停滞し輸入が減少してしまった結果です。

輸出産業の不振は、円安ウォン高による日本企業との競合が響いていることもあるでしょうが、それよりももっと大きな構造問題を韓国は抱えているのではないかと見ています。MERS問題は、その問題への関心や議論をふっ飛ばしてしまったのです。韓国メディアの中央日報もそれについて懸念を示しています。
【時視各角】韓国の輸出不振、そうなると思っていた(1) |  中央日報

韓国の石油化学、電子、鉄鋼といった輸出産業は、台頭してきた中国ともろに競合しています。小米(シャオミ)などの中国企業の台頭でサムスンのスマートフォンのシェアダウンしたことがそれを象徴しています。韓国は、朴槿恵大統領になって、反日・親中国の外交姿勢を強めました。それは、中国を韓国にとって美味しい市場としてとらえたからでしょうが、あきらかに韓国と中国の産業は競合関係にあり、決して賢明な外交政策とは思えません。韓国は反日政策などで国民をごまかしているゆとりなどないはずなのです。

韓国の輸出産業は、日本と中国に挟撃され、韓国の産業の強みはなにで、なにが違うのかの立ち位置を定めることが求められてきます。日本は台頭してきた韓国や台湾に対する解を見いだせず、長い経済の停滞に陥り、ようやく脱出しはじめていますが、同じ道を韓国は歩み始めているのではないでしょうか。

情報隠しが、感染対策の初動を遅らせ、またパニックを拡大させ、さらに韓国が焦点をあてて考えるべき問題から目をそらすことになってしまった経緯を見ると、やはり国民にオープンであること、ナショナリズムの誘惑に負けず、現実を直視することが、危機に備えるためには重要だということがMERS感染問題の教訓として残りそうです。

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