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買収より提携、これぞ日本スタイル

北米で仕事をしているとある日突然、手紙が舞い込んできて、「当社は○○社と合併することになり、社名変更することになりました。料金他、その他一切のサービスは以前通りですので今後ともよろしく…」とご挨拶されることが時としてあります。買収後、「新しい会社はどう?」と担当に聞くと不満爆発で耐えられなくて辞める人も結構出てきます。

そんな食うか食われるかの買収ゲームですが、日本では企業合併ではややマイルドな形で進んでいったと思います。経済産業省や金融庁が主導し、産業構造の再編を進めたこともあったでしょう。特に銀行の合併話は実話から小説まで実に数多く、多くの日本人が合併を何らかの形で見て、感じているはずです。

それら合併に於いて旧出身母体にこだわり、「お宅はどちらの出身?」などとごく日常的に会話されます。私もたまに金融機関の新任にその質問をぶつけたりします。頭では分かっていても派閥争いが絶えることはありません。トップのたすき掛け人事は世間体でよくないけど子会社、関連会社は派閥の総本山といった金融機関がいまだ存在するに至ってはもはやお笑いの世界であります。

私がバンクーバーの日系社会にある程度首を突っ込んでいる中で昔から気になっている一つにこんな小さな日本人村ですら日系コミュニティのグループ、団体が三桁数もあるというのはどういうこと、であります。残念ながら人は自分の味方とそうではない人を色分けをしてしまいます。味方同士は同じブラッドであり、会合、パーティーでも必然的に集まります。そこで交わされる会話は他の派閥の批判であり、自分たちがいかに優れているかその比較優位を愉しむわけであります。これが更に進化すると細胞分裂を起こし、別団体を立ち上げ、「私たち、独立します!」となるわけです。

企業の場合には一旦合併すると離婚するのは難しいですから決算上は一本の数字として出てきますが、内情はバラバラの会社はいくらでもあります。特に数多くの部門を抱えている企業では部門間で情報の繋がりすら断絶しているところもあります。M重工は縦割り社会の代表例としてよく取り上げられます。また、日本は官庁そのものが縦割りですから結局どの社会でもおらが村的発想が強いという事です。

理想論からすれば「大人になろうよ」ですが、私の経験からすれば永遠に子供のままで成長しないのではないかと思います。モノは言いようで、主義主張がはっきりしているから譲れないといえば聞こえは良いでしょう。いざテーブルを離れたらビール片手ににこやかな談笑が出来れば大したものなのですが。

日本が総サル山大将型経営だとすれば二人のボスザルは同じ山のトップに立てません。ならば山脈のように連なる双方の山を尊重しながら部下のサルを融通し合い、何かあった時に助け合う形ならばお互いのメンツは維持でき、ウィンーウィンの関係になります。

トヨタがマツダ、富士重工といった小粒だけどユニークな開発や商品を持っている企業と提携することで双方にメリットをもたらしています。これなら「うちはトヨタさんと仲良しなんだ」という派閥意識を生み、日本人が大好きな「所属意識」をくすぐります。これは非常に効果的な方法だと思っています。ちなみにトヨタとマツダ、ないしトヨタと富士重工だから出来るのであってマツダと富士重工の提携は難しいというのも日本的思想かもしれません。

例えばメガバンクも今一つ伸び悩んでいるところもありますが、金融庁(当時は大蔵でしょうか?)が銀行名というブランドだけををそのまま使わせて本社機能と持ち株会社で束ねる仕組みも悪くない発想な気がします。システムは全部統一し、人事交流もある程度する中でそれぞれのブランド名がお互いにライバル意識をもって競争させた方が伸びたのではないでしょうか?そして10年後に負けた方が吸収合併されるのなら文句なしです。

欧米でも合併効果がある場合とない場合があるようです。結局組織の肥大化で人事と事業が分からなくなり、組織力が機能しなくなっている点に問題が集約されるようです。全体を掴んでいるのは経営トップだけ、という事態は企業力の低下をもたらすことになるでしょう。買収で大きくなったフォルックスワーゲンの企業研究がよく参照されますが、縦割りのブランドの中、部品を共通化させるプログラムを数年前からやっていますが、いまだに完了しません。そして、結局同社の稼ぎはポルシェとアウディに依存するスタイルが続きます。

日本も合併と提携の特性をよく理解し、日本人の個性を背景に考えるなら提携でお互いの良さを認め、磨きあう関係の方が双方のメリットは大きいと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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