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改正風営法が成立の見込みとなりました

昨日の参院内閣委員会で可決が行われ、改正風営法はほぼ成立の見込みとなりました。本改正を初期のころから応援してきた私としては、感慨もひとしおであります。以下、tbsニュースより転載。


風営法改正案を参院委で可決、今国会で成立へ
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2519302.html

午前0時以降の営業が規制されてきた「クラブ」。一定の基準を満たせば、朝まで営業できる風営法の改正案が成立する見通しとなりました。現行の風営法では、客にダンスさせる「クラブ」は午前0時以降の営業が規制されています。この「営業時間」について、朝まで営業が可能となる風営法の改正案が16日午後、参院・内閣委員会で賛成多数で可決。今の国会で成立する見通しとなりました。


この法改正によって、現在風営法上で風俗営業種3号業種とされるダンスクラブは、新たに風営法内で定められる「特定遊興飲食店」という許可営業種となって、深夜0時以降の営業が解禁されることとなります。一方で、これは以前からも「懸念事項」として度々ブログ上でもご紹介してきたとおり、遊興という新たな概念に下での許可営業種が創設されることとなり、営業許可の範囲がダンスクラブ以外にも「深夜/遊興/酒」の三要素を含む営業に対して大きく広がります。その事により、業種によっては実質的に規制強化に近い局面もでてくることとなります。


【参考】「徹マン」解禁の影で無断深夜営業のスポーツバーは厳罰?
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/8826730.html


本改正案の成立にあたって行われた衆参の委員会審議においては、特に風営法上の「遊興」の解釈をめぐって本法を起案した警察庁とそれを審議する国会議員の間で激しい論戦が行われ、その結果、見えて来たもの、依然として見えないものがハッキリとしてきました。以下では、委員会質疑の中で行われた警察庁担当局長の答弁内容を元に、それらについて少しまとめます。

1)屋外での営業に関して

屋外における営業に関する風営法上の取扱いに関して、許可の期間が限定されている場合にも基本的には風営法規制の範囲内である。野外の営業に関しても、設備を設置して遊ばせている場合には規制の範囲内。
(以下、下線部に関しては委員会での局長答弁を筆者なりにまとめたもの)

この点は、特に「海の家」を対象とした論議となります。一昨年前、江の島方面でクラブ化した海の家が物議をかもした当時、警察は頑なに海の家の風営法上の取り扱いについて明示してきませんでした。しかし、今回の委員会答弁によって、海の家も改正風営法の規制対象に「成り得る」という見解が示されました。

但し、これから改正される風営法上では「深夜0時以降の営業を行う場合」のみに特定遊興飲食店としての営業許可の義務が付されるものであり、0時以降の営業を行わない店は一般飲食店と同様の営業が可能です(風営法上の営業許可取得は要らない)。その点においては、これから夏本番の営業が始まる全国の海の家経営者の皆様はほぼ安心して構わない状況だとは思いますが、一方で店舗内の「明るさ」に関しては注意が必要。店舗内の明るさが10ルクスを下回りながら飲食を提供する店は「低照度飲食店」という風営法上の別のカテゴリの営業許可の取得が必要となります。こちらは0時以降に営業を行う/行わないは関係なく適用されるものですので、野外での営業であっても風営法の規制対象となるという事は警察庁見解の中で明確に示されたワケですから、店内の明るさに関しては今後は特に注意を払う必要がありそうです。

さらにもう一つ「野外営業」が関係してくるのが、野外フェス、もしくはレイヴなどと呼ばれる野外の音楽イベントですが、これに関しては昨日の参院の内閣委員会でより詳細な見解が示されましたので、後述することにします。

2)スポーツバーの営業に関して

一般的にはスポーツバーはテレビで流されている競技を流しているものであり、そこに営業者の積極的な働きかけがあるものとは考えていない。但し、営業者による積極的働きかけがあると判断される場合には違反となる。

新たに設定される「特定遊興飲食店」に含まれるボーダーライン上で最も「揺れていた」スポーツバーに関して、警察庁としては通常のTV放送等を流すだけのスポーツバーに関しては、そこに「営業者による積極的な働きかけがあるものとは考えていない」という見解の様です。なので、スポーツバーの通常営業に関しては、新たな営業許可取得の必要性はないと考えて良いでしょう。

但し、国会答弁を行った担当局長は、この答弁の直後に「営業者による積極的働きかけがあると判断される場合には違反となる場合がある」との見解を付け加えています。即ち、例えばサッカーW杯やオリンピックなどのスポーツの大きな国際イベント開催時に、お店側がそれをイベント化して集客を行った場合には改正風営法の定める「特定遊興飲食店」の範疇にはいる可能性があるということ。2020年開催の東京オリンピックにおいて、スポーツバーが大会期間中継続してイベントを主催し、また0時以降の営業を行う場合には注意が必要となりそうです。

3)ホテル等でのイベント開催に関して

年末にホテルの広間等で開催するカウントダウンイベントに関しては、年一回、数時間程度の開催ならば「反復継続性がない」ので風営法の規制対象に該当しない。

4)野外コンサートやフェスに関して

野外コンサートやフェスに関しては、設備を設けて深夜に亘って営業を行えば該当する。但し、設備の設置は反復継続利用が前提となる(先の説明に倣えば年一回、数時間程度の開催ならば問題ない)。

