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韓国MERS問題:最大の元凶はサムスンソウル病院〜国民より財閥に配慮する朴槿恵政権の醜態

 さて、韓国の中東呼吸器症候群(MERS)感染で、保健福祉省は15日、新たな感染者が13日に7人、14日に5人それぞれ確認され、感染者は計150人、また14日に男性2人が死亡し、死者は16人になったと発表しました。

(参考記事)

韓国MERS、死者16人に 感染者は150人

2015/6/15 10:40

http://www.nikkei.com/article/DGXLAS0040003_V10C15A6000000/

 隔離対象者は15日時点で5200人を超え、事態終息の兆しはありません。

 5月20日第一感染者が発見されて以来ここまでの韓国国内におけるMERS感染者数の推移を日別にグラフ化してみます。

■図1:韓国のMERS感染者数推移

画像を見る

※当ブログ作成

 このグラフで見る限り、感染者数の増加は収まってはいませんが、ほぼ直線的に増えていることから、ある地域で爆発的に感染者数が増加するパンデミック的な大流行の発生は現時点で抑制されていることが推測できます。

 感染者発生地域が韓国の地方都市まで広がりを見せていることもあり今後に予断は許さないことは変わりありませんが、現時点ではある地域全体に感染者が面的に拡散している事実はなく、点的つまり医療施設関連の局所的発生に留まっていることが救いではあります。

 しかし、感染者数増加に歯止めがかかっていない状況は、MERS感染ルートの特定も含めて事態が当局のコントロールのもとにあるとはお世辞にも言えない状況であります。

 その最大の元凶はサムスンソウル病院であります。

 全感染者150人の半数弱の72人は少なくともサムスン病院で院内感染していることが判明しています。

 同病院ルートの感染者把握と隔離の成否が今後の感染拡大を阻止できるか否かの鍵となりますが、多数の人と接触後に感染が発覚するサムスン病院関係者が続出しており、同病院の管理態勢への批判が韓国国内でも遅まきながら高まっております。

 

 サムスンソウル病院は1日約8000人の外来患者が利用する韓国最大級の病院の一つで、いうまでもなく韓国のGDPの2割を占める巨大財閥サムスングループが経営している病院であります。

(参考記事)

サムスン売上高22兆円、韓国GDPの2割

事業規模、アップル抜く

2014/1/25 1:00日本経済新聞 電子版

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2402T_U4A120C1FF1000/

 今回、サムスンソウル病院は、全感染者の半数近くが同病院で院内感染している事態を受けながら、驚くべきことに1日約8000人の外来患者の受付を14日まで制限することなく行っていました。

 これは重度の食中毒が発生したのに店の営業を半月以上続けてきたようなものであり、国民より経営を重視していたサムスンソウル病院の姿勢は強く批判されなければなりませんし、そのような外来受付の継続を放置し事実上黙認してきた韓国当局の責任も厳しく問われましょう。

 今回サムスン病院が病院部分閉鎖の方針を決めたのは、患者搬送担当者の男性(55)や医師の感染が新たに発覚し、院内感染がさらに広がる可能性が高まったためです。

 韓国保健福祉省によると、搬送担当者は発熱症状が出ていたが2日から10日までなんと通常勤務し、12日に感染が確認されるまで多くの人との接触があった者と推測されています。

 この搬送担当者は、5月下旬、多くの三次感染者を生んだ救急病棟に出入りしていたものの、隔離対象に入っていなかったのです。

 それは彼が非正規職員だったからです。

 これを受けて、ソウル市は同病院内の非正規職員約2900人の健康状態を緊急調査することを決定します。

(参考記事)

韓国の病院部分閉鎖…MERS院内感染抑える

2015年06月15日 11時39分

http://www.yomiuri.co.jp/world/20150615-OYT1T50020.html?from=ytop_ylist

 なんでこんな杜撰なことが起こってしまっているのか?

 ひとつには、サムスン病院の収益最優先経営があることは明白です。

 15日付けの朝鮮日報記事は、「医師1人当たりの売上高と利益率を調べるなど、効率性と収益を何よりも重視するサムスン式の経営スタイルをこの病院にも適用していた」事実を報じています。

 ・・・

 サムスングループは2011年に戦略企画室にいた担当者をサムスン・ソウル病院の支援総括社長に任命し、サムスン物産、第一企画、サムスンSDSなどの役員たちを数多く病院の幹部に据えた。またこの年の12月には「全ての仕事を完璧にやろうとすれば、逆に何もできなくなる」として、構造調整の一環として歯科を閉鎖した。さらに医師1人当たりの売上高と利益率を調べるなど、効率性と収益を何よりも重視するサムスン式の経営スタイルをこの病院にも適用していた。

 ・・・

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/06/15/2015061501089_3.html

 もうひとつはサムスングループという韓国経済を支える巨人に対する韓国当局の「異常な配慮」があったのでしょう。

 サムスン・ソウル病院は全国の病院が加盟する大韓病院協会に支払う会費が全国で2番目に多いため、非常に強い発言権を持っていました。

 大韓病院協会はしかし、「国民の間に広がる戸惑いや不安を解消しなければならない」とした上で、サムスン・ソウル病院を含むMERSを広めた病院リストをいったんは公表しようと独自判断、しかしどういうわけか韓国当局である保健福祉部がこれに待ったをかけていたのです。

 サムスン・ソウル病院が公表しないよう当局に圧力をかけていたのか、あるいは韓国当局が自主的に「異常な配慮」をしたのか、公表しなかった理由は現在不明ですが、収益最優先経営のサムスン病院にとって病院名の公表は避けたかったのでありましょう。

 現在サムスンソウル病院の公式サイトには「おわび」が掲載されています。

■韓国サムスンソウル病院公式サイト(韓国語)

画像を見る

http://www.samsunghospital.com/main/index.do

 ・・・

 さて韓国当局が、今回のMERS問題で、結果として、国民より財閥を守ったとしたならば、これはこれで大問題になることでしょう。

 今回の韓国におけるMERS感染問題拡大の一因が、当局による「財閥優遇」の「異常な配慮」にあったとすれば、これも深刻な現在の韓国経済の抱えている「韓国病」、サムスングループなどの一部財閥に過度に経済が依存してしまっている歪みのひとつの現れとも解釈できましょう。

 いずれにせよ、韓国MERS問題の最大の元凶は、現時点ではサムスンソウル病院であることは、明々白々であります。

 そして、国民よりそのような無責任な財閥グループに、病院名を隠すとか外来受付継続を黙認するとか数々の配慮をしてきたとすれば、これは朴槿恵政権の醜態と言えましょう。


 ふう。



(木走まさみず)

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