記事

砂川判決こそ「戦後レジーム」そのものである。

現在、国会で審議されている安保法制について、3人の憲法学者がそろって憲法違反であると述べてから、同法案は違憲であるとの疑いが強まっている。

これに対して、高村自民党副総裁をはじめ政府・与党の幹部は、違憲がどうかを最終的に判断するのは最高裁判所であって、学者が合憲・違憲と言っても意味がない旨の発言を繰り返している。

特に、昭和34年の最高裁判決である「砂川判決」を持ち出し、これが集団的自衛権行使の合憲性の根拠だとさかんに強調している。

しかし、それは無理筋というものである。

そもそも砂川判決は、自衛のための武力の行使が憲法に違反しないとの判断を示したものであって、いわゆる集団的自衛権行使が合憲であると明示的に判事したものではない。

むしろ、この最高裁判決も踏まえながら、これまでの歴代政権は、集団的自衛権の行使は憲法に違反して認められないとの考えを踏襲してきている。

つまり、砂川判決はむしろ「個別的自衛権の行使は合憲だが、集団的自衛権の行使は違憲」であることを示す判決として、戦後の憲法解釈の基盤となってきたと言える。

そもそも、もし砂川判決が集団的自衛権行使の根拠になるなら、高村自民党副総裁は、自分が外務大臣だった際に、なぜその旨主張して法整備を行わなかったのか。今になって突然、砂川判決を持ち出すことが理解できない。便宜的、恣意的な判決の利用と言わざるを得ない。

ちなみに、平成11年2月9日の衆議院安全保障委員会で、集団的自衛権の行使について質問された高村外務大臣(当時)は、集団的自衛権の行使は憲法9条に違反して許されない旨、明確に答弁しています。なぜこのときは砂川判決を持ち出さなかったのか。やはり砂川判決は後付けの理由と断ぜざるを得ない。













いずれにせよ、砂川判決を集団的自衛権行使の合憲性の根拠にするのは無理筋である。もし砂川事件にしか頼れないような法案なら、一度廃案にして出直した方がいい。

しかも、今世紀になって公開された米国側の公文書によって、砂川判決には、当時のアメリカ側の意向が色濃く反映されていることが明らかになっている。実際、藤山外務大臣や田中最高裁長官も、判決前にアメリカ側から接触を受けており、最終判決には、こうした米側の介入が影響を与えていると考えるのが自然だ。

安倍総理も「戦後レジーム」からの脱却を目指すのであれば、まさに「戦後レジーム」のど真ん中から生まれた砂川判決を根拠に、集団的自衛権の合憲性を説明すべきではない。

アメリカの属国のごとき状況の下で出された司法判断に依拠して、集団的自衛権行使の合憲性を説明するなど、滑稽以外のなにものでもない。

あわせて読みたい

「安全保障法制」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    堀江氏 バイトテロは昔からある

    キャリコネニュース

  2. 2

    海老蔵が豊洲で都知事をバッサリ

    BLOGOS編集部

  3. 3

    「貧乏人は犬飼うな」はその通り

    永江一石

  4. 4

    徴用工訴訟 逆提訴が日本のカギ

    AbemaTIMES

  5. 5

    バカッター 実は低リスクで驚き

    シロクマ(はてなid;p_shirokuma)

  6. 6

    いきなり! セブン出店戦略に学べ

    内藤忍

  7. 7

    日韓関係 耳傾け合う姿勢が希薄

    宮崎正

  8. 8

    「悪夢の前政権」外交面では事実

    MAG2 NEWS

  9. 9

    西川先生の池江巡る発言は暴論?

    中村ゆきつぐ

  10. 10

    慰安婦解決と天皇の謝罪は別問題

    非国民通信

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。