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韓国経済、MERSで大打撃も―感染者100人超す

 【ソウル】中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスとの闘いが3週間目を迎えた韓国では、死者が増加し、経済に及ぼす影響への懸念が高まっている。消費者は外出を控え、韓国旅行をキャンセルする観光客も増えている。すでに輸出失速に見舞われている同国経済が大きな打撃を受ける恐れがある。

 朴槿恵大統領は10日、MERS対策に専念するため、予定されていた訪米を延期した。14日に米国に向かい、16日にオバマ大統領と会談する予定だった。

 保健福祉省は同日、MERS感染で新たに2人が死亡し、死者が9人に達したと発表した。また、11日朝に新たに14人の感染が確認され、感染者は122人となった。2012年にウイルスが発見されたサウジアラビア以外では、感染者数は韓国が最大となっている。

 ただ、感染者の数は増えているものの、保健福祉省当局者や専門家によれば新たに感染が確認されたのはいずれも隔離されていた人であり、MERSの流行は抑えられているという。韓国では感染を疑われる3000人近くが隔離されている。MERS対策について助言している世界保健機関(WHO)の専門家グループは10日、感染防止策を強化するよう韓国政府に要請した。

 韓国ではMERSに対する国民の懸念が依然強く、消費支出に打撃を与えているようだ。政府統計によれば、6月第1週の百貨店売上高は16.5%減少した。観光への影響も心配されている。政府によると、MERSが最初に確認されて以降8日までの間に韓国への旅行を取りやめた外国人観光客は約5万4400人に上った。これは、昨年同期の外国人観光客数の約7%に相当する。

 崔企画財政相は10日、MERSが経済に与える影響への懸念を受け、中小企業向け財政支援策を発表した。米投資銀行モルガン・スタンレーは、MERS危機が3カ月間続けば、韓国の経済成長率は0.8%ポイント押し下げられるとの試算を明らかにした。

 官民の経済予測機関はすでに、輸出低迷を受けて同国の経済成長率を3%前後に下方修正している。アナリストの間では、韓国銀行(中央銀行)は11日に開く政策会合で、景気下支えのため金利引き下げに踏み切ると予想されている。

 MERS対策が後手に回ったことから、朴大統領の人気も低下している。世論調査機関ギャラップ・コリアが先週公表したところでは、朴大統領の支持率は34%で、前週から6ポイント低下した。高麗大学の李来栄教授(政治学)は、MERSの初動時に朴大統領は表に出てこなかったと指摘、大統領の存在がMERS対策に直接影響を与えるわけではないが、国民の安全や健康など国民感情に訴えるような問題で存在感がないと思われることが、朴政権の信頼性を傷付けているようだと語った。

By ALASTAIR GALE

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