3)4)は、共に「反復継続性の有無」の解釈に関連する事項であり、具体的には「年一回、数時間程度の開催」であるものに関しては、風営法の規制対象とはならないという見解が示されています。これが上で「後述する」とした海の家と野フェスの相違点となるワケですが、一方で「年一回、数時間程度」以上の開催を行っている野フェスやレイヴが深夜営業を行う場合には、営業許可が必要になる可能性が暗示されており、フジロックに代表されるような複数日開催のオールナイトのフェスやレイヴの運営関係者の皆様にとっては厳しい結果となりそうです。

5)ホテルバー、およびライブハウスに関して

ホテルバーでの生演奏に関しては、演奏者がその場にいる以上、客の反応に合わせて演奏をすることが出来、営業者による積極的な働きかけが行われる可能性がある。よって楽器、人数によらず遊興にあたり、深夜に酒類を提供しながら営業が行われる場合には営業許可の取得が必要。

さらに今回の風営法改正にあたって最も「被害甚大」とされるのが、5)で説明される「生演奏」を前提とするお店です。この点に関して警察庁は、「楽器の種類、演奏者の人数によらず、生演奏を提供する限りは、風営法の規制対象となり得る」という見解を繰り返し示しており、ホテルのバーラウンジなどで0時以降に生演奏を提供する場合には、新たに設置される特定遊興飲食店の許可取得が必要となりそうです。また、この解釈は同様に生演奏を提供するライブハウスなどにも適用が行われるものと思われます。

特に、ライブハウスの中で既存で営業を行っているお店に関しては、その立地によって「特定遊興飲食店」の営業の許可取得が出来る場合と、出来ない場合とが差分が出てきます。営業者にとっては、当然ながら長く営業が出来る方が有利となるワケで、この種の業者は引き続き注視が必要となるでしょう。「特定遊興飲食店」の許可対象地域に関する詳細規定は、改正風営法の成立の後に整備される政省令および全国都道府県の条例によって詳細が決定されるものとなっています。

6)カラオケ店に関して

カラオケboxは機材のみが設置をされ、お客さんがそれを勝手に利用する形式であれば問題はない。

カラオケ店に関しては、これまでの風営法でも規制の対象外であるという事が明示されてきた営業種であり、解釈が変わるモノではありません。但し、カラオケ店に関しても、店側の積極的な関与がある「遊びの提供」が有る場合には、当然ながら規制対象となってきます。

7)映画館に関して

映画館に関しては、座席で飲食が行われたとしても一般的には飲食店とは解されないのではないか?

そして、これまでの一連の委員会審議に示された警察庁見解の中で、個人的に最も今後物議を醸すだろうなと感じたのが7)に示される映画館の取り扱いです。

映画館における映画の上映は、一般的にも「興業」などと呼称される遊興にあたる行為です。一方で、多くの都市部の映画館では深夜0時以降のレイトショーの提供が一般化しており、同時に映画館では酒類も含めた飲食の提供が行われています。即ち「深夜/遊興/酒」の三要素を形式的に満たしてしまっているワケです。

一方で、実は私としては警察庁が映画館を規制の対象から何とか外したいと考えている事は色々な情報ソースの中で認知はしていまして、それをどういう論法をもって説明するのかに非常に注目をしていました。その結果、出てきたのが「映画館に関しては、座席で飲食が行われたとしても一般的には飲食店とは解されないのではないか?」という辻局長による説明となります。

しかしこの点、委員会答弁を行った辻局長としても未だ説明に自信がなかったのでしょうか。他の業態に関しては、「一般論として」とか「実態に即して判断」などと説明を付けながらも、かなり明確に規制に含まれるか否かを区分けしていたのですが、この部分だけは説明を行う際に「一般的には飲食店とは解されないのではないか?」という疑問形で答弁が為されていたのを私は見逃しませんでしたよ(笑

イヤ。実際、ここの切り分けは非常に「苦しい」んですよ。上でご説明した通り、映画館はどう考えても形式的には「深夜/遊興/酒」の三要素を含んでしまっています。一方で、今回の局長答弁にあるように「映画館の座席でたとえ飲食が為されて居たとしても、それは一般的には飲食店には解されないのではないか?」が成り立つとするのならば、例えば上で挙げたライブハウスに関しても「客席側で飲食が行われているとしても、一般的には飲食店には解されないのではないか?」も成り立ちますし、それ以上に目下、最大の論点となっているダンスクラブに関しても「ダンスフロアで飲食が行われているとしても、一般的には飲食店には解されないのではないか?」という説明も成り立ってしまいます。

そもそも、今回の風営法改正はダンスクラブが「当店は飲食は提供していますが、ダンスクラブではありません。アレはお客様が勝手に踊っているだけです」という一種の詭弁をもって規制逃れをしてきた事が発端となっていたワケですが、今回の改正風営法の下では「当店は遊興は提供していますが、飲食店ではありません。アレは勝手にお客様が飲食をしているだけです」という詭弁が成立してしまう。そのような論理展開を警察庁側が主体的に国会答弁の中でしてしまったという事実を、私は非常に驚きをもって見ていた次第です。

という事で、まだまだ波乱の展開が有りそうな改正風営法ではありますが、とりいそぎ今回の参院委員会審議をもって法案の成立はほぼ確定の運びとなりました。改めまして、関係者の皆様におかれましては喜びを申し上げます。

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