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大阪都構想否決は先進国の政治の縮図

しばらくブログを休んでいた間に一番ショックを受けたニュースはやはり「大阪都構想」が住民投票の結果否決されたということではないかと思っている。

もちろん、「大阪都構想」によってすべてが万々歳で低迷する大阪経済が大復活するというのは夢まぼろしだと思っている。だが、同時にたとえリスクがあろうとも何かを大胆に変えなければ大阪という都市の復活はもはや難しいと考えるのもまた常識的だと思っている。そして、「大阪都構想」と「橋下徹という政治家」はその大きなチャンスであったことは言うまでもない。

だが、残念ながら「大阪都構想」も「橋下徹」も住民によって拒否された。リスクを犯しても変革せねばならないという意思は今が良ければそれでよし/アベノミクスというモルヒネで当分生きながらえることができそうだという空気によって拒否されたということができるのだと思う。

特に高齢者の反対が多かったようでこれは仕方がないことなのだろう。

同時にしかし、これは大阪に限った問題ではないと僕は思っている。これは世界中の民主主義を覆う大きな問題なんだと。

世界中で企業収益の伸びはとどまるところを知らない一方で労働者への配分は減少が著しい状態が続いている。先進国の多くの労働者はハングリーで安価な労働力である新興国の労働者との厳しい競争にさらされることで苦境に立たされている。もちろん、過去の書いたように理由はほかにもたくさんあるがこれが格差拡大と多くの人が決して良くはないがそれなりの経済成長の恩恵を感じられない一つの大きな理由だろう。

今の世の中は労働者にとっては非常に苦しい時代なのだ。そしてそれはおそらく先進国と新興国の賃金がある一定程度に収れんするまで終わることはない。だからこの先進国の労働者の苦境はまだまだ続くだろう。

一方で消費者としてのわれわれは非常に豊かである。多少上がってきたとはいえ物価は安いし、いいサービスを数多く受けることができる。IT技術の発達などにより10年、20年前よりも我々ははるかに便利でお金をかけずに豊かな生活を送ることができるのだ。

不幸な労働者の立場からは何かを変えないといけないと強く思うだろうが、そこそこ幸福な消費者の立場からすれば現状に変化は必要だと思うもののなんとなくぬるま湯につかっておきたい気分になるのは言うまでもない。仮に少なくともあと10年は財政破たんはないだろうと仮定すれば主に消費者たる高齢者からすれば逃げ切りを図ろうと考えるのは当然のことだろう。

また多くのハングリー精神を失い親のすねでもかじって(あるいはアルバイトで生計を立てる)ような消費者たる若者からすれば変革など別に必要ないということになる。

一方で政治の立場からすれば政権を取るためには労働者の不満を和らげていくしかない。だから、子育て支援、女性支援、賃上げ要請という様々なバラマキ戦略がまかり通ることになる。一方で相対的に豊かな高齢者の年金を大胆に削ることも政権維持につながることはないから、これまた行われることはない。

生ぬるい再配分策と積極的な財政再建の放棄(消極的な財政維持は行われる)が政権維持には最も有効なのである。だが、そういった政策は潜在成長をじわじわと低下させることは間違いないのは過去何度も指摘した通り。そしてこれは日本だけではなく多くの先進国で程度の差はあれ採用されている政策である…。

もちろん、そこに各国中央銀行によるとめどない金融緩和がなんとなく経済成長をそれなりのものに見せる役割を果たしているのである。なんとなく経済成長が大丈夫で政治が労働者のために再配分を強化すれば、今のところは大きな変革を望む必要などはない。

民主主義の当然の帰結として世界中で政治の大胆な改革は決して行われる理由がないのが現状なのだ。
そして上述のように民主主義の当然の帰結としての現状の政策は確実に先進国の経済成長を停滞させる。と同時に現在の労働者の苦境や格差問題をなんら解決しないのである。風穴を開けるためには大胆な変革(どういった方向の変革かは過去に何度も書いた通り)が必要だが、橋下徹という稀代の政治家(ペテン師かただの人気者かもしれないが)もってしても何も成し遂げられなかったのだからおそらく今後も無理なのだろう。静かに衰退の道を歩んでいくしかない。これが現状から導かれる蓋然性の高い結論なんだろうと僕は思っている。

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