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電子出版「緊急報告」 ――アップル問題が新聞業界にも「波紋」!?

ここ2回ほど、アップルAppStoreの独善で世界規模で電子出版が大騒ぎになってる件を報告した。

おおむねお知らせしたい概要は書いたのだが、私がいる出版業界の外側、新聞業界でも波紋が拡がっているようなので、アペンディクスとしてエントリーを。

出版界も大騒ぎだが、水面下で騒ぎになっているのが新聞業界らしい。というのも実は私は親類が某弱小新聞記者だったりいろいろあるので、あっちの業界話もそれなりに聞こえてくるのだ。

早い話、電子新聞がどうなることやら、という話。なんたって、通勤を考えるなら電子新聞はスマートフォンやタブレットと相性がいい。

前回の関連エントリーで、以下のように書いた。

業界外の方には理解が難しいかもしれないが、日本でも米国でも、今回のアップル騒ぎで最大の問題とされているのは実は電子書籍ではなく、電子雑誌の「定期購読」だ。コスト面、情報面、広告面で、アップルが電子雑誌を潰すという見方すら出てきている。

実はこの「最大の問題」がモロに降りかかってくるのが新聞業界なのだ。なんたって電子新聞は「定期購読」が基本だし。

電子新聞の日本での現状を振り返ると、日経は電子版をすでに出しており、10万人の読者がいる。朝日も極秘で研究しており、近々参入すると「もっぱらの噂」だ(その概要はかなり深く秘匿されているというが)。

当然だが、電子新聞発行には巨額のコストが掛かる。

出版界は電子書籍ったって「最後がちょっと違うだけ」だから、紙から電子になっても大きなコストアップ要因はない。むしろ紙・印刷がいらない分、オーサリングにコストが掛かっても制作費だけ見れば多少コストが落ちる(とはいえ売上が紙の1/20だから費用を売上に配賦し切れず、出せば出すほど赤字になる)。

また、電子雑誌は別だ(多分電子版のがコストアップする上に広告が厳しい)。

こうした出版界の状況に対し、巨額のコストが掛かる新聞は悲惨だ。

たとえば日経の場合、報道では電子版の「システム投資だけ」で70〜80億円という。このコスト分の金利負担だのその後のメインテナンスフィーだの考えると、10万人では赤字が積もるだけだろう。

商品は数少なくEC構築は楽だから、新聞社は当然自社決済を狙うはず。だが、アップルを通した購読では30%ものマージンを取られる。新聞は出版と異なり巨額の金が動くので、それはとても耐えられないだろう。

そもそも日経は電子版のiPhoneアプリを配布しているが、アップルの方針転換で、ここもどうなるかわからない。

アップルの新方針に従うなら「日経でやってもいいけど、AppStore内にも電子版契約の窓口を設けろ」といった話になりがちで、そちらのルートでは30%も抜かれる上に顧客情報提供もオプションな上に自由が利かなかったりすれば、Appleデバイス継続は「煮えた鉛を飲む気分」だろう。

朝日はある意味有利というか。なんたってまだ出してないんで、じっくり戦略を練ればいい。アップルが勝つのか、独禁法違反捜査の結果でアップルが方針を変えるのか、あるいはアンドロイドが勝つのか。

あとかわいそうなのは産経かな。せっかくのiPhone無料公開も、狙いを当のアップルに潰されて気の毒な限りだ。協力した企業に後ろから「袈裟懸け」とは。

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